2012-05-06 GWまとめ
『絶滅したと思っていた』
渋谷のレコード屋に行ったら、女の子がCDを物色していた。その姿に強くひかれてしまった。なぜかというと、ペールグリーンのプルオーバーにチュールのふわふわしたスカートという、逆説的に露骨でいやらしい"清楚系"ファッションの女子にみえたのに、手にもっているCDはブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』とヤニス・クセナキス『エオンタ/メタスタシス』で、今手に取っているのは、ケニー・バレル『ケニー・バレルの全貌』だったから。かなりキている(イッちゃってる)。えと、ギャップ萌え(笑)。これから彼女がどんなCDを物色するのかの興味にあらがえず、悪いと思ったけどしばらくつけてしまった(すみません)。この件はパトリス・ルコントの映画みたいだと思ってくれたらうれしいのですが……。また、これが映画ならこれから恋がはじまるんだけど(小説『ショートカットの女たち』はくだらなくて面白かった)、もちろんそんなことがあるわけもない(笑)。その子はユーロビートとかHIP HOP以外のほぼすべてのジャンルをくまなく見ていた。それからなんとももいろクローバーZも買っていた。最後に、尾行してごめんなさい、気持ち悪いですよね。自分でもそう思います。
ア(A)ート・アンサンブル・オブ・シカゴからももいろクローバーZまで、まさにAtoZな女子でした。その日は『少年と自転車』を見たんだけど、なんとその子がひとりで観にきていた。絶滅危惧種の文化系女子でした。これがルコントの映画なら……(笑)。
『クラシックにはMCかも』
クラシックの森に迷い込んでから、こんな疑念を感じはじめていた。それはステレオ装置があまりにジャズを聴くために評価が高いとされているものでまとめたということ。これだけ気持ちがクラシックに傾くと、気分的にちゃんと楽器の音がなっているのか気になってくる。CDに比べてLPは派手な気がしていた(正確には"してきた")。というわけでMCカートリッジを探し始めた。そして、とある僥倖を得て、MCカートリッジ Ortofon MC30Sを使いはじめた。
このMCカートリッジが生楽器のいいところをあますことなく提示してくれていると、聴いてすぐに分かった。交響曲から室内楽曲まで骨格のしっかりした、それでいてバランスのとれた品のある音。楽器が楽器らしくなっていた。YAMAHAのコントロールアンプのMC受けの相性も悪くないよう。しかもしばらくはMCトランスを探す楽しみがある。
驚いたのはジャズもしっかりとした音で聴けるようになったということだ。MMのShureV15 TYPE3はきっともっとサービスヴォリュームで聴いてはじめてより楽しめるのだろう。入り口の選別って重要だ。
『ショスタコーヴィチのJAZZ組曲』
最近ジョギングのお供によく聴くのがショスタコーヴィチの『JAZZ組曲』。ジャズというよりも民族音楽という感じですごく耳に馴染む。調べてみるとこれを「どこがジャズなんだよ(笑)」って感じられてる方がおおいようだが、ジャズという表題をはずして聴けば、十分楽しめる曲がずらりと並んでいる。特に『ふたりでお茶を』がとてもあいらしいアレンジでつい口笛を吹いてしまう。
さて「WALTZ2」はなんかで聴いたことがあるなと思っていて調べるとキューブリックの『Eyes Wide Shut』に使われていた。当時、映画館で観てこればかりが印象に残り、知りたくて聴きたくて、でも分からなかった。そういったこともすぐに忘れてしまっていた。次の映画が気になっていたから。すごく時間が経ってからだけど、思いがけず知ることができてよかった。
いまだキューブリックを神格化できないままのわたしはこの映画を当時(もう10年くらい前かぁ……)観たとき、もちろん楽しめたけど、のめり込めはしなかった。というのも語り口がいささか派手すぎた。思い出しても大げさだよな〜あの映画。奥さんが別の男と寝ることを逞しく妄想し、元気よく嫉妬する男のひとり遊び映画なのに。宗教的な倫理感の素地もなく、性に関しては割と解放的な日本に育ったわたしとしては何を今さらな感じがした。だって『奇子』が小学校の図書室にあったから。
きっとこの映画はもう観ることはないだろうけど『JAZZ組曲』はこれからも聴くと思う。ただ映画の中でニコール・キッドマンがおしっこをするシーンがあったのだけど、そればかり思い出しちゃって困る(笑)。けど結構いろんなシーンを覚えているので、それなり好きだったのだろう。
2012-04-20 音楽萌え
さてアキバ系にもクラシックにも徐々に慣れてきているわたしですが、ここでふたつの共通点をいくつか挙げてみたいと思います(えと、いろいろ怒らないでください)……思います。
