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2013-01-26

][Meteorology] 高層観測、レーダー観測、気象衛星観測の知識 18:52 ][Meteorology] 高層観測、レーダー観測、気象衛星観測の知識を含むブックマーク ][Meteorology] 高層観測、レーダー観測、気象衛星観測の知識のブックマークコメント

レーウィンゾンデ(ラジオゾンデ)観測

レーウィンゾンデ観測の方法
  • レーウィンゾンデ(ラジオゾンデ):ヘリウムを充填したゴム製気球に観測機器を取り付けたもの。上空の気温、湿度、気圧、風向、風速などを観測する。午前9時と午後9時の2回観測する。気球を放つのは観測時刻の30分前である。気球は6m/s程度の速度で上昇する。高度30km程度で気球は破裂し、パラシュートで落下する。風に流されるが、データは観測所真上のものとして取り扱う。
レーウィンゾンデ観測の気象要素
  • 気温:太陽放射の影響を考え、日射補正を行なって観測値とする。補正幅は上空ほど、また上昇速度が遅いほど大きい。夜間は補正を行わない。
  • 湿度:気温-40度以下になった場合は観測しない。報告は湿数。
  • 気圧:気圧から層厚の式を用いて高度を計算する。GPSゾンデの場合は人工衛星からの情報により位置を3次元的に解析できる。
  • 風向・風速:高度と角度から水平面上の位置を計算し割り出す。GPSゾンデの場合は気球の位置を解析し、水平移動距離から速度を計算する。
ラジオゾンデ観測の場所

2012.4.1時点では、気象庁は全国16箇所の気象官署や昭和基地、海洋気象観測船でラジオゾンデを用いた高層気象観測を行なっている(気象庁 | ラジオゾンデによる高層気象観測)。

気象レーダー観測

気象レーダー観測の基本原理
  • レーダー観測:電波を目標物に発射し、反射してくる電波の強度と経過時間から目標物の像や距離を求めるもの。
  • ドップラーレーダー:移動する物体に電波があたって反射する場合に周波数が変化する性質を利用して目標物の移動速度を求めるもの。
  • 気象レーダー:気象レーダーアンテナからパルス状に発射された3cm〜10cm程度の波長の電波が降水粒子にあたり、散乱(後方散乱)してアンテナに戻ってきたときの強度や時間を解析して降水粒子の範囲や強度を求める。パルス幅は長いほど目標降水粒子までの距離の解析精度が低下する。気象庁のレーダーでは2.5μsのパルスを使用。
レーダー方程式の意味

以下のレーダー方程式により求められう電波強度が大きいほど降水強度が強いことを意味する。

  • :平均受信電力。後方散乱を受けてアンテナに戻ってくる平均電波強度。
  • :レーダー反射因子。後方散乱しやすい物質ほど大きくなる。水と氷では水のほうが5倍電波を後方散乱しやすい。
  • :大気ガスによる減衰。
  • :レーダーからの距離。平均電波強度は距離の2乗に反比例する。
  • :電波の波長。平均電波強度は波長の2乗に反比例する。波長が短いと後方散乱は強い。
  • :パルス幅。パルス幅は長いほど平均電波強度が強くなるが、前述のように距離精度が悪化する。

レーダー方程式では大気ガスによる減衰は考慮されているが、途中に別の降水があった場合の減衰は考慮されていない。

電波の後方散乱と降水粒子の関係

後方散乱と降水粒子の関係は次式で求められる。

  • :後方散乱強度
  • :降水粒子の直径

後方散乱強度が降水粒子の直径の6乗に比例するために、同じ降水量でも細かい粒子が多くある場合より大きな粒子が少ない方が後方散乱強度は強くなる。

また、この近似式は降水粒子がレーダーの波長よりも十分に小さい場合に成立する。ひょうや大型の雪片などは観測できない。

気象レーダーの性質と特徴
  • 設置場所:高いほど探知距離が大きくなる
  • 波長:長いほど大気ガスによる減衰が小さく遠くまで観測できる
  • 地球の曲率の影響:大気の密度は下層ほど大きいので電波はわずかに下方向へ曲がりながら進むが、地球の曲率の方が大きいため、上方向へ逸れるように進行する。
  • 高さの影響:レーダーは高度2km付近を目標に射出される。2km付近の降水粒子は地表に届く前に蒸発する可能性があり、実際の降水強度よりも強い値を観測する場合がある。地表面が乾燥していると特に顕著である。
レーダーの使用上の注意
  • グランドエコー:山岳や地形による後方散乱から生ずるレーダーエコーをグランドエコーと呼ぶ。概ね除去できるが完全ではない場合もある。
  • シークラッター:波浪による波しぶきがレーダーエコーとして観測されたもの。これは除去することができない。
  • エンゼルエコー:大気の屈折列の乱れによるエコー。晴天エコーとも。これも除去できない。
  • ブライトバンド:雪の表面が溶けると、通常の降水より表面積の大きな状態となる。このようにして生じたエコーの強い部分をブライトバンドと呼ぶ。
  • 降水が雪か雨かはレーダーでは判別できない。
  • レーダー反射因子Zと降水強度Rの関係をZ-R関係と呼ぶ。値は降水の性状により異なる。
  • シャドウ域:障害物などによって不自然にエコーの弱くなっている部分。現実の降水強度を表さない。

気象ドップラーレーダー観測

ドップラーレーダー観測の原理
  • 発散場:発散の奥側では周波数が負、手前側では周波数が正方向へ変化する。
  • 収束場:収束の奥側では周波数が正、手前側では周波数が負方向へ変化する。
  • 低気圧性循環:低気圧の左側で正、右側で負。
ウインドプロファイラ観測
  • ウインドプロファイラ観測:地上からドップラーレーダを用いることで高層風の観測を3次元的に行うもの。10分間隔で観測できる。
  • WINDAS:ウィンドプロファイラの観測網を使った局地的気象監視システム
  • 電波の波長と観測:ウィンドプロファイラでは22cmというかなり大きな波長を用いる。波長の1/2程度の大気の不均衡が存在するため観測ができる。
  • 降水がある場合:降水がある場合はレイリー散乱が起こるためウインドプロファイラの観測データは降水粒子の動向を観測することになる。水平方向の移動はほぼ風速と等しいが、鉛直方向の動きは鉛直流とは異なる。
  • 観測高度:ウインドプロファイラ観測は大気の乱れ、水蒸気密度の不均衡を利用して観測する。そのため、大気の水蒸気量が少ない冬季には観測高度が低くなってしまう。

海上気象観測と特殊観測

波浪の知識
  • 波浪:風によって直接生じる波。風向と卓越波向が概ね一致し、卓越周期が短い。
  • うねり:台風や発達した低気圧によって生じた遠方から伝わる波浪。波浪よりも波長が長く卓越周期も長いので減衰が起きにくい。卓越波向と風向きは必ずしも一致しない。
  • 波高:波の谷から峰までの高さ。
  • 有義波高:100以上の連続して観測した波の波高のうち上位から1/3の平均値を言う。天気予報で利用する波浪情報。浅瀬で波高が高くなる影響の考慮はしていない。また、1/1000程度の頻度で有義波高の2倍程度の波が生ずることにも注意する。
  • 波高の発達:風向の変化が小さく風走距離が長いと波高が発達しやすい。
高潮の知識
  • 高潮:波ではなく、潮位そのものが上昇する現象。気圧低下による吸い上げ効果や、海岸に強い風が吹き付けることによる吹き寄せ効果による。
  • 地形:風上側に開いたV字、U字の湾や、遠浅の海岸は顕著な高潮が起こりやすい。
  • 天文潮:1日ほぼ2かいずつ満潮と干潮がある。それぞれの潮位は一定ではなく、月の引力の関係で大潮と小潮がある。大潮の満潮時に台風が接近しているような場合は特に注意が必要である。
オゾンの知識
  • オゾンホール:南極海では例年10月に成層圏のオゾン密度が著しく減少する。南極では大規模山岳がなく偏西風の蛇行が少ないため、極渦という現象が発生してオゾンの輸送が少なくなる。オゾンホールは南極ほどではないが北極でも3月頃に出現している。
  • 観測にはドブソン分光光度計を用いる。世界の約100地点で観測が行われている。
    • 太陽の直射日光を利用した観測:高精度。
    • 天頂光観測:直射日光が少ない場合は散乱光を利用。
    • 月光観測:極夜の場合は月光を利用。

気象衛星観測

代表的な気象衛星の種類
  • 静止気象衛星(ひまわり):2005年6月28日から運輸多目的衛星MTSAT-1Rによる気象衛星観測の運用が開始されている。俗称としてひまわり6号と呼ばれている。ひまわり6号は東経140度の赤道上空3万6000kmにある。
  • 極軌道衛星(NOAA:アメリカ):両極地方の上空約840kmを結ぶ軌道を周回する衛星。周回するのに必要な時間は約100分で、同じ地点は1日にほぼ2回通過する。よって同じ地点では12時間おきにデータが取得できる。水平観測範囲は2500km程度である。
気象衛星観測で用いる波長帯
  • 赤外画像:テレビの天気予報で見る気象衛星画像はほとんどが赤外画像。低温部ほど相対的に白く写る。
  • 可視画像:可視画像では厚い雲ほど白く写る。また、雪氷域も白く写る。ただし、太陽光が斜めから射す朝夕は暗く写りやすい。日中しか利用できない。
  • 水蒸気画像:水蒸気が吸収しやすい6.5〜7.0μmの波長帯。この領域の赤外放射が少ない(=水蒸気が多い)と白く写りやすい。上層の水蒸気量解析に用いられる。白いほど上層の水蒸気量が多いと判断する。
  • 3.7μm画像:ひまわり6号から新しく観測されている。赤外画像と可視画像の中間的な性質をもつ。夜間の極めて地表付近の雲(霧含む)の解析ができる。地表面付近に雲が存在する場合、地表面温度に対応する輝度よりも白く見える。
各画像の輝度と雲域の判断要素
  • 可視画像(雲の厚みを判断)
    • 非常に白い:非常に厚い雲
    • 白い:厚い
    • 明灰色:やや厚い
    • 暗灰色:薄い(単層)
  • 赤外画像(雲頂高度を判断)
    • 非常に白い:圏界面付近
    • 白い:上層
    • 明灰色:中層
    • 暗灰色:下層
    • 写っていない:極めて低いか地表面
  • 水蒸気画像(上層の水蒸気量を判断)
    • 明域:湿潤
    • 暗域:乾燥
雲の種類による画像の特徴
  • 層雲や霧:高度が低く赤外画像ではほとんど映らない。可視画像では一様に滑らかで比較的白い。
  • テーパリングクラウドなど発達した対流性の雲:上層まで及ぶ対流性の雲であるため、赤外画像ではっきりとした輪郭で非常に白く写る。
  • ジェット巻雲:雲頂高度は高く赤外画像で白く写る。
  • バルジ:中上層の層状性の雲からなり、赤外画像で温帯低気圧の北側から北東側に膨らむ形で白くなめらかに写る。温帯低気圧は発達中と判断できる。
  • 水蒸気画像からのジェット気流の判断:明域と暗域の境界(バウンダリー)から極側に50〜100kmの位置にジェット気流はは存在する。
  • 水蒸気画像からの上層過冷渦の解析:低気圧性の循環を持つ暗域として存在する。500hPa天気図では寒気核と低気圧性循環の風が判断できる。

