整腸亭日乗 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2006-05-05 グーグルは未来社会を変容させるか?

[]グーグルGoogle グーグルGoogleを含むブックマーク グーグルGoogleのブックマークコメント


佐々木俊尚『グーグルGoogle−既存のビジネス破壊する』(文春新書読了グーグルに関しては、梅田望夫ウェブ進化論』(ちくま新書*1に次いで、ネット社会の現在と未来を予想するきわめて興味深い内容になつている。


グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)


極論すれば、梅田氏は楽観論、佐々木氏は、悲観論といっていいだろう。佐々木氏の本書では、梅田氏が触れていないが、グーグルが「司祭的権力」を持つ可能性に言及している。かつてジョージ・オーウエルが『1984』で描いたように、監視社会はあらゆる情報を把握するグーグルによって支配される?民間企業グーグルは、検索エンジン開発時の発想は、技術者としての新しい試みであったが、やがて政府からの規制を受けている事実にも触れている。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)


情報の一元的管理による権力的支配は、現在では<グーグル>という私企業に象徴されているが、その先にあるのは、<グーグル>的存在にほかならない。


グーグルが果たしている業績は、企業も個人も対等に検索結果として表示されることにある。ポータルサイトの持つ意義が薄れ、利用者は「検索エンジン」から情報を探すことが自然となった。


マーケティングでは、「パレートの法則」を否定する「ロングテール」現象は、梅田氏も指摘していた。市場原理がネット上では、大きく変貌している。

佐々木氏の「あとがき」が本書の要約になっている。

グーグルは、強力な広告ビジネスを背景に、古い世界の秩序を壊し、伝統的な企業のビジネス破壊しようとしている。/グーグルは、ロングテールによつて中小企業を再生させ、新たな市場を創出しようとしている。/グーグルは、人々の情報発信を手助けし、企業や政府などの強大な権力と同じ土俵に上がらせようとしている。/しかしその一方で、グーグルはそれら新しい秩序の中で、すべてをつかさどる強大な「司祭」になろうとしている。それは新しい権力の登場であり、グーグルにすべての人々はひれ伏さなけれならなくなるかもしれない。(p.243)


問題は、強大な「司祭」になろうとしていることにある。両刃の剣というべきか。

[]V フォー・ヴェンデッタ V フォー・ヴェンデッタを含むブックマーク V フォー・ヴェンデッタのブックマークコメント


グーグルGoogle』から、最近観た『V フォー・ヴェンデッタ』を連想したといえば、強引になるだろうか。



第三次世界大戦が終了したとされる2020年が、時代設定されている。近未来アメリカイギリス植民地になっている。イギリスでは、サトラー議長(ジョン・ハート)による専制政府の支配下にあり、そこでは、異教徒、移住者、同性愛者、政治活動家、不治の病人たちが排除された世界。監視カメラがいたるところに仕掛けられている。現在の世界のありようの延長上の世界を想定すれば、おそらくこのような監視された世界が出現するであろう。


マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の製作になるジェイムズ・マクティーグ監督『V フォー・ヴェンデッタ』(2006)。物語イギリス国会議事堂破壊しようとした1605年の火薬陰謀事件を下敷きにしている。それが映画ので冒頭で示され、首謀者ガイ・フォークスの「理念は生き延びる」のことばが印象に残る。400年後の物語に、理念が仮面の男「V」(ヒューゴ・ウィービング)によって引き継がれる。


マトリックス 特別版 [DVD]

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専制政府となる過程で、作家であった父親と母は収容所で死亡し、弟はウイルスによる事故に巻き込まれ死亡した。施設で育ったイヴィ−(ナタリー・ポートマン)が、Vに協力することになる。イヴィ−の父・作家の言ったことば「小説は虚構だが、嘘のなかに真実がある」とは、「政府による政治は現実だが、その根底には嘘がある」ことが、この世界を支えている。


ラスト仮面をつけ国会議事堂に向かう群衆は、ネグリハートの「マルチチュード」に相当するといえよう。


世界は、フーコーのいう「パノプティコン(一望監視施設)」*2となる可能性を孕んでいる。情報の一元的管理、換言すれば監視された世界の窮極の姿を、この映画に視てしまうのだ。

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