ペ・ヨンジュン
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ペ・ヨンジュンは、今や韓国ドラマの「微笑みの貴公子」として、あまりにも有名な俳優になってしまった。『冬のソナタ』を後半部分から観たが、このドラマがここまで話題になることが不思議だった。その後、TVの特集などで、ペ・ヨンジュンのCM撮影風景など観ると、微笑みを絶やさない柔和な表情と、周囲のスタッフに対する心配りや誠実さなど、なるほど、現在の日本の芸能界の弛緩した連中に較べると、その存在が際立つことがわかってきた。で、初主演映画『スキャンダル』を観てみることにした。俳優の演技や存在感は、クロースアップが多いTVドラマでは、判断しがたいからだ。
スキャンダル
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イ・ジェヨン監督『スキャンダル』(2003)は、ラクロの『危険な関係』の翻案ものであった。『危険な関係』は、ロジェ・バディム監督、ジェラール・フィリップ主演で映画化されて以来、数え切れないほと、リメイクされてきた。ただ、韓国では、このペ・ヨンジュン主演の映画が最初らしい。
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時代を朝鮮の18世紀に移し、貴族社会のなかの儒教的規範が支配する世界で、男女が愛を貫くことの困難な時代を背景としたことが、ストーリーの荒唐無稽さを補うに十分に機能した。衣装や小道具や、時代の雰囲気を感じさせる映像は実に美しい。貴族の領主ペ・ヨンジュンの初恋の女性で、現在は政府高官の妻になっているイ・ミスクとの恋の駆け引きから物語が始まる。
未亡人チョン・ドヨンをいかに篭絡させるかを、二人で賭けるゲームが開始される。ところが、自分たちも予想しなかった悲劇へ突き進むことになる。『危険な関係』自体はとりたてて、目新しい作品ではないけれど、朝鮮18世紀という舞台では実に新鮮に写るのがこの作品の良いとこころだ。様式美ということばを与えるに相応しいフィルムになっている。
『冬のソナタ』とは180度異なるイメージで眼鏡のないプレイボーイ役は、おそらくペ・ヨンジュンにとっても大きな冒険であっただろう。しかし、ジェラール・フィリップを想起すれば、この選択は正解であり、ペ・ヨンジュンのイメージの拡大につながった。相手役にも恵まれた。妖艶なイ・ミスクと、清純なチョン・ドヨンとの三角関係は、古典的なスタイルに収まっている。
ペ・ヨンジュンは、やはりドラマよりも、映画の分野でジェラール・フィリップを目指すべきであることが証明された。いわゆるスターらしいスターがいなくなってしまった映画界にあって、ペ・ヨンジュンは貴重な存在だ。軽々に、安易なドラマに出るのではなく、ジェラール・フィリップのように、あるいは、市川雷蔵のように、シリアスな役から、コミカルな役までこなす俳優として成長することを期待していいだろう。
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ペ・ヨンジュンの『冬のソナタ』は、韓国のイメージを変えてしまった。しかし、「在日」の問題や、日韓関係の本質的な問題が解決されたわけではない。韓国が身近になったことの功績は大きい。しかし、「在日」や近代史における韓国の植民地問題の本質的な解決は、これからである。『冬ソナ』ブームが終わったあとこそが、真の日韓関係が露呈してくると考えておくべきだろう。
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