アメダスと観測東経

アメダス(地域気象観測システム)の利用法
  • アメダス:Automated Meteorological Data Acquisition Systemの略。「降水量」「風向・風速」「気温」「日照時間」の4つの気象要素を児童観測している。平均21km間隔で設置されており、全国に約850カ所ある。「降水量」のみの観測では全国で約1300カ所(17km間隔)である。また、280カ所では積雪の観測も行う。観測は10分間隔で自動的に行われ、公衆電話回線により5分以内にアメダスセンターに集められてチェックを受け、気象資料統合処理システムに通報され、毎正時から6分以内にユーザーへ配信される。アメダスの観測データには気象官署での観測データも含まれる。
  • 気象官署:気象庁、気象研究所、気象衛星センター、高層気象台、地磁気観測所、気象大学校、海洋気象台、管区気象台、地方気象台、航空気象台、測候所などを言い、ほとんどの気象官署で観測業務が行われている。
観測統計・対象期間表記・雨風の表現
  • 代表的な観測統計の手法
    • 気圧(日平均):気象官署では毎正時の平均値。アメダスでは観測なし。
    • 気温(日平均):気象官署、アメダスともに毎正時の平均値。
    • 風速(日平均):気象官署では1日の風程(大気の流れた距離)を86400秒(1日)で割る。アメダスでは毎正時の平均値。
    • 降水量(日降水量):気象官署、アメダスともに毎正時の観測値の合計。
    • 降水量(最大1時間雨量):気象官署では前日23:30から翌日00:30までの間の任意の連続する1時間の最大値。アメダスでは00:10から24:00までの10分毎の観測値の任意の連続する1時間の合計値の最大値。
  • 3時間毎の対象期間表記
    • 未明:0〜3時(旧称:午前3時頃まで)
    • 明け方:3〜6時
    • 朝:6〜9時(旧称:朝のうち)
    • 昼前:9〜12時
    • 昼過ぎ:12〜15時
    • 夕方:15〜18時
    • 夜の初め頃:18〜21時(旧称:宵のうち)
    • 夜遅く:21〜24時
  • 雨量の表現
    • やや強い雨:10-20mm
    • 強い雨:20-30mm
    • 激しい雨:30-50mm
    • 非常に激しい雨:50-80mm
    • 猛烈な雨:80mm以上
  • 風速の表現
    • やや強い風:10-15m/s
    • 強い風:15-20m/s
    • 非常に強い風:20-30m/s
    • 猛烈な風:30m/s以上
気象観測統計
  • 平年値:2013年時点では1981年から2010年の間の30年間の平均値として求めている。10年毎に更新されている。次回は2021年に更新。平均を求める際、極めて高いデータや極めて低いデータは除外する場合がある。
  • 寒候期:10月から3月(寒候期予報では10月から2月を用いる)
  • 暖候期:4月から9月(暖候期予報では3月から8月を用いる)
  • 積雪・降雪の深さ:冬季の季節を暦の中心とし、8月1日から翌年の7月末までの期間を年統計の期間とする。
  • 日界:深夜00:00は前日の24:00として扱う。

2013-01-23

[] 地上観測の知識 23:27  地上観測の知識を含むブックマーク  地上観測の知識のブックマークコメント

前回までは一般知識で今回から専門知識。

気温の観測

気温の観測場所と観測機器
  • 観測場所
    • 常に決まった地表面高度(日本では1.5m、積雪がある場合は積雪面から1.5m)
    • 輻射熱があまり強くない、ある程度の広さが芝生で覆われた場所(露場)
    • 直射日光が当たらない風通しの良い場所

地上観測の気温観測では立地や熱の影響を考慮した補正は行わない。一方、高層観測ではセンサー部に日射が当たることを考慮した補正が行われている。

  • 観測機器
    • ガラス温度計:水銀温度計を用いる。取り扱い、移動や設置が容易。
    • 金属製温度計:バイメタルを利用したもの。誤差が大きい。
    • 電気式温度計(白金温度計):白金の抵抗値が温度とともに大きくなることを利用した温度計。下部から空気を取り込む筒状の構造で、上部には傘とファンが付いている。空気を取り入れる下端が地上から1.5mの高さになければならない。センサーの高さではないことに注意。数秒から十数秒程度の急激な温度変化は測定できない。雨の降り始めは管内に結露した水滴の蒸発潜熱で一時的に気温が下がることがある。
最高気温と最低気温の定義
  • 最低気温:午前0時から午前9時までの間の最低気温
  • 最高気温:午前9時から午後18時までの間の最高気温

寒気が日中に前進してくるような場合では予報の最低気温よりも日中の気温が下がるような場合もあり得る。

地表付近の気温の特徴
  • 地表面温度に大きく依存する。
  • 海面温度はほとんど日変化しないが、台風や発達した低気圧で上下の混合が起こると海面温度は下がる。
気温の日較差
  • 晴れ>曇り>雨
  • 晴天時は日中は太陽放射で昇温しやすく、夜間は放射冷却で冷却されやすいため。
近年の温暖化傾向

ここ十数年は急激に温暖化が進んでおり、その一因が二酸化炭素の排出である。

実際には様々な要因が複雑に絡み合い気候システムが決定するので、二酸化炭素のみで温暖化が起こっていると言い切ることはできない。

2006年12月〜2007年2月は顕著な暖冬であったが平均気温は1〜2度高い程度であった。それほど平均気温上昇の影響はシビアに現れる。

摂氏、華氏、絶対温度
  • 摂氏:水の凝固点を0度、沸点を100度としてその間を100等分したもの。1742年にアンデルス・セルシウスが考案。
  • 華氏:水の凝固点を32度、沸点を212度としてその間を180等分したもの。1724年にガブリエル・ファーレンハイトが考案。
  • 絶対温度:分子運動が0となる温度を0Kと定義した温度。1Kの目盛りは1℃の目盛りに対応している。0Kは-273.16℃。

風の観測

風向・風速とは
  • 風速:0.1m/s単位まで観測する
  • ノット:1ktは1海里/hの速さ。1kt = 1.852km/h。ノットの半分が概ねm/s。
  • 風向:風が吹いてくる方向。16方位が普通だが天気予報では8方位の場合も多い。国際通報式(SYNOP)や気象台の観測機器では36方位で表す。何れの場合も最も数値の大きいものが真北で時計回りに数値が増す。
風の観測機器
  • 風杯型風速計:おわん型の羽からなる風速計。60m/s程度が限界で、鉛直成分があるとやや過大評価する。
  • 風車型風速計:プロペラと尾からなる風車型風向風速計は現代で多く使われる観測機器だが、瞬時の風速変化には対応しにくいという欠点がある。鉛直成分の影響は少ない。
  • 超音波型風速計:音波の伝播速度の変化から風速を測定する。cm/s単位の風も細かいスパンで測定でき、弱風や気流の乱れ率の測定に役立つ。
風の観測の時間と場所
  • 発表:観測時間前10分間の平均値で発表する。
  • 設置:地上10mが望ましいとされているが立地状況等に応じ10m以上となる場合も少なくない。東京大手町、気象庁の風速計は74.5mに設置されている。高度が高いほど風速は強くなることに注意。
平均風速・最大風速・最大瞬間風速の定義
  • 平均風速:10分間の平均風速
  • 最大風速:10分間の平均風速のうち最も大きいもの
  • 最大瞬間風速:最も強い風速の瞬間値
  • 最大風速と最大瞬間風速の関係:平均風速(最大風速)の1.5倍から2倍程度が最大瞬間風速と言われている。この倍率を突風率と呼ぶ。風速が大きいほど突風率は小さくなる。また、陸上の方が突風率は大きい。
  • 風の息:構造物や地形、熱の不均一の影響で生じる風の強弱。
  • 地上風については観測値データの補正は一切行わない。
飛行場における風速観測
  • 離着陸への影響を鑑みて2分間の平均風速を用いる。
  • 平均風速測定時間が短いので、最大風速は大きくなる。

降水量の観測

転倒枡形雨量計
  • アメダスや気象官署で広く使われている。
  • 0.5mm単位で測定可能だが非常に激しい雨では若干の誤差を生ずる。
  • 雪の場合は電熱ヒーターにより雪を溶かして測定する。
  • 蒸発などの補正は一切行わない。
積雪の観測
  • 雪尺:表面を白く塗装し、cm単位の目盛りをつけた木製の角柱。白色は太陽放射の影響を逓減するため。定点観測の他に必要であれば観測を行う場合がある。
  • 超音波式積雪計:L字型ポールから地上へ超音波を発射し、反射までの時間から積雪を測定する。
  • 積雪は1時間おきに定時観測を行なっている。
雨量計の設置場所
  • 受水口は地上20cm以上
  • 海上での測定は困難であるため、気象庁海洋ブイでの観測は行わない
  • 気象庁の観測船が停船している場合は観測を行うが海が荒れていると誤差が大きい
雨量観測で起こる誤差の要因
  • 受水口や貯水器面の濡れ(少雨で影響大)
  • 蒸発(少雨、乾燥時に影響大)

最も大きな要因は風で、強風は機器付近で乱流を発生させ雨滴の捕捉率を低下させる。

相対湿度・水蒸気圧・露点温度の観測

湿度の観測方法
  • 乾湿計:湿球と乾球2つの温度計の温度差から湿度を求める。
  • 塩化リチウム露点計:露点温度を直接測定したのちに計算によって湿度を求める。
  • 電気式湿度計:セラミックや高分子化合物の電気抵抗変化を利用する。高湿度から低湿度へ変化する際に実際の変化よりもやや遅れて観測するという欠点がある。

地上気圧の観測

地上天気図とは

地上天気図では1000hPaを基準に4hPaごとの間隔で等圧線を引く。20hPaごとに太線を引く。

地上天気図は観測地点の気圧を海抜0mの値に換算したのちに作成する。

気圧の観測
  • 単位:hPaを用いる。
平均的な地上の気圧
  • 1気圧 = 1013.3hPa
  • 大気圧は1cm^2当たり約1kg重
気圧の観測器
  • 水銀気圧計:他の機器の標準に使う場合がある。0度の時に構成をする。重力による補正が必要。温度に敏感に反応するので、温度変化の少ない室内で空調機から離して設置する。
  • アネロイド気圧計:ガラス面を軽く叩いて衝撃を与えて使用する。
  • 電気式気圧計
海面更正
  • 現地気圧:観測地点での測定値
  • 海面気圧:現地気圧を海抜0mに換算(海面更正)した値

海面更正をする場合、海抜0mから現地までの大気の状態はその時季に対応した平均的な状態と仮定する。誤差を避けるため海抜800m以上の観測点では行わない。逆転層など特殊な成層状態では誤差が大きくなる可能性がある。通常、気温減率0.5度/100mとして平均的な湿度状態からわかる補正幅を参考に計算する。計算には静力学平衡の式と気体の状態方程式を用いる。

日照の観測

直達日射、散乱光、全天日射
  • 直達日射:太陽から平行線で受ける光。瞬間値や一定時間の積算値を観測。
  • 全天日射:直達日射と散乱光の和。日の出20分前から日没後20分までの積算値を観測。観測は積算値のみ。

直達日射の有無は農作物の生育にとって重要であるため瞬間値の観測も行なっている。

日照率
  • 可照時間:その日の最大の日照時間
  • 日照率:可照時間に対する実際に日照のあった時間の比率
  • 日照がある:直達日射が120W/m^2以上の場合を言う。物体の影をつくることができる程度。
代表的な日射計の種類
  • 回転式日射計:太陽の南中方向に角度を固定しておく。内部の散乱反射鏡が30秒で1回転し、120W/m^2以上の直達光を観測すれば電気信号が1回出る。観測は2分単位。アメダスでも整備された地点では使用する。
  • 太陽電池式日照計:多くのアメダスで使用される。全発電量から散乱光による発電量を差し引き直達光の量を算出する。精度はやや劣る。
  • 太陽追尾式日照計:観測地点の緯度経度を元に太陽を自動追尾して観測する。気象台や測候所で使われる。
混濁係数
  • 大気に浮遊する微粒子量の目安。