なんとなくおおざっぱに中世とか騎士な感じ。たとえばワーグナーの『ニーベルンゲンの指環』とか。もちろん「クラシック」だからそうなんだけど拾い上げている部分が騎士道みたいなものだったり、神話的なものなどが似ているというか。次に名前がいちいちあれ。ヘルベルト・フォンとかエッシェンバッハとか朝比奈とか征爾とかエトセトラエトセトラ……隙がない。さらに全体的に衣装がコスプレっぽい。さらにさらにウィーン少年合唱団なんかギムナジウムものだし、紅顔の美青年から男装の麗人みたいな人まで幅広く人材が揃っている。こうやって無理矢理こじつけていくと、カルロス・クライバーの踊るような指揮がヲタ芸に見えてきませんか? ヲタ芸の統率力にはファシズムを感じて若干怖いんですけどねぇ。この指揮者の名前だって大概で、魔法少女アニメの必殺魔法剣に聞こえてくる。「カ〜ルロスゥ・クライバーッ!」って、ほら(言い方じゃないかって?)。
一方でジャズにも目を向けてみるとオランダフリーを代表するICPオーケストラは自前のレーベルを持っていて、現在ICP01〜50まであります(念のためほとんど廃盤)。となると当然あれです。そうICP48というのもあります。しかもこのアルバムはピックアップメンバーによるカルテット。まさか投票とかジャンケンとかで決めてはないと思うけど。これをあれで言ったら派生ユニットということになるのでしょうか。このグループにはミシャ・メンゲルベルク(ちなみに大叔父さんはウィレム・メンゲルベルク)とハン・ベニンクというエースがふたりいます。さしずめ前田、大島といったところでしょうか。次世代エースは年齢的に言えばアブ・バールズやトマス・ヘブラー(と発音するのかな?)あたりか? ウォルター・ウィールボスはバラエティ担当? じゃあトリスタン・ホンジンガーは? もうやめよう。
「そういう風にしか聞こえなく見えなくなるからやめろ」とよく言われます、はい。ですよね〜。ごめんなさい。じゃあ、またね。
2012-04-14 優秀な代打
真空管アンプが不調でビルダーさんに修理をお願いしている。その間、IPODのみはあまりにさみしいので、デジタルアンプなるものを作ってみた。秋葉原にもなれたもので、特筆すべきことはなし。ルイ16世ばりに「なにもなし」。10分もあれば基盤は完成するのだけどケーシングがめんどうで、途中で「音が出ればいい」といい加減になってしまった。はじめの構想だった多機能なものから、スイッチのみの極めてシンプルで美しいアンプに方向転換させた。完成させるとお腹空き、パンがなかったのでパンケーキを焼いて食べた。
さて試聴。意外や意外、これがかなりいい音なんだな。電解コンデンサーを音響用に替えたとはいえ、配線は残っていたアーム内配線用のミシン糸みたいなものだし(笑)。総額5000円もしないこの文庫本よりもちいさなアンプが朗朗と鳴る。一部のオーディオメーカーの値付けがぼったくりといわれてしまうのも納得できる気がする。それはさておき、夏場はこいつに任せてもいいかも。なんていうか安心感というか気楽なのがいい。しばらくお世話になります、よろしくね。とはいえやっぱり器量良しではないので、カーテンで隠している(笑)。
【5/5追記】
ちなみにキットはこれ。
その他ACアダプタ、各種ターミナル端子(RCA、スピーカー、電源アダプタ用メス)、ヴォリューム・スイッチ、ケースなどが必要。
好みで音響用コンデンサ(個人的にはUTSJが好みです)に換えるというのが楽しいです。
2012-03-26 ききくらべ
クラシックやジャズを聴いていると数多の演奏がある。その数たるや玉石混淆で天文学的だ。だとしたら、その中から名演・名盤を効率よく聴きたいとも考えてしまう。ガイド本などを活用して「○○は■■のものが名演」とか「誰々の演奏が素晴らしい」というのを知るのは素地を作る上ではありがたいけれど、そこから抜けだせなくなってしまうのが怖い。「これに比べたらこんなのダメだ」みたいに。耳が肥えたと思いがちだけれど、実は頭が固くなっているだけかも知れない。
“風雪に耐えた名演”を手っ取り早く知るのは座標軸を作ることになるし、何よりお財布にやさしい。でも名盤だけを聴き続けることが必ずしもいいとは限らない。いろんなものを聴いてみて自分の耳で客観的に相対化できてこそ、本当にいい聴き手になれるのではないか。聴き比べることとは音楽の価値の優劣をつけるのではなく、相対化をしていくことなんだと改めて感じた。同じ曲でも違う指揮者や交響楽団と言ったように。ジャズやポップスだって同じだ。多くの解釈を知ることは音楽の本質に近づこうとする行為なのだと思う。
