自覚的じゃない感覚と計算〜ライフヒストリー(しんご3回目)
その頃、男子高校に通っていた。
ゲイのアダルトサイトやノンケのエロサイトで男の裸を見ていた。
「周りと違ってはいけない」という不安から、周りを真似たが、本当は女の子と手をつなぐことすら不快だった。
校内では、毎年違う男子を好きになった。
年々、男同士で抱き合う時や二人でいる時の喜び、ドキドキ感を強く自覚していった。
心の中まで深く入り込んで考えたことがなかったが漠然と「いけない」という感覚はあった。
「同性愛者と気づいたとき」を振り返るしんごさんのライフヒストリー『現実を掴む瞬間』。3回目です。
18歳の時、同じ生徒会の副会長が気になり始めた。
彼は、口数がとても少ない子だった。
病弱だけれど、体格は良くてスポーツマンだった。
ポーカーフェイスで何を考えているのか分からない。
コミュニケーションをとるのがとても下手なヤツだった。
最初のうちはムカつくことだらけだったけど、一緒に居る時間が多くなるにつれ、僕にだけ笑顔を見せたり、本音を話すようになった。
そのとき「自分が、こいつを変えてやる」と思った。
仲良くなると、彼は家庭環境が複雑なことを話してくれた。
そのうち、彼は自分の前でよく泣くようになった。
「気づけば二人はいつも一緒に居る」。
学校でよくそう言われた。
兄弟のようだ、と言われたこともあった。
周りの見方だと僕が「弟」で彼が「兄」。
だが、実際は逆だった。
自分自身にも、自分がヤツを支えている、という自信があった。
そんな中、「セックス」の「セ」の字も言えない彼の性器を制服の上から触ったり、こちらが恥ずかしがらないで遊びっぽくやれば、彼の方も自分の性器を触るだろう、と計算をしていた気がする。
ゲイと気づく前だったから、この行動に僕は罪悪感というもの感じなかった。
(しんご)〜【続く】〜