産経抄、橋下氏府知事選勝利について独自分析をぶちあげる。

橋下氏が勝った要因についてはいろいろあると思うんですが、おそらくそれはタダ一言「テレビに出てる有名人だったから」ということに尽きるのではないでしょうか。

そもそも氏の、あのマニフェストを読んでいたら助成金ばら撒き行政としか言いようのない無駄金使いが並んでいるわけで、とても府財政について真剣に悩んでいる人間が考えたものとは思えない。また氏の発言を丁寧に追ってきた人間ならどれほどの二枚舌かよくわかっているし、なおかつ出馬にいたる経緯や選挙中の言動、どれをとっても「誠意」という文字から程遠いといわざるを得ない。以前田中真紀子氏について確か立花隆だったと思うが、「彼女をよく知る人ほど支持をしない。知らない人ほど支持をする」と評していた言葉、それがそのまま橋下氏にも当てはまると思われる。個人的には「一見」政治家向きといえるのだが(いわゆる大衆のイメージ像の中にある「政治家」にはほぼそのまま当てはまるような気がする)本質的には「政治家」には向いていないと思う。まあ率直に言うとデマゴーグしてバックレてなかったことにするような責任も取れないやつは無理ってことなんです。

で、それはさておき。

昨日の産経抄はそんなネット界隈にみられる「有名人だから」なんて理由は一顧だにせず(阿比留記者だって書いているのに!)独自の分析をぶち上げてました。

産経抄】1月30日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080130/stt0801300213001-n1.htm

 当時としては珍しくないが、文豪・夏目漱石は7人の子宝に恵まれた。結構、子ぼんのうでもあった。それでも夫人に第7子の妊娠がわかったときには少々うろたえたらしい。明治42年7月23日の日記に「無暗(むやみ)に子供が出来るものなり」と記している。

 ▼さらに「願くは好加減に出来ない方に致したきものなり」と殊勝な「決意」を示す。ところが続けて「もし鉅万(きょまん)の富を積まば二十人でも三十人でも多々益(ますます)可なり」と意気軒高である。金さえあれば何人でもいいぞと言うのだが、多少ヤケクソ気味にも聞こえる。

 ▼新しい大阪府知事になる橋下徹氏も3男4女、7人の父親である。「素敵なお父さん」に選ばれ「子供が迷ったときに、よりどころとなる父親になりたい」と語っていたという。選挙戦でも「子どもが笑う大阪」をキャッチフレーズに、子育て支援を訴え続けた。

 ▼38歳の橋下氏には「若すぎる」「政治の素人」との懸念が聞かれた。テレビでの過激な発言や「子育て」に偏ったような政策をめぐり毀誉褒貶(きょほうへん)も激しかった。しかしその「子だくさん」ぶりはおおむね好感を持って受け止められたようだ。圧勝の一要因との見方もある。

 ▼日本の人口は一昨年には、景気回復により結婚や出産が増えたことなどで、一時的に増加した。だが昨年は出生数の減少で再びマイナスに転じている。厚生労働省によれば「今後も基本的には人口減少傾向が続く」といい、極めて深刻な問題であることに変わりない。

 ▼むろん結婚や出産には人生観や宗教もかかわってくる。漱石の「鉅万の富」や経済的な子育て支援だけで解決する問題ではあるまい。だが「子だくさん知事」の奮闘により、少子化問題への関心が少しでも高まるのであれば幸いだろう。

なんか初めて見ましたよ。勝因が「子だくさん」だからってーのは。「多少ヤケクソ気味にも聞こえる。」というのは、オナニー新聞などと罵倒されたにも関わらず、露骨に橋下氏へ擦り寄る貴紙面についてですか?と聞きたくなってくる。橋下氏のマニフェストの場合、別に「子育て」に偏った政策が疑問視されたのではなく、意味があるのかないのかわからないから疑問視されただけじゃないのか。例えば「公立小学校の芝生化」とか。*1これは一体何の意味があるのか、私のおろかな頭ではわからない。そういうのは市町村レベルの自治体で行うことじゃないのか。いやそもそも芝生化することによってどんな経済効果や徳育?効果が見込めるのか、そして維持費にどれだけかかるのかきちんと理解しているのだろうか。大雑把につけられた○億円という文字も、果たしてどこまで踏み込んでの試算なのかがイマイチはっきりしないし。『「石畳と淡い街灯」など、コンセプトをもった商業地域や市街地の景観整備を行い、人が集まる街をめざす』*2なんてことをいわれても、一体どこの市に適用するつもりなのか。まさか大阪市だけじゃないよな。つーか大阪市はそれよりももっと大事な整備があるんじゃないかとか読めば読むほどエー加減だなという思いがますばかりのマニフェストである。橋下徹氏のマニフェストが掲載されているサイトのトップに表示されているちっとも似ていない氏の似顔絵のように、なんとなく自己認識が甘いような気がするのは私だけだろうか。

まあなんというかとにかく産経抄の中の人が橋下氏のマニフェストなんかちっとも読んでないということがよくわかる。そしておそらく私の予想では、彼に投票した多くの人も、また同様であると。