建築業界が自由競争ではうまくいかない理由

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20071005#p1の「医療業界が自由競争ではうまくいかない理由」に関して。

「医療業界にはいろいろ規制があって非効率的だ。市場原理にまかせて競争にさらせば、より良い医療機関が残り、医療の質は向上する」



という意見を散見する。「混合診療全面解禁を!」「医師会が反対するのは既得権利を守るためだ」という主張とセットになっていることが多い。一般的には自由競争は市場を効率化するが、医療業界は自由競争ではあまりうまくいかない。なぜか。理由はいろいろあるが、その一つは情報の非対称性である。

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20071005#p1


情報の非対称性というのは、たいていの工業製品にも当てはまるかなと思いました。電気製品や車の仕組みなどはたいていの人が専門知識を持ちません。逆に、洋服や中古車で買い手が商品について価値の判断が出来るならば、医療についても可能でしょう。いやな目にあったことのある病院に2度と行かないというようなことを書いている人はいます。

医療業界でも、製薬会社や医療機器メーカーは株式会社がほとんどでしょうから自由競争の元にあるわけです。まあリンク先で書かれているのは主に病院のことでしょう。


リンク先の医療業界を、他の業界に変えて考えてみました。建築業界に関しても、医療業界と同じようなことがいえるかもしれません。買い手には、建築物の良し悪しがわからないので、鉄筋の少ないマンションを安いといって高く評価するかもしれません。地震があって建物が倒壊しなかったとしても、たまたまその場所の揺れが弱かったのかもしれないのです。公共事業でも、競争入札という自由競争ではうまくいかないかもしれません。
最近郵便局が民営化されましたが、郵便事業などもうまくいくかはわかりませんが自由競争の方向に進みそうです。電気、ガス、水道や、電車やバスなど、それから電話や放送関係もそうかな。TV業界では自由競争はあまりうまくいかない。視聴率などの評価はできる。しかし、肝心の番組の質そのものの評価は大変困難である、とか。
教育業界などは、人間を扱っている点でも医療業界に近い考え方が出来るかもしれません。


なんかこうして考えていくと、市場原理というのがあまりいいものではなさそうにも思えてきました。しかし、何か他にいい方法があるのでしょうか。政治に期待したいところですが、政治家も投票というある種の自由競争によって選ばれているわけだし…。


(7日追記)
コメント欄の指摘を受けて、建築業界の規制緩和関連について少し調べてみました。といってもインターネットで検索しただけですが。市場原理ではうまくいかないという意見は建築業界にもあるようです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-19/2005121901_01_2.html耐震偽装招いた建築基準法改悪-米と業界圧力-工法・建材も自由化」
http://www.dokokyo.or.jp/ce/kikanshi0010/mado.htm「新たなコスト縮減計画がスタート」
http://www.dokokyo.or.jp/ce/kikanshi0102/tokusyu3.htm『「日本の都市政策」について』
http://www.city.soka.saitama.jp/hp/page000002400/hpg000002398.htm「【草加市】学校天井高規制を撤廃」
http://www.jri.co.jp/JRR/2001/05/op-21stcen.html「21世紀は経済原理を生かした経営力の時代:JRR|日本総研シンクタンク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8F%E5%88%B6%E7%B7%A9%E5%92%8C規制緩和 - Wikipedia