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負け犬のプライド  

2012-02-14 一つの「中国」と、台湾の帰属問題。 このエントリーを含むブックマーク

前々から疑問に思ってたことがある。ツイッターでちょっと書いたんだけど。

NHKがどうだと言うのも結構だけど、日本は現在の中国政府承認(「中国」における唯一の合法的な政府である、と)してるし、台湾中華民国とは断交状態にある。その「中国」とは台湾を含むのか?は疑問だけど、国会答弁ではなんといってんでしょうね?調べる。 https://twitter.com/#!/makepura/status/168657095665795073

んで、中華人民共和国国連での「中国についての」代表権を得て中華民国が脱退したアルバニア決議前後の国会答弁を調べていた。

衆 - 沖縄返還協定特別委員会 - 5号 ()

昭和46年11月15日

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの問題、台湾の帰属の問題、これにはやはり相当前置きがございます。少し時間をかけてお聞き取りをいただきたいと思います。

 サンフランシスコ条約、これに全面講和あるいは多数講和だ、こういう表現がされておりますが、われわれが一番残念に思うのは、戦争の起こりであった中国の代表者がこのサンフランシスコ会議に招かれなかった、このことが一番悔いられておるわけであります。当時もうすでに北京に、また国府は台湾に、こういうことで二つの政権のあったこと、これはもう御承知のとおりであります。そうして、しかも国際的な承認の状況、これは当時は国民政府を承認している国が四十数カ国、また、中華人民共和国を承認している国が二十四カ国程度ではなかったかと思います。したがって、サンフランシスコ会議に中国の代表が出られなかった、こういうことで、われわれはソ連講和条約もできなかったが、同時に、肝心な中国との講和条約ができなかった。そのサンフランシスコ条約に引き続いて今度は日華平和条約、これを結んだのは、日本の選択で中華民国、こういうことになっております。そこで、この中華民国は、当時中国大陸に対して施政が及んでおらない、そういう状況でございますから、ただいま限定政権という呼び方をされましたが、私は、吉田さんが中国の代表として中華民国を選んだ、そのことは、当時の国際承認国の多数と、こういうことに基づいてやったんだと思います。しかしながら、施政権は中国大陸に及んでおらない。だから、その戦争は終結したけれども、この条約の及ぶ範囲は、中華民国の施政の及ぶ範囲だと、かように条約を規定したこと、これは当然だろうと思います。そこで、これがただいま問題になっておるわけですが、当時のことは、私は間違いではなかったろうと思う。私どもそのまま肯定してしかるべきだと思う。これが国際世論だと思っております。しかし、今日になってみると、その状態で日本が権利、義務を持った日華平和条約、これが支障を来たしておる、こういうことになっております。

 ところで、この台湾の帰属でありますが、これはもう一切の権利、権原を放棄したものだ、これだけは日本政府ははっきり言えることであります。同時にまた、この台湾は、いわゆるカイロ宣言その他の連合国側で相談したときに、戦争で失った領域はもとの宗主国に返す、しかし、新しくその領土は拡張しない、こういう申し合わせがありますから、その申し合わせによって、私は、これは中国の一部になったんだ、かように思うほうが理の当然ではないかと思います。どうもそこまで云々することはよけいだと、かような議論もいままでしておりましたが、なお私は事態を、その歴史的事実から見まして認めることがよろしいのではないか。

 もう一つあります。これは台湾を領有している中華民国とわれわれは日華平和条約を結んだ。そこにいる中華民国、蒋介石総統は、中国は一つだ、こういう表現をしております。したがって、私どもはいまさら台湾の帰属を論議する筋合いではないのではないか、かように思うのでありまして、この点は非常に明確であります。

 ただ、私はあえてもう一言つけ加えさせていただきたいのは、昨年の国連の総会におけるわれわれの態度と今回の国連における態度、これは非常な変化を来たしておるはずであります。これは、中華人民共和国を承認する多数の国が世界にある、そういう立場から、いわゆるアルバニア案が通過はいたしましたが、アルバニア案と、われわれの提案した案との相違は一体どこにあるのか。それはただ一点、台湾の処遇の問題だけが違うのであります。アルバニア案では、台湾を追放しろといっておる。われわれは簡単にその追放はできない。しかし、中華人民共和国を国連に迎えること、同時にまた、安保常任理事国にすること、これはアルバニア案と同様であります。ただ、私どもは、いままで忠実に国連憲章を守ってきたこの台湾を、追放という処置はとらない。これが違うところであります。それならば、二つの中国、あるいは一つの中国、一つの台湾、そういうような考え方かと、かように申しますと、そうではない。私は、アルバニア案が通る前から、中国は一つだと言っておる。これは蒋介石総統自身が、中国は一つだと言っておる。また北京においても、中国は一つだと言っておる。大体この国が二つであるとか、一つの台湾、一つの大陸だと、こういうようなことを外国人がとやかく言うことはないと思います。ましてや、戦争で負けて放棄したその地域についてとやかく言う筋のものでないこと、これはもうはっきりいたしております。私は、それぞれの政府を代表するそれぞれが、いずれも中国を代表する正統政府、かように言っているのだから、その点は中国の問題としておきめをいただきたい、かように申し上げておるわけであります。ただいまお尋ねになりました点は、非常に明快にお答えできるように思います。