視程の観測

大気の混濁
  • 大気の混濁:大気の濁り具合を指して言う。大気の混濁度は見通しに影響する。
視程の観測
  • 視程:観測地点から水平に360度見渡し、もっとも見通しの悪い方位における指定距離を言う。

雲の観測

10種雲形と雲の正常
  • 下層雲:層雲、層積雲、積雲、積乱雲
  • 中層雲:乱層雲、高層雲、高積雲
  • 上層雲:巻雲、巻積雲、巻層雲

積雲と積乱雲は対流性の雲、その他は層状性の雲である。

降水強度が10mm/h以上と強い場合はほぼ対流性の雲であるが、降水強度が弱い場合はどちらか判断することはできない。

雲形別の成因と特徴
  • 層雲:温度の高い空気の温度が下降して発生。霧は層雲が地表面に達して視程1km以下となったものである。降水はあっても弱い。
  • 層積雲:下層で弱い寒気移流がある時に発生しやすい。弱い冬型の気圧配置や、北東気流の入りやすい気圧配置の時。
  • 積雲:層積雲と同じ条件で発生。あるいは、大気の一部が暖められて上昇気流となった場合も発生する。
  • 乱層雲:連続性の雨をもたらす典型的な雲。暖気が寒気をゆっくりと上昇する場合に発生しやすい。
  • 積乱雲:非常に発達した対流性の雲。圏界面まで達することもある。成層状態は条件付き不安定(対流不安定)の場合に発生しやすい。
  • 高層雲:明るい光が広範囲に透けて見える雲。「かさ」は作らない。春や秋では天気が崩れる前兆。
  • 高積雲:うろこ状の特徴的な雲。巻積雲に似るが地表に近く房が大きい。春や秋では天気が崩れる前兆。
  • 巻層雲:高層に現れる薄い雲。氷晶からなるため「かさ」を作る。乱層雲上層からかなとこ状に噴き出る雲も巻層雲となる。春や秋では天気が崩れる前兆。
  • 巻積雲:大気上層に現れるうろこ状の雲。
  • 巻雲:上層に現れる筋状の雲。積乱雲の上層から空気が発散している時、風の鉛直シアが大きい時などに発生しやすい。上空のジェット気流の南側(暖気側)は風の鉛直シアが大きいため発生しやすい。ジェット気流の南側で見られる巻雲をジェット巻雲と呼ぶ。
雲量の観測
  • 雲量:天空のうち雲が占める割合。3割が雲ならば雲量3。
  • 10分雲量:0〜10に1+、10-を加えた13段階で判断する。
  • 8分雲量:0〜8で判断する。国際通報式(SYNOP)。

天気を決める場合は大気現象を優先する。例えば雨が降っていれば雲量がいくつであろうと雨となる。

高度別に雲量を求めてそれを合計した場合、必ずしも地上から観測した全雲量と一致しない。部分的に重なる場合があるため。

雲の観測要素
  • 雲の高さの観測:地上から雲底までを周辺の山などを参考に決定する。不明な場合は×。
  • 雲の向きの観測:やってくる方位を8方位で雲形別に判断する。不明は×、停止は-。
  • 雲の状態の観測:世界気象機関(WMO)は気象資料の交換時に空全体の特徴としての雲の状態を通報すると定めている。形状や高度別に細かく観測する。

大気現象の分類と天気の種類

大気現象の分類
  1. 煙霧:肉眼では見えない乾いた粒子が大気中に浮遊
  2. ちり煙霧:風で巻き上げられたちり、砂が風のおさまった後も大気中に浮遊
  3. 黄砂
  4. 降灰:火山灰が降っている
  5. 砂じんあらし:ちり、砂が強風で高く巻き上げられている
  6. 高い地ふぶき:積もった雪が風で高く巻き上げられている
  7. 霧:小さな水滴により視程1km以下
  8. 氷霧:小さな氷の結晶で視程が悪い
  9. 霧雨
  10. みぞれ:雨と雪が混在
  11. 霧雪:小さく白色の氷の粒が降っている
  12. 細氷:小さな氷の結晶が徐々に降っている
  13. 雪あられ:白色の氷の粒
  14. 氷あられ:氷の粒の周りに薄く水滴が氷結した粒が降っている
  15. 凍雨:水滴が氷結したり、雪が溶解後に再氷結したりしてできた氷の粒が降っている
  16. ひょう:氷の粒や氷の塊で、透明な層と半透明な層が交互に積み重なっている
  17. 雷電・雷鳴:雷電は電光+雷鳴。
大気現象の詳しい種類

大気現象は大気水象、大気じん象、大気光象、大気電気象に大別され、さらに下位で細かく分類される。

  1. 大気水象
    1. 着氷性の雨、過冷却の雨
    2. 霧雨
    3. 着氷性の霧雨、過冷却の霧雨
    4. みぞれ
    5. 雪あられ
    6. 凍雨
    7. 氷あられ
    8. ひょう
    9. もや:水平視程は1km以上
    10. 低い地ふぶき
    11. 高い地ふぶき
    12. ふぶき:低い地ふぶき+高い地ふぶき
    13. 霜:昇華して地面や物体に付着した氷の結晶
    14. 霜柱:地中の水分が柱上の氷の結晶となって析出したもの
    15. 積雪:地面の半ば以上を覆っている
    16. 冠雪:山頂が雪で覆われている。通常は最初の日を記録。
    17. 竜巻
  2. 大気じん象
    1. 煙霧
    2. ちり煙霧:明らかに風じんが原因と判断できる場合。それ以外は煙霧。
    3. 黄砂
    4. 煙:煙の発生源が明らかに判断される場合。それ以外は煙霧。
    5. 降灰
    6. 低い風じん
    7. 高い風じん
    8. 砂じんあらし
    9. じん旋風
  3. 大気光象
    1. かさ
    2. 光冠
    3. 彩雲:干渉や回折が原因で緑色や桃色に彩られた雲
  4. 大気電気象
    1. 雷電
    2. 雷光
    3. 雷鳴:20km以上離れると聞こえにくい
天気の種類

観測で使用する天気は15種類に分類される。

  1. 快晴:大気現象なし。雲量1以下。
  2. 晴:大気現象なし。雲量2以上8以下。
  3. 薄曇:雲量9以上。巻雲、巻積雲、巻層雲が見かけ上もっとも多い。
  4. 曇:雲量9以上。上記以外の雲が見かけ上もっとも多い。
  5. 煙霧:煙霧、ちり煙霧、黄砂、煙、降灰によって視程が1km未満。または全天が覆われている。
  6. 砂じんあらし:砂じんあらしにより視程1km未満。
  7. 地ふぶき:高い地ふぶきにより視程1km未満。
  8. 霧:霧または氷霧により視程1km未満。
  9. 霧雨
  10. みぞれ
  11. 雪:雪、霧雪、細氷が降っている。
  12. あられ:雪あられ、氷あられが降っている。
  13. ひょう

2013-01-22

[] 異常気象と気候変動 23:02  異常気象と気候変動を含むブックマーク  異常気象と気候変動のブックマークコメント

異常気象と気候変動の外的要因

天文的要因
  • 公転軌道の変化:地球の公転軌道は数万年単位で円形から楕円形まで変化をしている。現在は近日点と遠日点の放射量の差は7%程度だが、離心率の最大値である0.068の場合は近日点と遠日点で放射量に30%もの差が生じる。この場合、季節差は北半球で小さく、南半球で大きくなる傾向がある。
  • 地軸の変化:地軸は4.1万年周期で22.1度から24.5度の間を振動している。傾斜角が大きくなると季節変化は増大する。
地学的要因
  • 火山噴火:噴火は多量の水蒸気、二酸化炭素、亜硫酸ガス、火山灰を放出する。水蒸気や二酸化炭素は温室効果気体として作用する。亜硫酸ガスは硫酸エーロゾルに変化して滞留を続け、地表面への直達日射量を現象させる。これを日傘効果と呼ぶ。この際、成層圏の気温は上昇するが対流圏の気温は低下する。
  • 海流の変化:海洋は大気に比べると熱容量がはるかに大きく、大気にとっての熱源となる。よって、海洋の変化は大気にも影響をおよぼす。
人為的要因
  • 森林伐採:土壌水分量を減少させるほか、砂漠はアルベドが大きいため熱収支も変化する。
  • 化石燃料の消費:二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物が排出され酸性雨の原因となる。温室効果気体としてはメタンの影響は二酸化炭素の20倍だが、絶対量が少ないため二酸化炭素ほどは問題視されていない。

異常気象と気候変動の内的要因

エルニーニョ現象とラニーニャ現象

太平洋赤道域の中央部から南米ペルー沿岸にかけての地域で海面水温が継続して上昇する現象をエルニーニョ現象、逆に平年より低くなる現象をラニーニャ現象と呼ぶ。

平年には太平洋赤道域下層には貿易風が吹き、界面には西向きの海流が発生して西武太平洋側へ温かい海水を運ぶ。このとき、インドネシア付近では暖水層が厚くなるが、逆にペルー沖では下層から冷水が湧き上がってくる(湧昇)。その影響でペルー沖の海水温は気温に比較して低くなる。また、インドネシア側の海水面は数十cm高くなる。

温かい海面水温の上では上昇気流が発生しやすく、積雲対流で発生した潜熱は大気を加熱する。その結果低気圧が発生しやすくなる。逆に冷たい海面水温の下では高気圧が発生しやすくなる。

よって、平年時にはペルー沖では高気圧が発生し下降気流が、インドネシア付近で低気圧が発生し上昇気流が起き、上層では西風が、下層では東風が発生する。この循環をウォーカー循環と呼ぶ。

  • エルニーニョ現象:貿易風が弱まると西向きの海流も弱まり、ペルー沖の冷水湧昇も弱まる。結果として海面水温が上昇し、積雲対流が活発な領域は東へずれ、太平洋中部付近で活発となる。エルニーニョ時には日本では暖冬、冷夏の傾向がある。
  • ラニーニャ現象:貿易風が強まると、ペルー沖の冷水湧昇も強まる。結果としてインドネシア沖の海面水温は上昇し、積雲対流が活発になる。さらに、ウォーカー循環を強めて貿易風が強い状態が維持されやすくなる。
その他の要因
  • 南方振動:太平洋赤道域の地上気圧は東部で下がれば西部で上がる。これを南方振動と呼ぶ。
    • 南方振動指数:南太平洋東部のタヒチの地上気圧から南太平洋西部のダーウィン(オーストラリア)の地上気圧を差し引き、気圧偏差値を指数化したものを南方振動指数と呼ぶ。貿易風の指標となる。エルニーニョ時には負(貿易風が弱い)、ラニーニャ時には正(貿易風が強い)の値をとる。
  • テレコネクション:大気の運動変化が隣接する大気の気象に影響をおよぼすことでより遠くの気象現象まで波及すること。その概念。
  • インデックスサイクル:中・高緯度偏西風(ジェット気流)は1ヶ月程度の周期でゆるやかな蛇行の東西流と激しい蛇行の南北流に変化する。これをインデックスサイクルと呼ぶ。南北流が発達すると、南へ蛇行した際に切離低気圧、北へ蛇行した際に切離高気圧を発生させる場合がある。これらの気圧は停滞することが多く、ブロッキング型の大気パターンと呼ぶ。ブロッキング型では2週間程度は暖気や寒気が入り、偏った天候が続く。
  • 海氷や氷床の現象:氷は太陽光を強く反射する(アルベド大)ため、北極海の氷床が大きく減少した2007年夏には海水温度が数度上昇した。
  • 雲量の変化:雲は日射を吸収する効果と日射を遮る効果の両方を持つ。薄い上層雲は温暖化効果が高く、厚い雲や下層雲は地表面温度を下げる効果が大きい。

