感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第11話「存在と時間 Part2」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第11話 存在と時間 Part2 CLOSURE

あらすじ

サンタ村で逮捕されたトルーラブは24件の殺人を犯していたが、その中にアンバーリンやモルダーの妹サマンサの遺体はなかった。そんな時、心霊捜査官と名乗る男が現れる。

 お題は「心霊現象」。


 第10話「存在と時間 Part1」の続編。


 「サンタの北極村」では子供24人の遺体が見つかり、エドは全ての犯行を自供するが、アンバーリン・ラピエール殺しは否認し、また彼女の死体は見つからなかった。直後モルダーたちの前に自称霊能者のハロルド・ピラーが現われ協力を申し出る。ピラーの息子もアンバーリンたちと同様どこかに消えてしまい、探し続けているのだという。スカリーは頭から取り合わないが、モルダーは興味を持ちピラーの手を借りると言い出す。

 スカリーの前にスモーキング・マンが現われ、自分がサマンサ失踪事件の捜査中止を命じた事、さらにもうサマンサは確実に死んでいるので探してもムダである事、を語る。

 モルダーはピラーの怪しげな言葉を頼りに、閉鎖された空軍基地にたどり着き、そこでサマンサとジェフリー(=スペンダー)が一緒に暮していた形跡を見つける。さらに残されていたサマンサの日記を見つけ、彼女が生体実験の実験台にされていたことを知る。

 翌日、スカリーが、1979年に病院にある少女が担ぎこまれた記録を探し出してくる(サマンサの失踪は1973年)。モルダーたちが当時を知る看護婦を訪ねると、その少女は全身に生体実験の痕跡らしいものがあったという。そして少女を引き取りに謎の男たちが現われたものの、病室からは少女は消えうせていたとのことだった。そしてモルダーはその場で、行方不明になったアンバーリンやサマンサの幻を目撃し、二人とも既に死んでいるものの、どこかわからない場所で幸せにすごしている事を悟り、遂に心の安らぎを得る。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター&フランク・スポトニッツ


感想

 評価は△。


 第10話「存在と時間 Part1」の続編で、モルダーの妹サマンサの失踪についてついに決着する話、のはずだったが、はっきり言って「ハァ?」としか言いようの無いエピソードだった。


 まず、前編との繋がりが上手く行っておらず、数々の点で不整合がみられる。前回にアンバーリンの母親やキャシー・リーが自分で自分の子供についての脅迫状を書いてしまった描写があるが、何故そんなことが起きたのか説明がない。まさか霊的な力が、実の母親に嫌疑をかけるために書かせたとでも言うのだろうか。また、脅迫状の中に書かれていた「サンタを撃つものはいない」云々という文章は、結局「サンタの北極村」のエドがアンバーリン失踪に関わっていなかった以上、何の意味も持たなくなっており、話のつじつまが合わなくなっている。また、前回の終盤に、アンバーリンの幻が両親に向かって「74」と語り、その結果74号線の先のサンタの北極村の誘拐犯が見つかるわけだが、そこにはアンバーリンの死体がなかったのだから、彼女の幻が誘拐犯の手がかりを教えた意味が解らない。

 このように前回のストーリーで用意された様々な謎設定が今回のエピソードとまともに連動しておらず、話が繋がっていないので腹立たしい事この上ない。シナリオライターの二人は前後編の話を通して読み直してみたのかと問い詰めたくなる。


 サマンサ失踪事件の真相は、「宇宙人に誘拐された」というのは間違いで、政府に拉致されて実験台にされていた、という事で決着したわけだが、つまりシーズン6・第12話「ファイト・ザ・フューチャー Part2」でスモーキング・マンが語った「エイリアン(コロニスト)に人質として拉致された」という話は大嘘だった事になる。何回視聴者を騙せば良いのかと言いたくなってくるが、まあ、モルダーは常日頃スモーキング・マンのいう事はウソばかりと言っているので、信じたほうが悪かったのかもしれない……


