面倒なので(修正・増補・注記あり)

面倒なので、楽天の方の古い記事にリンクだけ貼っておく
「呪いのわら人形?」(2007.5.31)


しかし、こういう論法というのは、右だ左だ、上だ下だとかに関係なく、なりふりかまわずただ自己を正当化したいとか、理屈じゃなしにとにかく気に食わない「敵」をやっつけたい、理屈がどうであれ、親しい「お仲間」を守ってあげたいとかいうときには、ついつい誰もが陥りがちではある。
誰も言っていないような言葉を相手に押し付けて、自分の都合のいいように「敵」の姿を作ってしまえば、それは誰だって簡単に勝つことはできる。そのような方法は「勝利」を確実に得るには、きわめて合理的で、かつ効率的ではあるし、記述を多少工夫すれば、読み手にそれなりの感銘を与えることもできるかもしれない。ただし、それはただの 「あらかじめ予定された勝利」 にすぎまい。
たしかに、そこで言われていること自体は、間違っていないかもしれない。話をどこへずらそうと、それもそちらの勝手ではある。しかし、架空の「敵」を撃って凱歌をあげたところで、しょうがないのではないか。むろん、世の中は広いのだから、目を皿のようにして隅から隅まで探し出せば、あなたが勝手に作り上げた「敵」に当てはまるような愚かな者も、一人や二人ぐらい見つかるかもしれない。
しかし、それは、あなたが的にしているつもりの「敵」とは、たぶん何の関係もない。それに、そのように、「敵」をほとんど戯画としかいいようがないもっとも低いレベルに想定して叩くことは、そもそもまったくナンセンスな行為であり、せいぜいただの自己満足にしかすぎない。それでは、あまりに志が低すぎるのではないか。
事情を知らぬ人や、あなたの「お友だち」ならば感心するかもしれない。しかし、それはいささか世間をなめすぎではないのか。あなたがなにを職業にしているかなど、こちらにはなんの関係もないが、末期の病人のケアや人の死に立ち会ったことがあるのが自分たちだけ*1だと思っているのなら*2、それはとんでもない思い上がりというものだ。そうだとすれば、あきれ果てて、ものも言えない。*3
しかし、まあ、それもしかたあるまい。たとえ何ヶ国語を話せようと、世界中を飛び回っていようと、誰だってしょせんは煩悩深きただの人間なのだから。*4
もっとも、それであなたの気が済むというのなら、それはそれでかまわない。好きにすればよいことである。ただし、自分だけはなにをやっても手が汚れたりはしないなどとは思わないことだ。あなたの発した言葉は、すべてあなた自身を映す鏡なのだから。
たとえば、自分に理解できないからといって、なんに対しても「派閥抗争」だの「犬」だのという愚劣なレッテル貼りしかできないのは、自分では気付いていないのだろうが、あなた自身の中にもそのような心性が潜んでおり、そのために、そのような発想しかできないからではないのか。
あなたは、自分は「党派性」とは無縁だと考えているのかもしれない。しかし、いったん誰かに対して偏見や敵意を持つと、その言葉を何でもかんでもことさらに卑小化し、悪意に解釈しようとする、あなたの自我と自負の強さこそが、あなたの「党派性」の根拠であるように、こちらからは見える。
とはいえ、兼好法師の言葉ではないが、言いたいことをはっきりと言わずに、いつまでも腹の中に溜め込んでばかりというのは、たしかにあまりいいことではないだろう。しかし「他意はない」とわざわざ言いながら、そのあとで実は大いに「他意があった」ということを自ら白状してしまっては、落語のおちにもなるまい。*5
とりあえずは、もって他山の石として自戒するのみである。

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参考:http://plaza.rakuten.co.jp/kngti/diary/200808230000/

*1:「それぐらいのこと、他の人だってやってることなんだもんね、偉そうに言うなばーかばーか」などという愚かなことを言っているのではない。たしかに、あなたは職業上普通の人よりも数多くの死に立ち会い、あるいは苦しむ人らのケアをやってきたのだろう。また、その中には、とりわけ悲惨な事例などもあるのかもしれない。だが、そのことをどうこう言っているのではない。そうではなく、なぜあなたは、あなたが批判しているつもりの人らには、自分の肉親や知人、友人らの死や病による苦しみ、悲惨な事故などの切実な経験がまるでないかのような言い方ができるのかと問うているのだ。

*2:誤解する人がいるといけないので、「のなら」という言葉は、「もしも」が付いていなくとも、それだけで仮定を意味する言葉であることを注記しておく。ついでに、同様の意味で、次の文の文頭に「そうだとすれば」を追記した。

*3:断っておくが、医療従事者としてのあなたの活動を誹謗する気などは、まったくない。医療従事者が現在置かれている困難な状況については承知しているし、その活動に対しては敬意を表する。ただし、ここで論じているのはそのことではない。「それはそれ、これはこれ」という話をしているのだ。

*4:どっかのバカが「嫉妬」などという自分の品性丸出しのバカを言っているようだが、そのこと自体はむろん素晴らしいことである。だが、それだけの能力を持っている人が、なぜこのような愚かな文を書き、「どっちもどっち」というようなくだらぬ相対化によって、愚かな者による愚かな行為を無理やり擁護しなければならないのか。それが不思議でならない。あなたのまわりには、すでに愚かな者らが「味方」の顔をして擦り寄ってきているではないか。

*5:かなり手厳しく批判したが、そもそも、なにを勘違いしたのか知らないが、こちらに対して、まったく見当違いな揶揄やあてこすりを行ったのはあなたの方が先である。むろん、具体的に特定してはいないが、あなたがコメント欄で返したレスでの言葉などを見ればそれは明らかだろう。しらをきるのはそちらの自由だが、そのような「お遊び」に付き合う気などはこちらにはないし、むろんそのような義理もない。