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2016-12-27 2016年は、黒沢清の年であった。

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今年2016年に観た映画は、93本。目標を80本に落としたので、一応クリアしたことになる。『キネマ旬報12月下旬掲載の「ベストテン選出用作品リスト」の中から、以下のとおり選出した。


日本映画

1)FAKE(森達也

2)牡蠣工場想田和弘

3)永い言い訳西川美和

4)シン・ゴジラ庵野秀明

5)葛城事件赤堀雅秋

6)後妻業の女(鶴橋康夫

7)クリーピー偽りの隣人(黒沢清

8)64前後篇(瀬々敬久

9)何者(三浦大輔

10君の名は。新海誠

次点 

怒り(李相日

オケ老人(細川徹


D


何よりも森達也監督『FAKE』が、佐村河内守に寄りそうように、執拗に迫るスタイルが、予想外の結末にたどり着く過程は、ドキュメンタリーならではの傑作。

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想田和弘牡蠣工場』は、岡山県牛窓地区にある牡蠣工場を、例のごとく観察した映画である。想田氏はドキュメンタリー映画とは言わない。膨大なフィルム編集して出来上がった作品であることは、普通映画と同じだが、プロ役者は出ていない。映画ナレーションがなく、あくまで観察映画である。想田監督の撮る内容が日本のいまを切りとっている。キャメラを持った監督と思われる人物と、被写体である牡蠣工場人達のやりとりが面白く、シークェンスの切れ目に「猫」を挿入して画をつないでいるのもいつもの想田流で好ましい。


シン・ゴジラ

シン・ゴジラ


庵野秀明シン・ゴジラ』は、サイドストーリーを切り捨て、ひたすらゴジラとの闘いに終始している点、また日本危機管理をこれほど見事に指摘した映画は貴重だ。


シン・ゴジラ』と『君の名は。』は、今年大ヒットした映画普通であれば見ない作品だが、メディアで取り上げられることが多く、気になり二本とも観てみた。するとこの二本は、予想外の収穫だった。

なお現時点で、おそらく各種ベストテンに入ると思われる『この世界の片隅に』『湯を沸かすほどの熱い愛』は未見。


永い言い訳 (文春文庫)

永い言い訳 (文春文庫)

葛城事件 [DVD]

葛城事件 [DVD]


葛城事件』における三浦友一の演技は、凄みがあり称賛に値する。

後妻業の女 DVD通常版

後妻業の女 DVD通常版

後妻業 (文春文庫)

後妻業 (文春文庫)

後妻業の女』は、大竹しのぶが演じることで、黒川博行原作が見事にというか、予想どおりの作品になっている。面白いし、現実問題として喜劇でありながら、老いることの悲劇性をも帯びている秀逸なフィルム原作現実事件を予告した小説映画化であり、この作品ではなく、2014年に『破門』で直木賞を受賞した黒川博行作品は、何本か映画化が控えているようだ。


何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

朝井リョウ原作『何者』は、就職活動に集中する仲間たちの行動や心理を、距離を置いてみる主人公佐藤健の表情が印象深い作品だった。


日本映画ベスト1・2は変わらないが、その他は次点を含めて、あるいは未見の2本による入替が可能であり、順位がつけにくい作品が多かったことを補記しておきたい。




外国映画

1) ジュリエッタペドロ・アルモドバル

2)裸足の季節(デニズ・ガムゼ・エルギュベン)

3)ブルックリン(ジョン・クローリー

4)スティーブ・ジョブスダニー・ボイル

5)ルーム(レニー・アブラハムソン)

6)さざなみ(アンドリュー・ヘイ)

7)ダゲレオタイプの女(黒沢清

8) ハドソン川の奇跡クリント・イーストウッド

9)イレヴン・ミニッツイエジー・スコリモフスキ

10キャロル(トッド・ヘインズ)

次点 

レヴェナントアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

ヘイトフルエイトクエンティン・タランティーノ

ガール・オン・ザ・トレインテイト・テイラー

スポットライト(トム・マッカーシー

トランボ (ジェイ・ローチ)