[] 中層大気の運動 22:29  中層大気の運動を含むブックマーク  中層大気の運動のブックマークコメント

中層大気の特徴

気温の特徴
  • 10km以下(対流圏):高緯度地域ほど気温が低い。
  • 10〜20km(対流圏界面付近):低緯度の方が低温。赤道付近は対流圏が厚く、温度低下が16km付近まで続くため。
  • 20km以上(成層圏):夏極の高緯度ほど気温が高く、冬極の高緯度ほど低い。日射量の差による。夏極では白夜と呼ばれる太陽の沈まない期間がある地域がある。
  • 70km以上(中間圏):夏極ほど低温で冬極ほど高温。冬極では偏西風が活発化し、熱輸送が盛んになるためと考えられている。
風の特徴
  • 10km以下(対流圏):高緯度地域ほど気温が低いため、温度風の関係により上層ほど西風が強まる。
  • 70km以上:上層ほど高温となるため、東風の温度風が加わることで西風は弱くなっていく。夏半球では70km付近までは東風が卓越するが、70km以上では高緯度ほど気温が低くなるため温度風は再び西風となる。
  • 100km以上:温度風は東風が卓越し、上空ほど強くなる。夏半球では上空ほど西風が強くなる。
プラネタリー波の鉛直伝播

プラネタリー波は冬の成層圏、中間圏にも存在する。成層圏は空気密度が低いため、プラネタリー波の波長は増幅して伝わる。

大規模山岳の多い北半球の方が成層圏へ伝播しやすい。

東風が卓越しているとプラネタリー波が伝播できないため、夏半球の上部成層圏へはプラネタリー波は伝播できない。

準2年周期振動

赤道付近の下部成層圏には東風と西風が26ヶ月周期で交互に現れる。これを準2年周期振動(QBO)と呼ぶ。

QBOはプラネタリー波の鉛直伝播で説明できる。

QBOは最初上層に発生し、次第に下層へ降りてくるように見える。

その他の大気の諸現象

マッデン・ジュリアン振動

赤道付近の低緯度の対流圏に発生する大気変動。40日周期振動とも呼ばれ、30〜60日周期の変動をする。

水平規模4万km、鉛直方向は対流圏全域にも及ぶ場合があり、ゆっくりと東進する。

エルニーニョなどのテレコネクションに関係があると言われている。

ケルビン波と混合ロスビー波

赤道付近の下部成層圏に見られる特徴的な波動を赤道波と呼ぶ。大量の太陽放射と弱いコリオリ力により赤道付近には活発な対流があり、これが赤道波を生み出す。代表的な赤道波としてケルビン波とロスビー波がある。

  • ケルビン波:大気、海洋中に起こる大規模波動。赤道面でコリオリ力が逆転することにより発生する。低緯度の下部成層圏に出現し、東西のみに動く。東風の時のみ鉛直方向へ伝播し、準2年周期振動に関係すると言われている。波長4万km、周期20日。
  • 混合ロスビー重力波:波長1万m、周期5日で20m/s程度で西進する。これも準2年周期振動に関係するといわれている。
ケルビン・ヘルツホルム波

密度の異なる流体層の接する面で、2つの流体に速度差があると生じる不安定波動。

大きな風の鉛直シアを持つ気相で小さな波動が成長して波打つことがあるが、これがケルビン・ヘルツホルム波である。

大気の成層状態の安定性と風速シアの比をリチャードソン数と呼ぶが、この値が小さいほど波動が起きやすい。

前線面を挟んだ上下層で境界面が波打ち、波状に雲が出ることが有る。

2013-01-21

[] メソスケールの現象 23:59  メソスケールの現象を含むブックマーク  メソスケールの現象のブックマークコメント

ベナール型対流

筋状の雲とベナール型対流

西高東低の冬型の気圧配置の際に、可視衛生画像で日本海側を観察すると海上に筋状の雲が広く分布している。この雲が北西の季節風に流されることで日本海側の地方に雨雪をもたらすのである。

雲が筋状になる主な原因がベナール型対流である。

  • ベナール型対流:粘性のある流体の層を下部から加熱、上部から冷却すると下部から上部へ熱伝導が起こるが、温度勾配がある臨界値を超えると流体層は下降流と上昇流を規則正しく繰り返すセル状の構造を取る。この現象がベナール型対流である。
筋状の雲の成因

冬季の日本付近ではシベリア大陸から日本海、東シナ海を経て日本海側の地方に冷たい風が吹く。北西の季節風に起因するこの吹込みが筋状の雲を形成するのである。

寒気移流の顕著なところでは寒気が下降気流の成分を持つため、沈降逆転層が発生しやすい。冬季の日本海では高度2.5km付近に沈降逆転層が発生する。沈降逆転層により空気の対流活動の範囲が制限される。そして海面から2.5km程度の範囲内で、相対的に温かい海面を熱源とするベナール型対流が発生する。

筋状の雲が発生する場合の大気下層では一定方向に風が吹き、風速は大きくなっている。

雷雨

積乱雲のライフサイクル
  • 発達期
    • 全雲内のほとんどが上昇気流で占められる。雲頂温度は0度以下となるが初期は過冷却水滴がほとんどである。雨粒程度まで成長する水滴もあるが上昇気流が大きいため落下はしない。このときの上昇気流は数m/sから十数m/sに及ぶ。雲頂温度が-20度を下回るようになると氷晶の生成が増加してくる。このとき、凝結潜熱が放出されるため雲頂の気温は周囲よりやや高くなる。
  • 成熟期(最盛期)
    • 雲内には上昇気流と下降気流が共存する。雲頂温度は-40度以下となりほとんどが氷晶で占められる。氷晶は落下と上昇を繰り返しつつ過冷却水滴を巻き込んであられや雹(5mm以上のものを呼ぶ)に成長していく。上昇気流でも支えられない大きさに成長したあられや雹は落下をはじめる。落下時にはそれ自体が空気を巻き込みつつ落下する他、融解潜熱と蒸発潜熱を空気から奪い空気を冷却するため、強い下降気流を産み、地上部は土砂降りの雨となる。
  • 衰弱期(減衰期)
    • ほとんどが下降気流で占められる。層状性の弱い雨を降らせる場合もあるが長続きはしない。上部に層状の雲を残して積乱雲は消える。
雷の成因

雷の成因にはあられが関与していると考えられている。

すなわち、過冷却水があられへと成長する過程で電荷が生成して分離し、雲の上部が+、下部が-の電気を帯び、その電圧差がある程度以上大きくなって空気の絶縁を破った時に雷が発生するという考えである。その他、あられ同士の摩擦に起因しているとする説もある。

夏季と冬季を比較すると夏季のほうが雲頂高度が高い。圏界面が高いことによる。よって、夏季は気温は高いものの雲頂高度が高いことによって雲頂には氷晶が存在する。一方冬季は雲頂高度は低いものの気温が低いことによって雲頂に氷晶が存在する。いずれの時期においても雷は発生しうるのである。

なお、統計上では冬季の落雷の方が被害が大きいという傾向がある。

メソハイ(雷雨性高気圧)
  • メソハイ:積乱雲の成熟期以後の下降気流を原因として、激しい降雨の直前から雷雨性の高気圧が形成される。これをメソハイと呼ぶ。
  • ガストフロント:下降気流は地表にぶつかると行き場を失って水平発散するが、このときの発散風の先頭をガストフロント(突風前線)と呼ぶ。
  • ダウンバースト:積乱雲の下で強い下降気流によって発生する突風をダウンバーストと呼ぶ。水平方向の広がりが4km以上をマクロバースト、4km未満をミクロバーストと呼ぶ。前者は風速50m/s程度、後者は75m/sに達し、ミクロバーストの方が風速は早い。
雷雨の種類
  • 気団性雷雨(単一セル):晴れた昼の夏過ぎ、一様に温かい夏の気団に覆われて、風の鉛直シアが小さい時に発生しやすい。上空に弱い寒気が存在しているときに成層状態が悪化して発生しやすい。特に、太陽放射によって地面が加熱されてくる昼過ぎから日没前後に成層状態が悪化しやすく、積乱雲がランダムに発生してくる。寿命は1時間未満と短い。
  • マルチセル型巨大雷雨:多数の対流セルから形成されており組織化している。個々のセルの活動時間は1時間未満だが、マルチセル全体の活動としては数時間に及ぶことがある。マルチセル型巨大雷雨は大気中層の風に流されて移動する。マルチセルの中で新しく生ずる対流せるは進行方向右寄り、衰弱していくセルは進行方向左側に位置する。よって、見かけ上マルチセルは中層の風向からやや右側に寄った方向へ進む。
  • スーパーセル型巨大雷雨:一個の巨大な積乱雲からなる。日本でも稀に発生する。大気の安定度が非常に悪く、風の鉛直シアが大きい時に発生する。

台風

台風の発生場所
  • 熱帯低気圧:熱帯地方の高温多湿な気団内で発生する前線を保有しない低気圧のことを指す。等圧線が同心円状に分布するのが特徴。
  • 台風:北西太平洋域に発生した熱帯低気圧のうち、最大風速が17.2m/s以上に達したものを指して台風と呼ぶ。
  • ハリケーン:アメリカでは、北東太平洋か太平洋で発生した熱帯低気圧のうち、最大風速が33m/s以上のものをさしてこう呼ぶ。
  • サイクロン:北インド洋で発生する最大風速17m/s以上の熱帯低気圧をこう呼ぶ。

台風の主な発生場所は、海面温度26.5度以上、コリオリ力が十分に働く北緯10〜25度の太平洋、南シナ海やベンガル湾である。コリオリ力が弱い北緯5度以南では台風は発生しない。

台風は一年を通じて発生しうるが、海面温度が高いほうが発生しやすいため大半の発生は6月〜11月である。

台風のエネルギー源と温度構造
  • エネルギー源:高温多湿な空気塊が凝結した時に放出される潜熱である。
  • 第2種条件付き不安定(CISK):対流活動による上昇気流と凝結潜熱によって低い気圧が維持され、台風の発生と維持に関与する不安定性を指してこう呼ぶ。寒気場内に形成される小低気圧(ポーラーロー)もこれに該当する。
  • 台風の構造:台風は中心に台風の眼と呼ばれる雲のない領域を持つ。眼の周りには非常に発達した背の高い積乱雲よりなる眼の壁雲があり、台風の中心からは100km程度離れている。眼の壁雲は螺旋状の積乱雲、積雲の列に取り囲まれており、これをスパイラルバンドと呼ぶ。
  • 温度構造:台風内は周囲より気温が高く、特に中心部では顕著である。この構造を暖気核(ウォームコア)と呼ぶ。発達した熱帯性低気圧では暖気核が上層ほど顕著である。暖気核の成因は大量の水蒸気の凝結潜熱と下降気流による断熱圧縮である。
  • 風の分布:台風では気圧傾度力、コリオリ力、遠心力、摩擦力の4つが釣り合って風が吹いている。自由大気より下層では摩擦力の影響が大きくなるため、風速が最大となるのは自由大気下層である1.5〜3.0km付近である。下層ほど摩擦力の影響があるため、下層では風は中心部へ吹き込む流れとなる。一方で圏界面付近の上層では風が高気圧性循環、すなわち反時計回りの方向に循環しつつ発散している。
  • 台風の衰弱:上陸した台風は水蒸気の補給が減少するほか、地表面摩擦も大きいため運動エネルギーの消費が多くなる。また、海面温度が26.5度より低い海域では水蒸気量が不足するため衰弱へ向かう。最大風速が17.2m/s未満になった暖気核を持つ低気圧は熱帯低気圧と呼称を変える。また、北からの寒気が吹き込んで前線が生まれ、前線が中心まで達した場合は温帯低気圧に変化したと判断する。温帯低気圧への変化の判断には風速は考慮しない。中緯度帯まで熱帯気団に覆われる7月下旬〜8月は衰弱した台風は熱帯低気圧に変化する場合が多いが、それ以後は季節が進むほど温帯低気圧に変化しやすくなる。
台風の吸い上げ効果