もっと引いて考えれば、いろんなジャンルを聴くのも同じこと。私はできるなら何でも聴きたい。とはいえ、まったく聴か(け)ないのがあるのも、人間だから仕方ない。「これは聴けないな」って思うのってたまにありますよね。
audi1356
Pluto76 さん、こんばんは。
「これは聴けないな」って確かにたまにあります。
特に、ジャケ買いしてハズレたときの敗北感は...あとは棚の肥やしと化します。
それにしても、一生のうち聴ける音楽は限られますよね。
自分として楽しめる一枚に出会いたいと思います。
量より質を、ですね。
Pluto76
こんばんは。
>量より質を
そうなんですよね、音楽の相対化は質の高いものでこそですよね。
そして敗北感もまた……(笑)。
ポップスやアイドルものはまた別なんですけど。
楽しみ方のベクトルが変わってくるので。
そういえば小澤征爾さんが森進一と藤恵子をよく聴いてたなんて仰ってましたね。
あと佐渡裕さんもドラゴンクエストの音楽が好きって。
こういった話はなんか素敵です。
2012-03-16 異国情緒
西洋人が日本のことを極東と呼び、エキゾチックな憧れを抱く気持ちは分かります。
世界史好きな私にとってイスファハン、バビロン、テッサロニキ、イスタンブールといった地名は結構ぐっときます。マケドニア、オスマン・トルコ的な東西融合に惹かれる。アレクサンドロス大王はあえてペルシャ風にイスカンダルと呼びたい。音楽だとトルコの軍楽隊が好きです。現在、ファジル・サイがまさにトルコの音楽とクラシックやジャズを融合させています。歩くイスタンブールといったところでしょうか?
さて今回はデューク・エリントンの『極東組曲』について。本作の内容はエリントンによる中近東〜極東の素描といったところか。こういったものは現地当事者からみたら「どこが?」って思うかも知れません。でも民族音楽の研究ではなくて、エリントン御大による異国情緒の音楽化だからいいのです。
西洋人からも日本人からも異国である中近東あたりをイメージした曲というのは私たちがイメージする中近東と似ている。これはユセフ・ラティーフの『Eastern Sounds』あたりでも感じることができる。異国への憧れというのは国が違ってもそう大差ないのかも知れません。フジヤマ、ハラキリ的な幻想や勘違いを内包した憧れが異国情緒をより美しくしているスパイスなんじゃないかと『極東組曲』を聴きながら考えていた。


「AtoZな女子」さんも実はPluto76さんをつけていた?!・・・なんてw
>入り口の選別って重要だ
MC30S、巧く収まったようですね。
挿し絵が雄弁に物語っています(笑
二重尾行、それこそ映画的かも!
FBIだかKGBだかAKBだかの陰謀かも知れません。
爆裂前衛音楽家とモーレツアイドルが同列なんて素敵な子でした。
MCがビシっと決まった感をレニーに演出してもらいました。
ビシっと感が出るように数カット撮ったのは内緒です。
ほどよくほぐれ、好みの音でなってくれています。
トランスは調べるといろいろありますね……ふふ。
近ごろアームの調整が決まっていい気になっています(笑)
ショスタコの JAZZ 組曲、存在すらまったく知りませんでした。
ネットで探して聞いてみました。
確かに Jazz というより民族音楽ですね。
WALTZ2 ですが、ゴッドファーザーの裏で流れてても全く違和感なさそうです。
ショスタコも暗くて重いばかりではないのですね。
おおサービスヴォリューム期待します(笑)。
わたしは「トランスクエスト〜遙かなる昇圧〜」の旅にでています(笑)。
タコ社長は弦楽四重奏あたりにも民族音楽の音階が散りばめられた
なかなかどうしてナイスな音楽がありますよ。
>「ゴッドファーザー」にも
ソヴィエトの作曲家なのにアメリカ映画にぴったりというのも
なんか不思議なのものですね。
文化的にはとっくに雪解けがはじまっていたんでしょうね。
「トランスクエスト」イイですね。
うちも、トランスは SPU 系のステレオとモノに使っていますが、結構こだわっています。このあたりはまた改めて。
タコ社長は実はあまり聴き込んでいません。
ましてや弦楽四重奏など...
ロシア系であればチャイコが好きですね。
6番のシンフォニーなど、深いです。
「トラクエ」は当初米製にしようとしていたんですが、
最近は好事心が蠢動し、独製が気になっています。
国の音ってありますよね。イッヒリーベディッヒ。
社長はピアノソナタなんかもすてきですよ。
ジャイ子の6番はたしかウィレム・メンゲルベルクでもっていたような……あははは。
ロシアものは結構好きみたいで、あとは私の経歴と照らしてお察しください。
またいろいろお教えください。