山河ノスタルジアジャ・ジャンクー

ロブスター(ヨルゴス・ランティモス

ベストセラーマイケルグランデージ)

マダム・フローレンススティーブン・フリアーズ)


DVD「もしも建物が話せたら」(ヴィム・ヴェンダースミハエルグラウガー,マイケル・マドセンロバート・レッドフォード,マルグレート・オリン,カリム・アイノズ)


外国映画は、ベストテン順位がつけ難い。それだけ突出した作品が少ないということであろう。建物を巡る6本のオムニバス映画『もしも建物が話せたら』が、ベルリンフィルハーモニー、ロシア国立図書館、ソーク研究所オスロオペラハウス、ポンピドゥー・センターが対象となる。とりわけ、ロシア国立図書館の内部に圧倒される。膨大な古書目録カードを目にすると、電算化以前、ウェブ以前の落ち着いた雰囲気図書館が持つ渋い輝きは、素晴らしい。しかし『もしも建物が話せたら』は、DVDでの観賞となったので、ベストテンから外した。


D

ベストワンは、ペドロ・アルモドバル監『ジュリエッタ』となった。中年になったジュリエッタは、エマ・アスレスが、若い頃をアドリアーナ・ウガルテが演じている。母と娘の葛藤を描いた原作アリス・マンロー「ジリエット三部作をもとに、スペイン舞台を移し替え、同じ人物を二人が演じるというスペイン映画巨匠ルイス・ブニュエルの『欲望あいまい対象』の手法を用いている。母親人生を辿る形を二人の女優が演じて、娘の心境は不明のまま和解に向かうところで、映画唐突に終わる。のこされた余韻が観る者に想像させる、見事な美しい作品になっている。文句なしベストである


裸足の季節 [DVD]

裸足の季節 [DVD]

裸足の季節』は、今なお古い宗教的世界に残る女性差別女性蔑視の様子が生なましく、冒頭の少女姉妹5人の若々しくはしゃいでいる生を謳歌する姿が、次第に抑圧されて行く。その中で逃亡を決意した少女たち。逃亡できた少女行方が気になる現代問題作である


スティーブ・ジョブズ [DVD]

スティーブ・ジョブズ [DVD]


スティーブ・ジョブス』は、プレゼン時の舞台を経年で描くという漸進的なスタイル統一された、一種奇異な伝記であった。ダニー・ボイルらしい演出であった。


さざなみ [DVD]

さざなみ [DVD]

さざなみ』のシャーロット・ランプリングは美しい。


D

『イレヴン・ミニッツ』は、イエジー・スコリモフスキ実験映画として評価したい。映画の様々な手法が取り入れられていて、いかにもスコリモフスキ映画だった。


キャロル [DVD]

キャロル [DVD]

ロブスター(字幕版)

ロブスター(字幕版)

ベストセラー [DVD]

ベストセラー [DVD]


ベストセラー』の編集者コリン・ファースと、新人作家ジュード・ロウトマスウルフ役)の依存確執は、芸術であり商品でもある小説出版永遠テーマだ。アーネスト・ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルドが同時代作家として登場するところは興味深い。愛人役のニコール・キッドマンが好演。年歳を重ねたニコール・キッドマンは、このところ女優として大きく成長している。アクション映画の添え物ではなく、女優主体的に演じる映画が観たい。


『マダム・フローレンス』は、歌がうまいメリル・ストリープが、わざと音程を外すという、難しい役を演じて面白い女優が、普通に女優として映画制作できる環境にないハリウッド映画へのスティーブン・フリアーズによる挑戦と読みたい。


クリーピー 偽りの隣人[DVD]

クリーピー 偽りの隣人[DVD]

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何より今年は黒沢清活躍した年であった。日本映画クリーピー偽りの隣人』と外国映画の双方にリストアップした。フランス映画『ダゲレオタイプの女』は、ヒッチコック作品や、溝口健二の『雨月物語』を想起させる映像の深みを評価したい。

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