台風の中心付近では気圧が低いために海面が吸い上げられる。この時の海面上昇は静力学平衡の式を応用して次のように求める。

  • ¥Delta h = -¥frac{¥Delta p}{¥rho g}

Δhは海面の上昇高さ、Δpは圧力の下降分、ρは海水の密度、gは重力加速度である。

概ね1hPaの圧力低下で水面は1cm上昇する。

海陸風と山岳風

海陸風

陸と海は熱容量が異なり、陸の方が熱しやすく冷めやすい。

よって晴れた日中では陸上付近が低気圧、海上では高気圧となる。逆に夜間は陸の方が強く放射冷却を起こすので陸上が高気圧、海上が低気圧となる。

日中に海から陸へ吹く風を湖風、夜間に陸から海へ吹く風を陸風、この風系のことを海陸風と呼ぶ。

海陸風は気圧傾度が小さい時に顕著である。一般には暖候期の日中に海風が、寒候期の夜間に陸風が吹きやすい。

海風は200〜1000mの厚さで風速4〜7m/s程度であるが、陸風は100〜300m程度の厚さで風速は3〜4m/s程度である。

いずれの風も上空に反対方向の風である反流が存在している。

陸風は海岸線から10km以内の内陸でしか吹かない。

海風は日の出3〜4時間、陸風は日没後1〜2時間で吹き始める。

山谷風

日中の山岳斜面部では平地よりも太陽光を多く受けるため加熱されやすい。よって、斜面上の気温が谷や平地よりも高くなることで気圧差が発生する。

暖められて軽くなった空気が谷から斜面にそって山へ滑昇する風を斜面滑昇流(アナバチック風)と呼ぶ。

太陽高度が高くなると谷部も暖められて谷と山の平均気温が平野より高くなり、平野部から谷間を通り山頂に向かう谷風が吹く。

夜間の風の弱いときには斜面で放射冷却により冷やされた空気が斜面を吹き降りてくる。これを斜面滑降流(カタバチック風)と呼ぶ。

夜半過ぎともなると谷部に冷気がたまり、山頂から谷間を通って平野へ向かう谷風が吹く。

フェーン現象

フェーン現象とは

湿った空気や乾いた空気が山を超えて吹き降りてくるときに発生する。風上側よりも風下側の山麓で高温となる現象を指して言う。

凝結・降水を伴うフェーン現象

空気が凝結・降水を伴いながら斜面を昇ると湿潤断熱減率に沿って温度が低下するが、この空気が山を超えて麓に降りる際には乾燥断熱減率に従って昇温する。

このとき、湿潤断熱減率と乾燥断熱減率の差によって昇温する現象を熱力学的フェーン(非断熱的フェーン)現象と呼ぶ。

乾いたフェーン

大気の上層には温位の高い空気が存在している。

たとえ降水現象を伴わなくとも、上昇した空気が下降する際に温位の高い空気を巻き込むと下降した空気は昇温する。この現象を乾いたフェーン(力学的フェーン)現象と呼ぶ。

メソ対流系

梅雨期のメソ対流系

梅雨前線は東西水平スケールの大きい大規模気象現象である。

東日本以東では南北水平温度傾度が大きく、西日本では水蒸気の水平傾度が大きいのが特徴である。

梅雨前線上に組織化された対流性の雲が間隔を置いて並ぶ事がある。規模的にはメソスケールに属するもので、これが九州や南西諸島に大雨をもたらす場合がある。この規模の気象現象は総観規模の気象現象を対象とする地上天気図では表現されない場合がある。また、メソスケールの現象では寿命は数時間以内である場合が多い。

[] 大気の大規模な運動 01:48  大気の大規模な運動を含むブックマーク  大気の大規模な運動のブックマークコメント

大気の子午面循環

子午面循環

子午線=径線方向における断面を子午面と呼ぶ。

子午面で見た時の大気の循環を子午面循環と呼ぶ。

地球の低緯度帯では太陽高度が高いために大気は暑くなり、極地方では逆に寒くなる。仮に熱の輸送が無ければこの傾向は増大しつづけるが、子午面循環による熱輸送が温度差の緩和に役だっている。

子午面循環は大きく3つある。

  • ハドレー循環:赤道付近の下層では北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が収束して対流活動が活発になる。赤道付近の下層は赤道低圧帯と呼ぶ。赤道低圧帯で生じた高温多湿な上昇気流は潜熱を放出してさらに加熱しつつ上昇し、圏界面に達する。圏界面以上には上昇できないため、南北方向へ発散する。上層空気は放射冷却を受けて密度が大きくなり下降気流となる。ハドレー循環は直接循環に属する。
  • フェレル循環:緯度25〜30°付近で下降、60°付近で上昇する子午面循環。この緯度帯では温帯低気圧によって暖気の北上と上昇、寒気の南下と下降が起こるのでトータルでは熱は極方向へ移動する。フェレル循環は見かけの循環であり間接循環に属する。
  • 極循環:高緯度域では大気下層で寒気が低緯度域へ向かい、上層では暖気が北へ向かう循環がある。直接循環に属する。
貿易風と熱帯収束帯
  • 貿易風:緯度20〜30°付近の亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯へ向かって吹く風(ハドレー循環の下層成分)がコリオリ力によって偏東風になったもの。地表〜大気下層で吹く風であり、上層では観測されない。赤道低圧帯へ向かって吹くうちに海上で多量の水蒸気を含むようになる。
  • 熱帯収束帯:南北半球からの貿易風が収束するところ。略称ITCZ。定義から明らかなように赤道低圧帯の別名でもある。ITCZでの活発な対流活動はハドレー循環の原動力となっている。熱帯低気圧が発生しやすく、台風の約半数はここで発生する。中上層では偏東風帯となっているが、ときに偏東風波動により低気圧性の循環が励起されて熱帯低気圧が発生する条件が整う。北遠の雲が北に湾曲している部分が偏東風波動部分で、熱帯低気圧が特に発生しやすい。

前線帯とジェット気流

ジェット気流
  • 偏西風帯:温度風の関係により、水平温度傾度のある場では上層ほど強く風が吹く。温度風は低温場を右手に見るように吹くため、南が温かく北が寒い北半球中緯度帯の中上層では西風が卓越する。これを偏西風帯と呼ぶ。偏西風帯は北緯30〜60°に位置するが、冬季はやや南に位置し風速が強く、夏季はやや北に位置して風速が弱くなる。
  • 亜熱帯ジェット気流:ハドレー循環とフェレル循環の境にあるジェット気流。風速・位置の日変化は少なく、蛇行も小さい。約12km以上(200hPa)付近に恒常的に存在する。寒候期には強いが夏季には北緯50°以北に位置し不明瞭となる事が多い。
  • 寒帯前線ジェット気流:上空から地上まで伸びる寒帯前線帯の移動に対応する気流。空間的、時間的変動が多く蛇行も大きい。水平温度傾度が大きく、寒候期に顕著。冬季には6〜8km、夏季には10km程度の高度に出現する。
  • ジェット気流付近の気象現象:風の鉛直シアが大きく、乱気流が発生しやすい。少し暖気側に沿ってライン状のジェット巻雲が発生することがあり、ジェット気流の位置が推定できる。
前線帯の構造
  • 前線帯:水平方向の温度傾度が特に大きくなっているところ。水平方向に数百km程度の幅があり、温度だけでなく露点温度、風向も大きく変化する。暖気側に位置する面を前線面、地上と接するラインを前線と呼ぶ。
  • 転移層:鉛直方向に見て前線帯に対応するところ。鉛直方向の気温減率が小さく、等温層や逆転層の状態となっている場合が多く、大気の成層状態は絶対安定の場合が多い。
  • 傾圧大気:前線帯のように傾圧性が大きくなっている大気。等圧面と等密度面が一致していない大気のことでもある。等圧面上に等温線が描写できる状態にある。日本を含む中緯度帯では夏季を除きほとんどが傾圧大気に覆われている。
  • 順圧大気:熱帯地方や極地方では大気の水平温度傾度が小さく、大気の傾圧性が小さい順圧大気となっている。熱帯地方で発生する台風が前線を保有しない理由でもある。

南北熱輸送

地球放射と太陽放射の熱収支

太陽放射の吸収量は緯度により異なり、低緯度ほど大きい。

一方で地球放射は低緯度ほど大きい傾向はあるものの太陽放射のの吸収量に比べると変化は小さい。

緯度38度付近では太陽放射と地球放射が釣り合っている。ここより低緯度では熱が過剰で、高緯度では熱が不足している。この温度差を解消するのが熱の南北輸送である。

南北の熱輸送量

熱の南北輸送は大気によるものの他、海洋による輸送もあり、熱の形態も潜熱と顕熱がある。熱輸送は北向きを正として考える。

  • 全熱輸送:中緯度帯で熱輸送量は最も大きくなる。中緯度では気温の南北傾度が大きいだけでなく、海面温度の南北傾度も大きい。
  • 大気による熱輸送:低緯度付近のハドレー循環によるものと、より高緯度に寄った部分の温帯低気圧による輸送量が大きい。
    • 潜熱(水蒸気)輸送:緯度40度付近に極大があり、北半球では亜熱帯高圧帯から北向きに発散する気流の影響で北向きの活発な潜熱輸送がある。赤道付近では貿易風により潜熱は赤道付近へ輸送されるため北半球では潜熱輸送が負の値となる。
  • 海洋による熱輸送:緯度20度付近に極大を持つ。赤道付近では南北方向の海流成分が少ないため値は小さい。
降水量と蒸発量の緯度分布
  • 降水量は赤道付近と温帯低気圧による降水の活発な中緯度帯にピークがある。
  • 蒸発量は緯度20度付近で最も多い。天気がよく、高温であることが原因。この付近では蒸発量が降水量を卓越し、水不足を起こす緯度帯である。日本はこの緯度帯に属するが、周囲が海で湿った空気が多く存在するために水不足を免れている。