 結局、サマンサは「ウォークイン」という霊的存在により、どこかに連れて行かれ幸せに暮らしている、という結論に到達し、モルダーはそれを悟って幸せになったわけだが……、現世に苦しみしかなかったサマンサや、(ピラーが語っていた)事故で死ぬはずだった子供たちが、どこか別世界に連れて行かれて幸福になるのはともかく、キャシー・リーの息子やアンバーリンが突然親から引き離されて別世界に連れて行かれて、それが幸せか?と言いたくなる。冷静な目で見て、それは単なる心霊的な拉致事件に巻き込まれただけではないかと言わずにいられない。


 「サマンサはどこか見知らぬ場所で幸せに暮らしました、めでたしめでたし」というオチをつけようとして、そこにいたる道筋はもう支離滅裂のつじつまの合わないストーリーの集合体になってしまっている。これが7シーズンも引っ張ってきたサマンサ失踪事件の完結編だといわれても、全く納得がいかない。はっきり言って、謎を振り撒きつつ引っ張りすぎて、自分たちの作った設定をたたみきれなかった大失敗事例だと思う。


 ゲストキャラの(自称)霊能者ハロルド・ピラーの吹き替えは、故鈴置洋孝氏でした。


一言メモ

 サブタイトルの原題「CLOSURE」とは「閉鎖」という意味。サマンサのストーリーが終わった、という意味合いだと思われます。


さらに一言

 オープニングでいつもは「THE TRUTH IS OUT THERE(真実はそこにある)」と表示される場面が、今回は「BELIEVE TO UNDERSTAND(信は理解なり)」となっていました。


感想:アニメ「クロムクロ」第7話「東雲に消ゆ」


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TVアニメ「クロムクロ」公式サイト http://kuromukuro.com/index.html
放送 BS11

【※以下ネタバレ】

第7話 東雲に消ゆ

あらすじ

 ムクロが敵ジオフレームを撃破した後、世界中では異星人にどう対処するかで、意見が交渉派と徹底抗戦派の真っ二つに割れていた。由希奈は「鬼」と聞いていた相手が人間そっくりだったのを見て、これ以上のムクロへの搭乗を拒否する。翌日登校した由希奈は、戦闘の様子を撮影していた赤城と茅原が昨夜以来行方不明になっている事を知る。やがて異星人から世界各国の言語でメッセージが送られてくるが、相手は「エフィドルグ」と名乗り、ムクロの返還を要求していた。一方、剣之介たちは由希奈が行方不明になっている事に気が付く。

脚本:檜垣 亮/絵コンテ:吉原正行/演出:岩月 甚/作画監督:小倉恭平 斉藤大輔 宮川智恵子 上村牧子 金情銀 沼田くみ子/総作画監督石井百合子

感想

 相変わらず絶好調。緩急をつけるというか、毎回戦闘という作りにせず、戦うときは戦うし、そうでないときは徹底的に日常描写、という構成なのですが、それで全く退屈しないというのが凄い。シナリオを良く練っているという事ですかね。

 ようやく異星人たちサイドの描写が入るようになりましたが、全員船内でも物凄い鎧を着こんでいて「四天王」みたいな感じで勢ぞろいしているのが、1970年代の東映巨大ロボット物の敵幹部たちみたいでつい笑ってしまいました。まああれが宇宙人的な正装なのでしょうし、「シリアスSF物なのに敵が妙に物々しい」というギャップを狙っているのかもしれません。宇宙人からのメッセージが妙に礼儀正しいのも「覚えたて」みたいな感じが出ていて良いですね。

 今回一番感心したのが、下校の最中に由希奈がアイスキャンデーを食べた後頭を押さえるシーン。あれ、冷たくて頭がキーンとなったのを表しているんですよね? それが正解なら芸が細かい。


 今回は「地味な展開ばかりで客が逃げると困る」というお心遣いか、ブール自習時にJKやらカウンセラーの先生やらの派手な水着姿とかが鑑賞できて満足満足。