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2014-11-26 「集団的自衛権」行使容認は、憲法違反である

[]丸山眞男話文集続3 丸山眞男話文集続3を含むブックマーク 丸山眞男話文集続3のブックマークコメント


みすず書房から丸山眞男話文集・続3』が、2014年11月21日付けで刊行された。その中に丸山眞男を囲む「楽しき会」の記録が、録音から文章化されている。


丸山眞男話文集 続 3

丸山眞男話文集 続 3


1990年5月に開かれた「楽しき会」には、丸山眞男のほか安東仁兵衛、石川真澄石見隆夫、筑紫哲也が参加している。


仮に付されたタイトルは「「脱亜論」、日本浪漫派、湾岸危機、「日韓併合」、「集団的自衛権」の欺瞞性」」とされている。


2014年7月1日に、安倍政権国会の審議を経ることなく、「集団的自衛権」の行使容認閣議決定した。拙ブログでも、この閣議決定は「日本国憲法」に違反していることを指摘したが、丸山眞男は、1990年の上記「楽しき会」で、以下のように述べている。


もうひとつ臭い問題で言いたかったのは、「集団的自衛権」という言葉は断乎否定すべきだ、ということです。国際連盟国際連合安全保障というのは一般的安全保障なんです。地域安全保障というのは軍事同盟の別名なんです。軍事同盟を美化する言葉です。地域安全保障というものはあり得ないの。つまり、世界の警察なんです。・・・(中略)・・・国連には地域安全保障という言葉はないんです。・・・地域安全保障というのは、主権国家軍事同盟を体よく言い換えた言葉にすぎない。(p283)


と「集団的自衛権」の欺瞞性について述べている。また


集団的自衛権」と言う言葉を使って、あたかも国連是認を経たかの如く言うのは、言葉欺瞞なんだな。国連が決めているのは一般的安全保障だけなんです。国連規約をよく読めば分かります。(p284)


国連規約言及している。


さて、国連憲章の冒頭に以下の文が記載されている。


われら連合国人民は、 われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権人間尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義条約その他の国際法の源泉から生ずる義務尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩生活水準の向上とを促進すること並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、 これらの目的を達成するために、われらの努力結集することに決定した。よって、われらの各自政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章同意したので、ここに国際連合という国際機構を設ける。


問題は、第51条の記載内容である


この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。(第51条)


安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要措置をとるまでの間」に、集団的自衛権行使した場合、「この自衛権行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。」とある


実際、国連集団的自衛権行使した事例として5例ある。(ウィキペディアより)



これらの実例について云々する前に、「集団的自衛権行使が「日本国憲法」に違反しているという重大なる事実だ。

[]街場の戦争街場の戦争論を含むブックマーク 街場の戦争論のブックマークコメント


街場の戦争論 (シリーズ 22世紀を生きる)

街場の戦争論 (シリーズ 22世紀を生きる)


内田樹『街場の戦争論』(ミシマ社,2014)が、当該問題についての本質的見解を示している貴重な内容になっている。とりわけ、第三章「株式会社化する日本」が、圧巻の迫力であり、自民党憲法草案の奇妙な発想について、その根底にある精神を剔抉している。


僕たちが今いるのは、二つの戦争つまり「負けた先の戦争」と「これから起こる次の戦争」にはさまれた「戦争間期」に固有のものではないのか。その軽薄さも、その無力感の深さも、その暴力性も、いずれも二つの戦争の間に宙づりになった日本という枠組みの中に置いてみるとなんとなく納得できるような気がする。(p3-4)


憲法というのは、・・・行政府恣意的政権運営をさせないための法的規制です。(p131)


安倍政権は、恣意的政権運営により、憲法無視して「集団的自衛権行使」を閣議決定した。この是非を問うだけでも、今回の大義なき解散に対して、安倍政権の2年に、「否」を突き付けるのが、庶民のささやかな意見表出である、と思う。

内田樹の大市民講座 内田樹の大市民講座を含むブックマーク 内田樹の大市民講座のブックマークコメント


内田樹の大市民講座

内田樹の大市民講座


内田樹内田樹の大市民講座』(朝日新聞出版,2014)の「首相欺瞞的な構文」のなかでも以下のように指摘している。


2014年7月1日は、日本戦後69年間掲げてきた平和主義を捨てて、戦争への道を歩み始めた歴史的日付として記憶されることになるだろう。(p204)


これまで日本集団的自衛権を禁止してきたことで日本はどのように戦争に巻き込まれてきたのか。

集団的自衛権行使しなかったせいで国民が死傷し、国土を奪われ、国富を失ったどのような事例が存在するのか。あれば、それを示して欲しい。・・・一国の首相が国是の大転換に際して欺瞞的な構文でしか語れないことに日本の政治深い闇をみる。(p205)


集団的自衛権行使容認閣議決定について、その本当の意味が解るのは、これから起きる戦争においてである自民党のみならず、平和を党の主義主張とする公明党もこの閣議決定に参加していることで同罪であることは申すまでもあるまい。嘆かわしいことだ。


この度の自民公明党の、党利党略による解散には多くの国民が反対であるという。であれば、せめて与党自公投票しない選拓肢が、12月唐突選挙実施への抗議になるだろう。


かつて丸山眞男が「集団的自衛権」を<言葉欺瞞である喝破した。丸山氏は、21世紀予測をしたわけではないが、右傾化するこの世紀に対する警告として受け止めたい。

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2014-11-01 トリュフォー映画は女性へのオマージュである