大規模な気象現象

プラネタリー波
  • 偏西風波動:中緯度域では大気が南北に波打ちながら西から東へ風が吹いている。これを偏西風波動と呼ぶ。
  • プラネタリー波:波数が1〜4で、水平スケールが1万kmを超えるような偏西風波動。北半球は大陸や山岳地域が多いため、大陸と海洋の熱的な差や力学的影響によってプラネタリー波が生ずる。西風が卓越する冬の成層圏、中間圏にも存在する。成層圏突然昇温にはプラネタリー波の伝播が関与していると考えられている。
モンスーン
  • モンスーン:夏季、冬季のように季節が正反対になるような場合、地表面付近の卓越風の風向は大きく変化する。この季節により変化する風系をモンスーンと呼ぶ。モンスーンは大陸と海洋の熱容量の差が要因となって起こる。水は熱容量が大きいため、大陸より温度変化が小さいのである。よって夏季には大陸方向へ、冬季には海洋方向へと向かう大気の流れが生ずる。メカニズムは海陸風と全く同じだが、水平スケールが極めて大きいため、降水量も莫大なものとなる。
  • アジアモンスーン:モンスーンの中で最大の水平スケールを持つ。インドから東南アジア、中国を経て日本付近まで至る。チベット高原、ヒマラヤ山脈が日射により加熱されることで低圧部となり、インド洋からインド亜大陸へ向かって強い南西風が吹く。この季節風によってインド洋から大量の水蒸気が輸送され、6月の梅雨前線にも供給される。九州以西ではこの影響を受けることがある。

偏西風波動と温帯低気圧

中緯度帯の南北水平温度傾度と傾圧性
  • 南北水平温度傾度:日本では盛夏期を除くと南北の水平温度傾度が大きい。盛夏期では九州でも北海道でも最高気温は30度に近く、それほど大きな水平温度傾度はない。大きな水平温度傾度は傾圧大気を生む。
  • 偏西風の蛇行:傾圧性がある程度大きくなると偏西風が蛇行を始める。この蛇行が偏西風波動である。偏西風の蛇行は上空の等圧線も蛇行させる。等圧線における低気圧性曲率が大きい部分をトラフ(気圧の谷)、高気圧性曲率の大きい部分をリッジ(気圧の尾根)と呼ぶ。
傾圧不安定による温帯低気圧の発生

傾圧性が生じて傾圧不安定となった大気では偏西風波動が生じることは前述のとおりである。

偏西風波動により生じたトラフの東では暖気の北上、西では寒気の南下が起こりやすくなり、下層で低圧性循環が明瞭となる。このようにして温帯低気圧が発生する。

偏西風波動の波長は2000〜5000kmだが、特に5000km程度の波長のときに温帯低気圧が発生しやすい。

発達期にある温帯低気圧の鉛直構造

発達する低気圧では、上層ほどトラフの軸が西へ傾斜する構造がある。トラフの西側では寒気の下降が、東側では暖気の上昇が発生している。

寒気と暖気が接する面では寒気が暖気の下に潜り込むように動き、位置エネルギーが運動エネルギーに変換される。この変換が温帯低気圧の発達に寄与する。

温帯低気圧は寒気の南下と暖気の北上を起こすため、熱を高緯度に輸送し南北の温度差を弱める働きがある。温帯低気圧とは南北の水平温度差に起因する傾圧不安定性を解消しようとする現象であるため、理論的には水蒸気の関与がなくとも発生・発達しうる。

温帯低気圧周辺の雲の種類

温暖前線の上空では層状の雲が、寒冷前線の上空では対流性の雲が発生しやすい。

温帯低気圧が西から接近し通過する場合を考えると、出現する雲のパターンは

  • 巻雲→高層雲→乱層雲(降雨)→晴れ間→積乱雲(激しい降雨)

という推移をたどる。ただし地形の影響なども受けるためこの通りにはならないこともある。

温帯低気圧のライフサイクル
  • 日本の西で発生→発達しつつ北東へ→三陸沖で最盛期→アリューシャン近海で衰弱

というのが典型的なパターンである。垂直方向のトラフ軸が西よりであったものが垂直になるころが最盛期で、東へ傾くと衰弱過程をたどる。

  • 発達期:北に膨らんだ濃密な上層雲が見られ、これをバルジと呼ぶ。
  • 最盛期:中心付近に螺旋状の雲の少ない部分が侵入し始める。これをドライスロットと呼ぶ。
  • 衰弱気:低気圧中心付近の雲が前線に対応する雲と切り離され、下層雲が多くなってくる。上層雲の減少は対流活動の衰弱の表れ。
温帯低気圧の移動速度

上層、下層は一体となり移動し、平均的には35〜40km/h程度の速度で移動。

加速しながら進むことが多く、東に進みつつも北よりの成分を含む。

2013-01-20

[] 大気の力学と運動 21:12  大気の力学と運動を含むブックマーク  大気の力学と運動のブックマークコメント

大気に働くさまざまな力

コリオリ力

地球は北極点上空から見て反時計回りに自転をしている。

極に近い部分と遠い部分では自転に伴う線速度に違いがあるため、地球上で運動する物体には見かけ上なんらかの力が働いているように見える。

北半球の場合、進行方向に対して右手側に反れる。この見かけ上の力をコリオリ力と呼ぶ。南半球では逆になる。

コリオリ力は極に近いほど大きく、赤道上ではゼロとなる。

また、方向には影響するが速度には影響しない。

コリオリ力は物体の速度にコリオリパラメータ(または惑星渦度)をかけることで求められる。

コリオリパラメータは地球の角速度を、緯度をとして次のように表す。

コリオリ力は緯度と速度に比例する。

気圧傾度力

水平方向に気圧の差がある状態を気圧傾度があると呼ぶ。

気圧傾度がある状態では気圧の高い方から低い方に向かって移動しようとする力=気圧傾度力が働く。

ただし、大きなスケールでの大気の移動を考える場合は上述のコリオリ力を無視することができないため、単純に高気圧から低気圧に空気が移動するわけではない。

気圧傾度力は次式で求められる。

は2点間の距離を表す。

遠心力

単位質量の空気にかかる遠心力は、速度を、半径をとして、

で表すことができる。すなわち、遠心力は速度の2乗に比例し、半径に反比例する。

摩擦力

地表から1〜1.5km程度までの高さに吹く風は摩擦力の影響を受ける。

摩擦力は風速ベクトルの逆向きに働き、風速を弱める作用をする。

等圧線に沿って吹いている風(地衡風:後述)は地表付近では摩擦力の影響を受けるためやや低圧側に等圧線を横切るように吹く。

その角度は中緯度帯の陸上で30〜45°、海上で20°程度となる。

地衡風

Z座標系とP座標系

高度を表すのに高さを用いる座標系をZ座標系と呼び、高度の代わりに気圧を用いる座標系をP座標系と呼ぶ。

P座標系の代表例は高層天気図で、例えば500hPa天気図は500hPaの等圧面上の天気図である。

高層天気図では等圧線の代わりに等高度線が書かれている。

同じ気圧で高さの低い部分はそれだけ空気の量が少ない。すなわち、等高度線の低い部分は低気圧に対応する。よって等高度線と等圧線はほぼ同じ感覚で読み取ることができる。

ジオポテンシャル高度

ジオポテンシャルとは、単位質量の空気塊を平均海面から高さZまで引き上げるのに必要なエネルギーを言う。これは重力加速度と高さの積分で求める。

ジオポテンシャルを重力加速度で割ったものをジオポテンシャル高度と呼ぶ。

鉛直方向の重力加速度変化は微量なので、ジオポテンシャル高度は通常の高度と考えても差し支えない。

地衡風

気圧傾度力は前述のように気圧差を用いて

のように求められる。

圧力差に対応する高度差を静力学の式から求めて代入する(符号が変わることに注意)と、

となる。

この気圧傾度力とコリオリ力が釣り合って吹く風を地衡風と呼ぶ。地衡風は北半球では高度の低い(気圧の低い)側を左手に見て等高度線(等圧線)に平衡に吹く。

コリオリ力と気圧傾度力が釣り合うのだから、

である。気圧傾度力の式とコリオリ力の式を合わせると、地衡風の風速を求めることが出来る。

コリオリパラメータfが分母に入っていることから分かるように、高緯度ほど地衡風の風速は小さくなる。

傾度風

傾度風の力のバランス

空気塊の流れに曲率があるときで、地衡風に遠心力を加えた風を傾度風と呼ぶ。傾度風には低気圧性循環と高気圧性循環がある。

  • 低気圧性循環:反時計回り(北半球)で、遠心力とコリオリ力の合力が気圧傾度力と釣り合う。
  • 高気圧性循環:時計回りで、遠心力と気圧傾度力の合力がコリオリ力と釣り合う。

低気圧性循環の場合は気圧傾度力がどんなに大きくなっても遠心力とコリオリ力の合力がそれに釣り合うことができる。よって低気圧は非常に大きく発達する可能性がある。

一方で高気圧性循環は、速度の2乗に比例して大きくなる遠心力にコリオリ力が釣り合うことができず、ある程度以上の速度の傾度風は成立しない。よって高気圧性循環では強い風は吹かない。

地衡風と傾度風の比較

低気圧性の傾度風ではコリオリ力と遠心力の合力であるため、コリオリ力は相対的に小さくて良い。コリオリ力は風速に比例するので、風速は地衡風より小さくなる。

高気圧性の傾度風ではコリオリ力が相対的に大きい必要があるので、風速は地衡風より大きくなる。

低気圧性傾度風では遠心力が大きいほど風速が弱くなるという事実は台風と矛盾するように見えるが、台風の場合は中心付近の気圧傾度が急激に大きくなっているため、中心付近のほうが風速が早いという構造になっている。

旋衡風

北半球の竜巻は反時計回りのものが多いが、時計回りのものも存在する。

竜巻ではコリオリ力を無視できるということを表している。

竜巻のように遠心力と気圧傾度力のみが釣り合って吹く風を旋衡風と呼ぶ。

地上風

地上風の力学バランス

先にも述べたように地上付近では気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力の3つの力が釣り合って風が吹いており、その影響で風向は低圧側に等圧線を横切るように角度をつけて吹く。

この影響で、地上付近の風は低気圧の中心や気圧の谷に向かって吹き込みやすく、そうして収束した空気塊は上昇気流となり、雲を作るので低気圧では天気が悪くなる。

温度風

温度風の関係

北半球中緯度帯では、上層ほど風が強く吹く。北半球の中緯度では平均的に南ほど温かく北ほど冷たいが、その影響で南は層厚が厚く、北では層厚が薄い。

気圧差で見ると上層ほど大きい。そのため、上層ほど地衡風が強く吹く。

このように水平温度傾度があるとき、地衡風は高度とともに変化する。この水平温度計度と地衡風の速度傾度の関係を温度風の関係と呼ぶ。

水平温度傾度は冬の方が大きく、冬季に上空の風が強いことの理由でもある。

温度風は異なる高度間における地衡風の鉛直シアの事を言い、実際に吹いている風というわけではない。

温度風の向きと温度場

温度風は300hPaと700hPaの間の大気の平均気温の等温線に沿って、低温側を左手に見るように吹く(北半球)。北半球中緯度の上空の風が西よりになる理由である。

温度移流

風によって温度の異なる空気が移流することを温度移流と呼ぶ。

地上から上層に向かい、風ベクトルの先端を結ぶように描写した曲線をホドグラフと呼ぶ。

ホドグラフのベクトルの向きは温度風を表すので、寒気を左手に見る向きとなる。

温度風が吹いている時、下層から上層に向かう風ベクトルの変化が時計回りなのか反時計周りなのかによって寒気移流なのか暖気移流なのかを判断することができる。

  • 反時計回りに風ベクトルが変化している:平均すると低温場から高温場に向かって風が吹いているので寒気移流である。
  • 時計回りに風ベクトルが変化している:暖気移流である。
  • 風ベクトルは大きさのみの変化で方向が変わらない:温度移流は無いが温度傾度は存在している。

