Ragazzi blog

サイクルショップ Bicycle Ragazzi のブログ

やりたい仕事

ウチは自転車屋ですから自転車の修理は大切な仕事です。


壁にロードバイクが掛かっているせいで申し訳なさそうに
「ママチャリ修理してもらえますか?」と聞かれますが
ダテにドラム缶みたいにラッピングされて送られてくる鉄リムの荒組1日中なんて
修業時代も経験させていただいておりますので
引っ掛けハブの車輪組だのバンドブレーキのクリアランス調整だの
全ケースの婦人車をケース外さずチェン交換だの
およそスポーツ車と縁遠い作業もフツーにできますフツーにします。


なんでママチャリ修理までしてんのかっていうと
ウチの地域は中学校自転車通学なんですね
そんな所なもんで、ちゃんと修理する自転車屋がないと不便だろうな
出来るんだからやらなきゃな。と思うからです。



前置きが本題なみに長くなってしまった


今回のお題は修理、オーバーホールですが
『ママチャリ修理やりまっせ!!』ではありませんでした。



自転車ブームってのは周期的に起こるようです
ブームの時に買ったものとは限りませんが十数年も前に買って乗らなくなった自転車や
人から譲ってもらった古い自転車を乗れるようにしてほしいといった依頼が時々舞い込みます。



消耗品全とっかえとなるとけっこう費用が掛かるので
見積見て「ちょっと考えます」ってなることもしばしば
もうちょっと足せば安いクロスバイクが買えるとなれば
その判断は正しいと思います。(僕の方からよく考えてと言うこともある)


反対に是非なんとか直したい、やりたい!という自転車もある
歴史的名車なんて当然そうだろうけど、そんなもんが持ち込まれることは、まず無い
どういう自転車にそんな気持ちが起こるのかというと


この自転車直したら
ずっと大事にしてもらえる!


と感じる自転車


「安く直ったらコレ乗るわ」ではね、時間かけて仕事出来ません
当然仕事の対価もいただきますが、対価以上に依頼主に喜んでいただくには
オーナー自身の「この自転車がエエねん」という気持ちが不可欠。


僕も自転車好きだから「この自転車がエエねん」というオーナーには
もっと喜んでもらおうと見積以上の作業をしてしまう
作業時間や作業内容で工賃計算する会社勤めなら間違いなく上司に怒られちまうよ。


手間かけた自転車をオーナーが大事にしてくれると
自分の仕事も自転車と一緒に大事にしてもらえる気がする
そういう仕事はぜひとも『やりたい』と思える仕事。


メーカー箱入り、一年保証の実用品なら安く売ってるとこ探しゃいいけど
想い入れと手作業が絡む自転車はたんにモノとカネだけをやり取りするもんじゃねんだよな。
良い自転車屋っていろんな要素によって選び方が変わると思うけど
これ読んで「なんか分かるなぁ」と思ってくれる人を喜ばせる自転車屋でいたいね。