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性分化疾患:PracticaDSD このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-12-28

アンドロゲン不応症とは何ですか?


このページを御覧の皆様へ

 アンドロゲン不応症(AIS)をはじめとした性分化疾患(DSD)を持つ子どもや人々は、マンガやドラマのようなファンタジーのイメージではない、体の状態が一部異なるだけの全くの男性もしくは女性です。



私たちが問うているのは「男女の境界の無さ」ではありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

​私たちがお願いしているのは、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。

どうか、お間違いのないようにお願い致します。

 AISをはじめとして、DSDを持つ子どもたちや人々、そしてそのご家族の皆さんのほとんどは、何よりも「男でも女でもない」「第3の性」「中性」「男性・女性を選べる人」をといった社会的偏見や誤解、好奇な目ににさらされることを常に恐れています。
「男でも女でもない」「中性」「第3の性」を称する・望む人々の大多数は、体には何の問題も持たない通常の男性もしくは女性の体を持った人々で、DSDを持つ人はほとんどいません。

DSDを持つ子どもや人々は、尿道の位置や陰茎の大きさ、陰核の大きさなどが、男性もしくは女性に一般的だとされる形・大きさと少し違っただけの子どもたち・人々であり、性同一性障害などの精神的な現象とは全く違うものです。(性同一性障害の人々は通常の男性もしくは女性の体の持ち主です)。

実際に、性別の変更をするDSDを持つ子どもや人々はほとんどいらっしゃいませんし、性別変更される場合でも、それはマンガのように「自由に性別を選べる」のではなく、子どもやご家族にとっては「自分でこれからの人生をどうしていくか選んでいかなくてはならない」ことなのです。

また、世間には、まるでDSDを持つ人々がそう望んでいるかのように話す人もいますが、DSDを持つ人々やご家族で、「男性と女性の境界を無くしたい」「男女以外の性別を認めてほしい」という政治的意図を持つ人もほとんどいらっしゃいません。


メディアなどではセンセーショナルに伝えることがあり、残念ながらそれにつられて詮索的に好奇な目で見ようとする人々が社会にはいらっしゃいますが、どうか皆様には、そのような好奇な目や偏見・誤解の目で見るのではなく、むしろそのような社会的偏見・誤解を払拭いただけるよう、あたたかな目で見守っていただけるようお願い致します。

DSD全般については以下のサイトが詳しいです。ぜひ参考にして下さい。

ネクスDSDジャパン (性に関する様々な体の発達状態を持つ子どもと家族のための情報サイト)


 アンドロゲンとはホルモンの1種です。男性ホルモンと呼ばれることもあり、それは、子宮の中での比較的高レベルのアンドロゲンが、胎児の性器を男性のタイプに発達させるホルモンだからです。テストステロンはアンドロゲンの1種で、精巣から作られますが、男性でも女性でも背中側、腎臓の上にある副腎という器官からも、アンドロゲンは生成されています。

 アンドロゲンが体の中で効果を持つには、アンドロゲンを作り出すだけでは足りません。体の細胞が、そのアンドロゲンに反応しなければ、アンドロゲンは効果を持たないのです。時々ですが、人の細胞がアンドロゲンに反応しないことがあります。男性でも女性でも細胞に「アンドロゲンレセプター(アンドロゲン受容体)」が無い場合があるのです。(鍵はあっても、鍵穴が無い状態を考えてみてください)。このレセプターの欠損は、XY染色体を持つ人でもXX染色体を持つ人でも、どちらにもあり得る状態です。(通常女性では、アンドロゲンレセプターは存在し、男性よりも少量のアンドロゲンが生成されるため、思春期に陰毛などの発達が見られます)。

 アンドロゲン不応症(AIS)とは、通常はアンドロゲンに反応するはずの体の細胞が、レセプターが無いために、反応しない状態のことを言います。

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 完全性アンドロゲン不応症(CAIS)を持つ女の子・女性の場合、知られる限りは、その女性の体はどんなアンドロゲンにも反応しません。そのような場合、そういう女の子や女性は、通常は男性の組み合わせのXY染色体を持っていることになります。子宮の中で、そういう女性は精巣を発達させ、精巣はテストステロンを生成しはじめるのですが、そのテストステロンに反応するレセプターが体にありません。その結果、その女性の性器は全く典型的な女性の発達過程をたどることになります。つまり、陰唇とヴァギナ、クリトリスなどが発達するのです。その女性の脳も、全く女性に典型的なタイプになっていきます。(XX染色体とアンドロゲンレセプターを持つ典型的な女性では、脳に何らかのアンドロゲンの影響が起こります。これは、典型的な女性でも副腎からアンドロゲンが生成され、脳の細胞のレセプターが反応します)。

 完全性アンドロゲン不応症(CAIS)を持つ女性の多くは、思春期までに診断されたと報告しています。それは、思春期になって生理が来ないことが分かるまで、だれも性分化疾患のことを疑わないことが多いからです。完全性アンドロゲン不応症(CAIS)を持つ女の子が思春期に入ると、体の中の精巣は思春期に通常起きる機能(高レベルのテストステロンの生成)をはじめるのですが、ここでも再び、細胞はそれに反応しません。通常、テストステロンのいくらかはエストロゲン(女性特有のホルモン)に変換され、このような女性の細胞は、エストロゲンには反応できます。ですのでその結果、CAISを持つ女の子は、思春期に、女性に典型的な丸みを帯びた乳房とお尻を発達させていきます。ただし、体毛(陰毛や腕、脇、足など)についてはあまり発達しません。体毛の発達にはアンドロゲンレセプターが必要だからです。生理が起こらないのは、卵巣と子宮を持っていないからです。

 XY染色体を持っていて、部分性(不完全性)アンドロゲン不応症(PAIS)を持つ人もいます。このような場合、体がどれほど男性に典型的なものに発達するか、女性的なものに発達するかは、そういった男性、もしくは女性それぞれ特有の体の状態によって異なってきます。

(性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害、トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)
  
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(画像は、上が完全性アンドロゲン不応症を持って生まれた女性、ケイティさん、下の左側が部分型アンドロゲン不応症を持つ男性ブリフファさん、下の右側が部分型アンドロゲン不応症を持つ女性、リンネルさんです)。

ケイティさんのパーソナルストーリーはこちら

ケイティさんの出演したドキュメンタリーはこちらです。
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