台湾の帰属について考えるときは、まず歴史をおさえる必要がある。

(1)戦前・戦中は日本が支配していた(台湾統治時代)

(2)戦後、統治者がいなくなった台湾に中華民国軍が進駐。このときから台湾は中華民国の実効支配がなされている。

(3)49年に中華人民共和国成立。国民党が台湾に。

(4)「台湾地域(この言葉にも定義づけがあるけど、今回は割愛)」の領有権放棄について、サンフランシスコ条約&日華平和条約で日本は確認(放棄時点は「降伏時点(日本側における終戦の日45年8月15日、これも後々の事情から争いがある)」)。

このへんが前提事実ってことになる。

ここから下線強調部分、一つの中国って問題は「中国」の問題だって理解につながる。

つまり、中華人民共和国政府(分かりやすくいうと、共産党)が実効支配している地域が「中国」なのか。それとも、中華民国政府が実効支配している地域「台湾」まで含んで「中国」なのかって問題に他ならないことになる。

忘れちゃいけないのは、「台湾」自体の実効支配は中華民国が守っているということですね。ツイートで指摘したように、日本は「中国」における正統な政府は中華人民共和国政府だといっています。しかし、その「中国」には「台湾」は含まれないって理解をしているわけです。

ところで日本はアルバニア決議が通り国連の代表権を中華民国が喪失した翌年(1972年)に、中華人民共和国を国家承認するとともに、中華民国との国交を断絶しています(国交断絶って言葉はイメージしにくいけど、要はその国との間で外交使節の派遣と接受をやめることを意味する。つまり、国としてオフィシャルな付き合いはしませんってことを、具体的な行動で示すもんです。)。

そのことが、中華民国を認めないことを意味し、同時に「台湾」まで含んだ「中国」という理解に賛同しているのか?

これが問題です。

日本と中華人民共和国は、日中共同声明(1972年)でこんなことを確認しています。

日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。

三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

中華人民共和国は、ここで明確に「台湾」まで含んだ「中国」という理解を示しています。これが彼らのいう、「一つの中国」という理解です。日本はこの意味での「一つの中国」を、十分理解・尊重することを確認してるわけです。時系列としては、この直後に日本と中華民国は国交を断絶することになった。

さきの問題について答えるならば

(1)国交を断絶しても「国家」として台湾を日本が認めないとまではいっていない(現に日本以外の国、パナマなどは台湾を国家と認めています http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taiwan/data.html )。

(2)日本は中華人民共和国がいう「一つの中国」を十分理解し尊重しているが、佐藤元首相の答弁にみられるように、肯定も否定も示していない。なぜならば、それは「中国」の問題であって、中華民国の立場については明言を避けている。

(3)もっとも、日中共同声明が調印された9月29日に、当時の大平外相が日華平和条約は失効したと表明している。条約は台湾について日本が放棄したことを明記するが、領有権が中華民国に帰属してることは確認していない。もし確認しているならば、条約の失効を表明したことが中華人民共和国の「一つの中国」に賛同した証拠ともとり得るが、そうは評価できないと考えられる。

大平外相の答弁 昭和47年11月02日 衆院予算委員会http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=7173&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=4&DOC_ID=5642&DPAGE=1&DTOTAL=27&DPOS=20&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=14118

○大平国務大臣 日中共同声明の第三項に、台湾の領土の帰属について双方の見解が明らかにされております。矢野さんがおっしゃるように、中華人民共和国といたしましては、台湾は中国の不可分の領土の一部であるという見解を再確認いたしております。わがほうといたしましては、その中国の立場を理解しかつ尊重いたします。しかし、これを承認するということは書いてありません。わが国の立場は、ポツダム宣言を受諾した立場におきまして、わが国が放棄した領土の帰属について、わが国が独自の判定を下す立場にございませんことは、従来政府が繰り返し述べてきたところでございますが、ポツダム宣言はカイロ宣言を受けまして、台湾は中国に帰属すべきものであるという見解が述べられておりまして、現に帰属しておるというように私どもは理解いたしていないのでございます。これはあくまで法理論としてそうで、そういう立場を私どもはあそこに明らかにとらせていただいたわけでございます。政治的には一つの中国の立場を貫き、台湾に領土的野心を日本は持たないばかりか、台湾の独立運動等に加担をする意思は毛頭ございませんということを鮮明にいたしておりますけれども、純法律的な冷たい論理の展開といたしましては、共同声明三項に、日本政府の立場を明らかにしておるわけでございまして、台湾をめぐる事態は、政治的な面と、そしてそういう法律的な面におきまして、必ずしもしっくり合致していないのが遺憾ながら現実でございます。

こんな感じになるでしょう。ところで、ツイッターで騒がれてたNHKの偏向放送(?)とやらはなんだったんだろう。

調べてみたらこういうことがあったらしい。http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1774.html

日本の海保の作成した「日本の領海等概念図 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html」では、たしかに台湾は日中中間線の東側に書かれていますね。だからといって、日本が台湾の帰属について上記のようなスタンスで考えている以上は、ゆえに偏向だと断定する評価も下せないんじゃないでしょうかね。個々の人たちがどう思うかは別です。