[]トリュフォー最後インタビュー トリュフォー最後のインタビューを含むブックマーク トリュフォー最後のインタビューのブックマークコメント


フランソワ・トリュフォー没後30年記念出版として、山田宏一蓮實重彦トリュフォー最後インタビュー』(平凡社,2014)がこの度刊行された。インタビュー自体は、生前に行われたいたわけだから、30年間も放置されていたことに驚いた。


トリュフォー 最後のインタビュー

トリュフォー 最後のインタビュー


山田宏一蓮實重彦が、生前のフラソワ・トリュフォーにあたかも、トリュフォーヒッチコックインタビューした『映画術』のように、作品の細部をよみがえらせている。



ヌーヴェル・ヴァーグ旗手であったトリュフォーとは、映画にとりつかれた万年青年そのものだった。映画一本ごとに込められた映画監督の思いとはかくも強度を持つものであったとは、ひたすらスクリーンを眺める観客にはわからない。本書は、映画製作にまつわる背後に、何が起きているのかを知らせてくれる。映画にかかわったものなら、切実な事態が語られる。


トリフォー長編は21本であるが、製作順に語られながら、アントワール・ドワネルものは、まとめられていたりと、読者にとって監督論として、参照すべき基本文献となっている。

自伝作品『大人はわかってくれない!』(1959)が長編デビューだが、その前に、16mmを1本『ある訪問』(1954)35mm短編2本『あこがれ』(1957)『水の話』(1958)がある。『あこがれ』で自転車に乗り、疾走するベルナデット・ラフォンの新鮮な輝かしい美しさ。このモノクロの懐かしい映像で、女性オマージュを捧げる、トリュフォースタイルが出来あがっている。

トリフォー女性に対する思いは、本書347頁に語り尽くされている。


であることは、それだけですでに男よりもはるかにすぐれているのである。男は自惚れが強すぎる。自分の力を過信しすぎるのである。だから成功は才能だと確信して、猿のようにしかめっツラをしながら一段でも高く梯子をのぼって出世しようとする。だが、女性はすべてが偶然にしか過ぎないことを知っているのだ。女性はけっして自分の才能を自慢したりしない。女性にとって大事なことは、ただひとつ幸福ということだけである。それ以外のことはすべてどうでもいいことなのだ。カトリーヌ・ドヌーヴはそんな「女」の典型なのである


女性へのオマージュ、主演女優へのオマージュに満ちている。その言葉を踏まえて、トリフォー長編21本から、とりあえずベスト5を選出する。

『大人はわかってくれない!』の少年ジャン=ピエール・レオーは、トリュフォー分身として、アントワール・ドワネルのその後『二十歳の恋』(1962)、『夜霧の恋人たち』(1968)『家庭』(1970)と続き、総集篇『逃げ去る恋』(1978)で完結する。


大人は判ってくれない [DVD]

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これらから代表作を選ぶとすれば、長編第一作『大人はわかってくれない!』となろう。

次に、中年男ジャン・ドサイと若いフランソワ・ドルレアックの不倫を衝撃的なラストによって終結する『柔らかい肌』(1964)をあげたい。


シャルル・デネルのプレイボーイぶりをシニカルに描いた『恋愛日記』は秀逸。

恋愛日記 [DVD]

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ビクトル・ユゴーの娘アデル狂気的な愛を描いた『アデルの恋の物語』(1975)は、愛の負的強度として。

残り一本は、以下の三本から代表作『突然炎のごとく』(1961)

同じ原作者アンリ=ピエール・ロシェの『恋のエチュード』(1971)

あるいは、カトリーヌ・ドヌーヴ主演『終電車』(1980)

突然炎のごとく Blu-ray

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終電車 Blu-ray

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いずれにせよ、トリュフォ―作品をいま改めて見直す時間的余裕がない。『トリュフォー最後インタビュー』を読むことから喚起された、観たことの記憶が想起され、それらを複合的に勘案した結果、もう一度見たい作品5本を選出してみた。


あくめでも、とりあえずのいま見直したい映画五本である


ピアニストを撃て

アメリカの夜

柔らかい肌

『私のように美しい娘』

恋愛日記


子どもたちの夏休みをきりとった異色作『トリュフォー思春期』の軽やかなキャメラワークは、素晴らしいし、遺作となった『日曜日が待ち遠しい! 』は、ファニー・アルダンジャン=ルイ・トランティニャンコンビによる軽快なコメディタッチノワールもの楽しい。同じノワールものとして、シャルル・アズナブールを主演に迎えた『ピアニストを撃て』は、喜劇悲劇

女性復讐劇『黒衣の花嫁』と『暗くなるまでこの恋を』は、ウィリアム・アイリッシュ原作もので、悲劇的要素が強い。

SF作品華氏451』は、書物が焼かれ、暗記した者たちが、覚えた作品朗読する光景が印象に残る。

死者をろうそくの灯で弔う『碧色の部屋』、映画製作現場映画化したメタ映画アメリカの夜』。

狼に育てられた少年を育てる『野性の少年』、第二次大戦中の地下組織演劇を守る『終電車』、かつての恋人が隣人となった悲劇隣の女』など。

隣の女 [DVD]

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恋愛日記』と反対のベルナデット・ラフォン主演『私のように美しい娘』の痛快さ。

数え挙げればキリがない。どの作品も素晴らしい!!!


アメリカの夜 特別版 [DVD]

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