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2013-08-31 「世界の全ての記憶」は最上の図書館ドキュメンタリー映画である

[]愛、アムール 愛、アムールを含むブックマーク 愛、アムールのブックマークコメント


愛、アムール [DVD]

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ミヒャイル・ハネケ『愛、アムール』(2012)をやっと見ることができた。老夫婦が迎える、老いと病気。妻が病に倒れ、自宅療養を希望する。

ジャン=ルイ・トランティニャンは、妻エマニェル・リヴァの介護看護師の助けを借りながら始めるが、次第に妻は人間らしさを喪失していく。このあたりの描写は、いかにもハネケ調でリアリティに富む。アラン・レネ『二十四時間情事(Hiroshima, mon amour)』(1959)で、岡田英次と共演した美女がエマニュエル・リヴァであった。あれから50年を経過して80歳をこえるであろう、エマニュエル・リヴァは、冒頭とラストでは美しい老婦人であるが、病気の発症とともに、次第に人間性を喪失していく。


二十四時間の情事 [DVD]

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誰もが、老いと死を迎える。映画では美化されがちだが、ミヒャエル・ハネケは、その点を妥協しない。恐るべきフィルムだった。

[]世界の全ての記憶 世界の全ての記憶を含むブックマーク 世界の全ての記憶のブックマークコメント


アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール 短編傑作選 [DVD]

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婦人を演じたエマニュエル・リヴァからアレン・レネが戦後広島舞台に撮った映画を思い出す。アラン・レネは、まず、アウシュビッツ収容所跡をドキュメンタリー風に撮った『夜と霧』(1955)、次いで、フランス国立図書館を内部から見事に撮った『世界の全ての記憶』(1956)。その後、HIROSHMAを原爆投下後14年の戦禍のあとが生々しい『二十四時間情事』(1959)、過去現在交錯する名作『去年マリエンバートで』(1961)、スペイン内戦のその後を撮った『戦争は終わった』(1965)などを撮り、1990年代コメディ『恋するシャンソン』(1997)2000年代に『巴里恋愛協奏曲』(2003)で、現役ぶりを窺わせいるが、ヌーヴェル・ヴァーグ先駆者で、ジャック・リヴェットジャン=リュック・ゴダールとともに、生き残っている。

夜と霧 [DVD]

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去年マリエンバートで  HDニューマスター版 [DVD]

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二十四時間の情事 [DVD]

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フランソワ・トリュフォーが早死して以来、2010年エリック・ロメールの死、同じ年にクロード・シャブロールの他界によって、現在もほぼ毎年作品を制作しているゴダールを除けば、アラン・レネは、一味違う魅力がある。

アウシュビッツ広島スペイン内戦後など、20世紀戦争痕跡を捉える作家であると言えるだろう。しかし、私にとっては、フランス国立図書館(BN)を美しいモノクロ画面で、図書館存在意義や業務内容から、読者が求める叡知、読書の歓びへの賛歌として、短編ながら忘れがたい重要フィルムである

その『世界の全ての記憶から採録してみよう。

(以下採録

図書館の外観、書庫、知識(記憶)の宝庫としてのBN。目録=冊子体目録の表紙。カード目録索引カード)⇒現在は「OPAC」になるが、基本的な原理は同じである

定期刊行物、すべての雑誌新聞会報・年報・年鑑、「不揃いでは価値がない」→欠号がないようにチェックする。「一度しか閲覧されないものも保存しなければならない」「ランボー処女作は、無名地方紙から発見された」。


蔵書源は4つある、寄贈・購入・交換、主要なものは「法定納本」(⇒納本制度)による。16世紀から書物は納本されている。納本された本は、検印後、記録簿(⇒原簿)に記載される。

書物の記録(書誌記述)、分類→「印刷カード20枚がカードボックスへ排列される。「この索引カード国立図書館頭脳だ」⇒(図書データベース図書館頭脳である)。目録記述され分類された図書は、所定の場所書庫)へ排架される。迷路のような書庫をとおりエレベーターを使用し、分類された記号場所排架される。100本のフィルムでも全貌を撮ることはできない。どれが最も貴重か誰も分からない。

ゴンクールの未刊の日記か、解読できない?板書籍か、H.ディクスンの回想録か、1970年まで封印の個人の手帳か、手書きの“パンセ”か、エミール・ゾラの全著作か、あるいは、ユゴーの肉筆原稿か、アンリ2世の装丁本か、パリ最初印刷された本か、カール大帝福音書か」

これらの財産を守るために、空気は調整され環境は整えられる。⇒(温室度管理)。本が修され、新聞マイクロフィルム化など保存のきかない資料も媒体変換される。利用者の請求メーセージに基づき、書庫担当者は該当本を抜き、台本を置く。請求された本は、書庫からカウンターへ。求める本であるかが確認され、閲覧室の利用者のもとへ届く。

「本は理想に向かって進んで行く」「本はこの瞬間に、抽象的で超然とした世界記憶の一部になる。どの本もわけ隔てなく享受できる。」「本は読者に滋養を与えるため運ばれてきた。読者は目的があって本を読みふける。この小宇宙が謎を解く鍵になるだろう。」(閲覧室を俯瞰撮影している。多数の閲覧者)。

「嬉しい予感にはわけがある。読者は世界記憶の断片に触れ、秘密のかけらを集める。その秘密とは“幸福”にほかならない。」

世界の全ての記憶』は、希有な映画作家アラン・レネが、フランス国立図書館(BN)を内部にキャメラを持ち込み撮った、優れて刺激的な今こそ評価されるべき図書館ドキュメンタリー映画である


アラン・レネの他の作品

戦争は終った [DVD]

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アメリカの伯父さん [DVD]

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巴里の恋愛協奏曲 [DVD]

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