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2018-04-04 ジャン=ピエール・メルヴィルとは映画史上突出した監督である

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ジャン=ピエール・メルヴィル監督特集上映で、7本の映画を観た。短篇『ある道化師の24時間』のみ未見であった。二人の道化師24時間を追うドキュメンタリー。年老いた道化師生活ぶりには、哀愁がただようものだが、一種ユーモアを織り込み凝縮された短篇



『海の沈黙』は、ナチ占領ドイツ将校が、田舎の一軒家に居住することになる。その家には、叔父(ジャン=マリバロン)と姪(ニコル・ステファーヌ)の二人だが、ドイツ将校ハワード・ヴェルノン)に対して一言のことばも発せず対応する。将校が家を出るとき、姪ははじめて「さよなら」のひとことを言う。語りがそれぞれの立場から一方通行に終始するという映画として希有な作品である



賭博師ボブ』は、夜の世界賭博に明け暮れるボブ(ロジェ・デュシェーヌ)がカジノの金庫を狙う仲間を誘うが、肝心の賭場でボブは思いつきで始めた賭けごとがツキについて、金庫にある金額匹敵する儲けを出してしまい、すっかり、金庫破りを忘却してしまう。このあたりのアイロニカルな進め方は、いかにもメルヴィルタッチ


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影の軍隊』は、凱旋門前にナチ占領軍が行進するシーンから始まる。レジスタンスのリノ・ヴァンチェラの逃亡シーンが2回あるが、特にシモーヌ・シニョレによる手引きによって、死刑寸前に助かるシーンが圧巻であった。セリフが極端に少なく、淡々レジスタンス行為が描かれて行く、きわめて禁欲的な、ある意味恐るべきフィルムである。この作品メルヴィルベストに推す人が多い。


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仁義』は、フィルムノワールものアラン・ドロン主演という商業主義的要素が加味され、娯楽映画として公開されたが、今みるときわめてスタイリッシュフィルムとなっている。説明排除し、科白を少なくし、淡々と行動のみ捉えた、フィルムノワールの傑作。冒頭から夜行列車犯人(ジャン・マリア・ボロンテ)を移送する刑事ブールヴィル)二人の駆け引きがある。一方で刑務所から出所するアラン・ドロン。元刑事射撃の名手イヴ・モンタン存在が際立っている。


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モラン神父』は、カソリック神父ジャン=ポール・ベルモンド)と未亡人エマニュエル・リヴァ)の愛と宗教葛藤を描き、荘厳とも言える見事なロマンスに仕上がっている。今回の特集で7本を観た内、『影の軍隊』と同じ時代ナチス占領下のフランスという舞台が同じ。代表作2本が、レジスタンスにかかわるお話



いぬ』は、何度みても良く判らない。その判らなさが、ジャン=ポール・ベルモンドイヌであるかのような行動により視る者は誤解する。ラストで、ベルモンドを救うために郊外の別邸にセルジュ・レニアニが車で雨のなか疾走し、給油しているベルモンドを追いぬくあたりで、結末が判ってくる。判りにくさが、メルヴィルフィルムノワール第一作となる。


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以後、『ギャング』『影の軍隊』『サムライ』『仁義』『リスボン特急』と、メルヴィルタッチノワールが続くことになる。

ギャング』は今もDVD化されていない。早急にDVD発売を期待したい。

今回見た7本を踏まえて、私的ベストは『モラン神父となり、『影の軍隊』『サムライ』『仁義』と未見の『ギャング』を含めてベスト5となる。


ジャン=ピエール・メルヴィルとは映画史上、突出した監督であることを確認できた特集上映であった。


フィルモグラフィ14本

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