『うそうそ』(74/100)

若だんなと愉快な妖(なかま)たちシリーズ第5弾。長編は、第1弾の『しゃばけ』以来では? 図書館で予約して2ヵ月半くらいで回ってきた。読了日は8/4。

うそうそ しゃばけシリーズ 5

うそうそ しゃばけシリーズ 5

長崎屋の病弱な若だんな・一太郎は、手代の佐助と仁吉、腹違いの兄・松之助、鳴家3匹をお供に、箱根へ湯治に行くことに。初めて親元&江戸を離れての遠出にワクワクの若だんな。だが、船で小田原に向かう途中、佐助と仁吉が姿を消してしまう。おまけに、松之助と2人で箱根の湯を目指そうとした若だんなは、塔ノ沢で何者かに誘拐され……。


人情物っぽい雰囲気だったここ3冊とは大違いで、アクションシーン満載。最初の方でいきなり、佐助&仁吉の「若だんな命」コンビが揃って行方不明になってしまい、若だんなはどうなるの〜?と不安に。さらに、夜の山道を延々歩かされるわ、崖下に転がり落ちるわ、手足が傷だらけになるわと、ひ弱な若だんながズタボロにされまくるので驚いた。
雲助、武士、天狗と敵らしきキャラクターが次々に現れ、何だかよく判らないうちに若だんながさらわれたり襲われたりするのは辛かったし、敵たちの関係がやや頭に入ってきづらかったかも(まあこれは、読みかけのまま途中で違う本を読んじゃったりしたせいもあるかもしれないけど)。お江戸を離れるという設定は斬新だけど、個人的には長崎屋周辺で展開する話の方が好きだなぁ。
自分と似たような悩みを持つお比女ちゃんを諭しつつ、彼女を通して自らの姿を見つめ直す若だんなの姿にはしみじみ。佐助&仁吉と引き離されてる時間が長く、自分で決断を下さねばならない事柄が多かったこともあって、若だんなが大人への階段をひとつのぼったことを感じさせられる最新作だった。


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