大気境界層

大気境界層と自由大気

対流圏は二種類に大別できる。

  • 大気境界層:地表面の摩擦や温度の影響を強く受ける。プラネタリー境界層、エクマン境界層とも。
  • 自由大気層:地表面の影響をほとんどうけない。

大気境界層は通常1kmほどだが、気象現象の影響で変動し、高度3km程度まで及ぶこともある。風が強いほど厚くなる。

また、地表面が太陽熱で暖められる日中は厚く、夜間は薄くなるという日変動もする。

大気境界層内では上層に向かうほど摩擦力の影響が小さくなる関係で、風速が大きくなり風向は時計回りに変化する。これをエクマンスパイラルと呼ぶ。

大気境界層の区分

大気境界層はさらに細かく区分される。

  • 接地層:地表面に直に接する部分。10mから数十m程度の厚み。
  • 摩擦層(エクマン層):大気境界層の大半を占める。
  • 移行層:大気境界層の上部200m程度。
大気境界層の役割

大気境界層では地表面の起伏や温度分布不均一に起因する乱流や乱渦が発生する。

これらの対流は鉛直方向への熱・水蒸気の輸送に大きな貢献をしている。

対流混合層

大気が鉛直方向によく混合された層を対流混合層、または混合層と呼ぶ。

晴天日日中の混合層(凝結なし)は以下の様な特徴を持つ。

  • 温度:乾燥断熱減率に近い分布をする。
  • 相対湿度:上層ほど高い。
  • 温位:接地層は空気粘性の影響が大きく、熱輸送に十分なほどの対流が起きない。そのため、接地層では下層ほど温位の高い絶対不安定の状態にある。混合層では温位は一定となる。
  • 風速:接地層では上層ほど強く、日中ほど強い。対流層では運動量の輸送が盛んなため均一な風速分布となる。
  • 混合比:一定。
接地逆転層

放射冷却によって生じる逆転層。絶対安定層であり熱、水蒸気、運動量の鉛直輸送は不活発になる。

風向と海面表層における水の流れ

海洋表層の水の流れはコリオリ力の影響を受け、表層の流れは風向きの右側45°〜60°の方向になる(北半球)。その下層の水は表層の流れにひっぱられるが、さらにコリオリ力が働くので深くなるほど時計回りに流れが変化する。また、流速は遅くなる。平均すると海水は風速の直角右側に向かって輸送される。

海洋から100m程度までは流速の向きが変わる。この層を海洋エクマン境界層と呼ぶ。

赤道付近の風速を見ると、北側では北東貿易風、南側では南東貿易風が吹き、北東貿易風の下では海水は西北西向き、南東貿易風の下では西南西向きに海水が輸送される。結果として赤道付近では表層の海水が不足するため、海洋深層部から海水が湧昇してくる。そして赤道付近に低温の海域が形成される。

南米ペルー沖の東太平洋付近に北風が吹く時、赤道付近海水は西向きの表層流を形成し、沿岸深部から冷たい海水を湧昇させる。この度合いの変化がエルニーニョ現象やラニーニャ現象の一因となる。

発散と収束

風のベクトルの表し方

風を表現する際のベクトルを次のように表す。

  • 距離[m]
    • :東西方向(東向きを正)
    • :南北方向(北向きを正)
    • :上下方向(上向きを正)
  • 速度[m/s]
    • :西風成分。西風(西から東へ吹く風)を正。
    • :南風成分。南風(南から北へ吹く風)を正。
    • :鉛直成分。上昇流を正。
風のシア

風の変化率を風のシアと呼ぶ。単位は(m/s)/m = s^-1となる。

風のシアには鉛直シア、水平シア、風向シア、風速シアなどがある。

  • 鉛直シア:鉛直方向の風速変化率。西風の場合、で、上空ほど西風が強いときに正。
  • 水平シア:水平方向の風速変化率。西風の東西シアの場合、で、東側ほど風速が強ければ正。
  • 風向シア:異なる2点間における風向の変化率。単位が他の風のシアと異なる。
  • 風速シア:異なる2点間における風速の変化率。
発散と収束

ある領域について、風上と風下の風速が異なった場合、その領域の空気量は変化する。

流出する空気の方が多い場合を発散と呼び、入ってくる空気が多い場合を収束と呼ぶ。

大気が地表付近で収束すると、上昇気流が発生して雲となる。

風のベクトル表記で考えると、西風成分が東に行くほど大きくなる場合、および、南風成分が北に行くほど大きくなる場合が発散で、逆が収束である。数式で表記すると、収束・発散量は、

と表記され、が正のとき発散、負のとき収束で、0のとき発散も収束もない。

発散・収束と鉛直流の関係

鉛直流の大きさを表す単語として、鉛直速度と鉛直p速度がある。

  • 鉛直速度:速度と同じ単位でm/sやcm/sを用いる。正の値が上昇で負の値が下降。
  • 鉛直p速度:hPa/hrを単位とする。圧力の時間変化率で、負のとき上昇、正のとき下降。地上気圧は常に変化しているので地上においても鉛直p速度は0ではない。

発散、収束の大きさは地表面と対流圏界面で大きく、中層では0となっている。この付近では渦度が保存されるため、500hPa高度の渦度を解析することで大気擾乱の状態を分析する。

鉛直p速度と鉛直速度の関係

総観規模擾乱では静力学へ行こうが成り立つので、鉛直p速度と鉛直速度は次の式で結ばれる。

高度700hPa付近では、近似的に鉛直p速度(hPa/hr)を3で割ると鉛直速度(cm/s)に変換できる。

渦度

渦度とは

大気の回転方向と速さを表す物理量。反時計回りを正、時計回りを負とし、回転が早いほど渦度が大。渦度自体には北半球、南半球の区別はないが、北半球では正の渦度が低気圧性循環、負の渦度が高気圧性循環となる。

渦度は中心の軸の方向をその成分方向とし、x軸、y軸、z軸方向の渦度が存在するが、気象学で総観規模擾乱を扱う場合は鉛直方向の速度に比べて水平方向の速度が極めて大きくなるため、z軸方向を軸とする渦度のみ考える。z軸方向を軸とする渦度は渦度の鉛直成分と呼ぶ。気象学では単に渦度と言えば鉛直成分を指すことが普通である。

渦度を求める式

渦度は次式により求める。

渦度はなぜ生じるか

渦度は以下のような場合に生じる。

  1. 流れに曲率がある
  2. 風速に水平シアがある

2の場合から明らかなように、流れに曲率がなくとも渦度は生じる可能性がある。

絶対渦度保存則

地球の回転座標外から地球上の大気の回転の強さを見たときの渦度を絶対渦度と呼ぶ。

絶対渦度は地球上から観測した渦度である相対渦度に惑星渦度(コリオリパラメータ−)を加えたものである。

絶対渦度は保存量である。絶対渦度保存則を用いると、南下する擾乱の相対渦度を計算することもできる。

例えば、北極にある相対渦度0の擾乱が北緯30°に南下する場合を考える。

北極(=90°)での絶対渦度は

で、これが北緯30°の絶対渦度に等しいのだから、

北緯30°におけるコリオリパラメータはになるので、

よって、北緯30°における相対渦度は

として求められる。

2013-01-14

[] 熱力学の応用 20:03  熱力学の応用を含むブックマーク  熱力学の応用のブックマークコメント

気体の状態方程式

気体の状態方程式の変形

を、密度を用いて変形すると、

となり、圧力は密度および絶対温度に比例することが分かる。

また、単位質量あたりの体積である比容をもちいると、

となり、比容は絶対温度に比例し、圧力に反比例することが分かる。

アボガドロの法則

より、

が得られ、同温、同体積ならば気体の種類には関係なく分子数が等しいことがわかる。これをアボガドロの法則と呼ぶ。

普遍気体定数

ボイル・シャルルの法則

より、1kmol分の気体の標準状態の数値であるP:1013.3hPa、V:22400L、T:273Kを代入してKを求めると、8314.3JK^-1kmol^-1という値が得られる。

これはで表され、普遍気体定数と呼ぶ。

気体定数と気体の分子量

1kmolの気体の状態方程式は分子量をM(kg/mol)として、

と表される。この式から、各気体の気体定数は

として求められることが分かる。

乾燥空気の気体定数

乾燥空気の平均分子量は28.96であるので、この値を用いて乾燥空気の気体定数を求めると、287JK^-1kg^-1という値が得られる。

ちなみにテキストには

乾燥空気の気体定数は287KJ^-1kg^-1です。これは乾燥空気1kgを1K上昇させるために、287Jの熱量が必要ということを表します。

と書いてあるのだがどうも比熱と勘違いしてるのではないかという気がする。気がするが、こうハッキリ書いてあると何か読み間違えているような気もする。

水蒸気の気体定数

水蒸気の分子量は18なので、水蒸気の気体定数

となり、乾燥空気の値より大きい。

気体定数が大きい場合は熱容量(比熱)も大きく、湿った空気は暖まりにくく冷えにくい性質がある。

熱力学の第一法則

気体の内部エネルギー

気体では分子同士の距離が長いので、分子間力はほとんど無視できる。

よって、気体の場合の内部エネルギーとは分子のもつ運動エネルギーと考えてよい。

分子の運動エネルギーは温度に依存し、高温ほど大きくなる。

熱力学の第一法則

気体に加える熱量を、仕事に使われるエネルギー変化量を、気体の内部エネルギー変化をとして、次の関係が常に成り立つ。

これを熱力学の第一法則と呼ぶ。

空気に加えられた熱量は温度上昇と膨張に使われるということを意味する。

断熱圧縮と断熱膨張

外部との熱のやりとりなしの変化を総称して断熱変化と呼ぶ。熱力学の第一法則ではΔQ=0となる。

  • 断熱圧縮:熱のやり取りなしの圧縮。空気塊が下降するときに相当。圧縮はΔWの減少に相当するので、その分ΔUが大きくなる=温度が上昇する。
  • 断熱膨張:断熱圧縮と逆でΔUが小さくなるので温度が下降する。空気塊の上昇に相当。
乾燥空気の定圧比熱と定積比熱
  • 定圧比熱:圧力が一定のまま熱量を与えた時、単位温度を上げるために必要な熱量。与えられた熱量は温度上昇と膨張の両方に使われる。定圧比熱は1004JK^-1kg^-1である。
  • 定積比熱:体積が一定のまま熱量を与えた時、単位温度を上げるために必要な熱量。与えられた熱量は全て温度上昇に使われる。定積比熱は717JK^-1kg^-1である。

定圧比熱と定積比熱の間には、

というように差が乾燥空気の気体定数になるという関係がある。

静力学平衡

静力学平衡とは

静止している大気中にある、単位底面積上の大気柱を考える。

大気柱の中の高さzからΔzまでの空気塊に注目する。空気塊の下部では下面から圧力Pを受けており、上部では圧力P+ΔPを受けている。

下面の圧力は空気塊の重さ分だけ大きくなるため、ΔPは負の値となる。

具体的には、空気塊の体積に密度と重力加速度を乗じた値に等しい。空気柱は底面積が単位面積であるので、密度、重力加速度、高さの積が空気塊の重量 = 圧力差となる。式で表現すると、

この式を静力学の式と呼ぶ。

文章で表現すると、「ある高度における気圧は、それより上にある大気の重さに等しい」ということでもある。

静力学の式が成り立っている状態を静力学平衡の状態と呼ぶ。

地球大気と静力学平衡

大気現象は水平方向のスケールは数千kmに達するが垂直方向はせいぜい十数kmである。台風のような激しい現象を除けば、水平スケールの運動のみで大気現象をよく近似できる場合がある。

低気圧や高気圧のように水平スケールが概ね2000km以上に達する現象を総観規模の擾乱と呼ぶ。総観規模擾乱では静力学平衡が成り立っていると考えることができる。総観規模擾乱の解析では全球モデル(GSM)という数値予報の計算方程式も使用される。

水平スケールの小さな気象現象では静力学平衡は成り立たない。積乱雲などがそれに当たる。こうした事情もあり、現在の数値予報では非静力学平衡モデルも運用されている。

静力学平衡の応用

地表付近の空気密度は概ね1.2kg/m^3である。これに重力加速度の近似値10m/s^2を代入して静力学の式に代入すると、10mの上昇で1.2hPa気圧が下がることが分かる。

ここから近似的に上空の気圧を計算できる。850hPa程度の高度まではこの計算で概ねの計算ができる。

海面更正と層厚の式

静力学の式から気体の状態方程式を用いて密度項を除去すると、

となる。この式を海面更正の式と呼ぶ。

ΔZ間の平均気温をTm、平均気圧をPmとして、ΔZについて式を整理すると、

これを層厚の式と呼ぶ。層厚の式より層厚=大気の厚さは平均気温に比例することが分かる。

また、静力学の式の一般形

を積分してZについて整理すると、層厚の式を対数で表した次の式が得られる。

この式は測高公式と呼ぶ。P_1=0として平均気温(もしくは中間点の気温を用いる)がわかっていればP_2における高度が求められる。

ただし、この式は乾燥空気に対するものであるため、湿潤空気を対象とする場合は混合比rを用いて計算する仮温度

を用いるとより正確である。ただし、いずれにせよ層厚が厚い場合は精度が落ちる。

層厚の式を用いた高度をジオポテンシャル高度と呼ぶが、実用上は通常の高度と考えて問題ない。

大気の気温減率

乾燥断熱減率

乾燥空気が上昇すると断熱膨張を起こすため、膨張という仕事を行った分だけ内部エネルギーが消費されて気温が下がる。

その割合は0.976K/100mで、100mの上昇で約1K気温が下がる計算になる。

0.00976K/mはで表し、乾燥断熱減率と呼ぶ。

湿潤断熱減率

湿潤空気の気温が下がると飽和水蒸気圧が下がるので、いずれ凝結が起きる。凝結が起きる際には潜熱が放出されるので空気塊は加熱される。

飽和した空気塊が上昇する際には、凝結により気温減率が小さくなる。このときの気温減率を湿潤断熱減率と呼びで表す。

湿潤断熱減率は温度や圧力に依存し、下層で小さく上層で大きい傾向があるが、0.5K/100mがよく使われる。

平均的な気温減率

対流圏の平均的な気温減率は0.65K/100mである。

気温減率でみる大気の安定度

大気の安定度は空気塊を上昇させたときに、その空気塊が上昇するのか、下降するのかで判断する。

  • 安定:空気塊を上昇させてももとの高さまで戻るような成層状態。上昇した空気塊の温度が周囲の空気より低くなる場合。気温減率の大きな乾燥空気でこの状態になりやすい。気温の鉛直方向の減率と気温減率を比べると気温減率の方が大きい。
  • 中立:上昇させた空気塊が上昇も下降もしない状態。気温減率と気温の鉛直分布が等しい。
  • 不安定:上昇させた空気塊がさらに上昇するような成層状態。気温減率の小さな湿潤空気で起こりやすい。気温の鉛直方向の減率が空気の気温減率より大きい。
絶対不安定・条件付き不安定・絶対安定
  • 気温減率が湿潤断熱減率より小さい:気温減率が0.5K/100mより小さい場合、上昇した空気塊は必ず周辺空気より低温となり、もとの高さまで戻ろうとする。この状態を絶対安定と呼ぶ。
  • 気温減率が湿潤断熱減率より大きく、乾燥断熱減率より大きい:気温減率が0.5K/100mから1.0K/100mまでにある状態。不飽和空気は安定だが、飽和空気は不安定である。この状態を条件付き不安定と呼ぶ。対流圏における平均気温減率が0.65K/100mであるため、成層状態はほとんどが条件付き不安定となっている。
  • 気温減率が乾燥断熱減率より大きい:気温減率が1.0K/100mより大きい場合。上昇した空気塊は必ず周辺空気より高温となり、上昇を続ける。この状態を絶対不安定と呼ぶ。
気象状況と大気の安定性の関係
  • 条件付き不安定:下層の空気塊が飽和が起きる高度以上に持ち上げられると対流が発生。
  • 絶対不安定:晴天日の日中は地表が日射で暖められ、気温減率が大きくなる。このような場合は成層状態は絶対不安定となり、対流活動が活発となる。逃げ水や蜃気楼といった現象が起こる場合もある。
  • 絶対安定:放射冷却が強く起きた日の明け方などは地表面付近の気温が低く、場合によっては上層ほど気温が高い逆転層の状態になっている。
温位

空気塊を乾燥断熱変化をさせて1000hPaの高度まで移動させた場合の温度を温位と呼ぶ。温位は通常絶対温度で表す。

例えば、27℃で1000hPaの空気塊の温位は300Kである。

温位は乾燥断熱変化をする限り保存される。湿潤断熱変化をする場合は潜熱による加熱で大きな値となる。

温位でみる大気の安定性
  • 安定:温位が高度とともに増加する
  • 中立:温位は高度によらず一定
  • 不安定:温位が高度とともに減少する

対流圏界面の上層では温位の増加割合が大きくなり、鉛直断面図では等温位線が密集する。これは成層圏以上では大気が極めて安定した状態にあることを表している。

対流混合層と温位

対流によってよくかき混ぜられた大気層を対流混合層と呼ぶ。対流混合層は日射で暖められた地表付近に発生しやすい。

対流混合層があるとき、温位の鉛直分布は鉛直方向に一定となる。

接地逆転層と温位

放射冷却等によって地面が急激に冷やされた場合、上層に向けて気温が高くなる空気層ができる。これを接地逆転層と呼ぶ。

接地逆転層があるとき、温位の鉛直分布は鉛直方向に急激に高くなる分布を示す。

相当温位

相当温位とは

空気塊が含む水蒸気の全てを凝結させつつ、1000hPaまで空気塊を移動させた場合の気温。

湿潤空気では必ず温位よりも大きい値となる。

相当温位は湿潤断熱変化でも乾燥断熱変化でも一定に保たれる。

対流不安定

大気の下層ほど相当温位の高い空気が存在している状態を対流不安定またはポテンシャル不安定と呼ぶ。下層が湿っており上層が乾燥した状態と見ることもできる。

積乱雲が発達しやすい条件でもある。

2013-01-08

[] 熱力学の基礎 23:40  熱力学の基礎を含むブックマーク  熱力学の基礎のブックマークコメント

基礎基礎基礎全然基礎。

原子と分子

原子の構造
  • すべての物質の最小構成単位。
  • 大きさは1Å程度。電子顕微鏡でギリ見えるかどうか。
  • 原子核は正の電荷を帯びた陽子と電荷を帯びない中性子からなり、その周りを負の電荷を帯びた電子が回っている。
  • 原子が結合したものが分子で、多くの分子は2つ以上の分子を含むが、希ガスのような単原子分子もある。
周期表と元素の原子量
  • 気象予報士試験的には20番まで覚えればOK(「水兵リーベ僕の船七曲りシップスクラークか」までで20番)
  • 原子量に端数があるのは同位体のせい。
地球大気の平均分子量
  • 窒素78%、酸素21%、アルゴン1%として細かいものは無視して計算すると平均分子量は28.96になる。
  • 28.96という数字を覚えること。
  • 水の分子量は18なので水蒸気は空気より軽い。湿潤空気は乾燥空気より軽い。
モルとアボガドロ数
  • アボガドロ数:6.02×10^23
  • 1アボガドロ数 = 1mol
  • 1molの原子 = 原子量gの重さ
  • 気象学ではキロモル(1kmol = 1000mol = 6.02×10^26)という単位を使う場合もある
  • 1molの気体分子は0℃、1気圧の元で22.4Lの容積を占める。これは気体の種類によらない。

ボイルの法則、シャルルの法則

分子の運動と圧力

圧力は分子運動が原因で生ずる。分子の数が多いほど、運動が激しいほど(=熱運動が活発なほど)圧力は大きくなる。

よって圧力は分子数と温度に比例する。

また、同じ分子数で体積が大きくなれば圧力は小さくなる。圧力は体積に反比例する。

ボイルの法則

温度一定のもとでは気体の圧力が体積に反比例するという法則。圧力をP、体積をVとして、

  • PV = K

Kは比例定数。

気象学では圧力の単位としてhPa(=100Pa)が多用されるが、計算上ではPaまたはN・m^-2を用いること。

シャルルの法則

圧力一定のもとでは気体の体積は絶対温度に比例するという法則。0Kの時の体積をゼロと考え、気温が1K上昇すると0℃(≒273K)の時の273分の1体積が増加すると考える。0℃の時の体積をV_0として、体積V

  • V = ¥frac{V_0}{273}t+V_0

あるいは、Kを比例定数として

  • V = KT
ボイル・シャルルの法則

ボイルの法則とシャルルの法則を「気体の体積は絶対温度に比例し、圧力に反比例する」、という法則にまとめる。

数式で表せば、

  • ¥frac{PV}{T} = K

理想気体の状態方程式

理想気体と標準状態
  • 理想気体:ボイル・シャルルの法則は分子間力や分子の大きさを無視しており厳密なことを言うと成立しない。そこで、ボイル・シャルルの法則が成り立つと仮定した理想的な気体を理想気体と呼ぶ。気象学の範囲では理想気体とみなして差し支えない場合がほとんどである。
  • 標準状態:0℃、1気圧の状態
気体定数

標準状態の1molの気体についてボイル・シャルルの法則の比例定数を計算すると、8.312Jmol^-1K^-1という値が出る。

この値は気体の種類によらず一定であり、普遍気体定数と呼びR^*で表す。

なぜRにアスタリスクを付けてわざわざ「普遍」と冠すのか(「一般」の場合もある)についてはすぐ後に明らかになる。

気体の状態方程式

気体がnmolあるとしてボイル・シャルルの法則を考えてみると、

  • ¥frac{PV}{T} = nK

となる。さらに変形して、

  • PV = nR^*T

この式を理想気体の状態方程式と呼ぶ。

また、気体の分子量をMとしたとき、質量mはn×Mで表現できる。ここで、R^*/M = Rという値を導入すると、理想気体の状態方程式は次のように書き換えられる。

  • PV = mRT

この方程式は「その気体における」状態方程式となる。また、Rは「その気体における」気体定数となる。

例えば、乾燥空気の状態方程式を表したい時は、乾燥空気の気体定数であることを主張するためにdを添字として用い、

  • PV = mR_dT

と書いたりする。気体定数を普遍気体定数と呼んだりアスタリスクを付けて区別したりする理由がここにある。

要するに気象学では気体の数だけ状態方程式があるのである。

2013-01-07

[] 大気における放射 23:30  大気における放射を含むブックマーク  大気における放射のブックマークコメント

まだまだ基礎。きちんと押さえておかないと点数は取れない。

電磁波と放射

波の基礎知識
  • 波長:波が1サイクルの間に進む距離。文字λ。
  • 周期:波が1サイクルする間にかかる時間。
  • 周期:波が1秒間に何サイクルするか。単位Hz。
  • 振幅:波の正の極大値と負の極大値の絶対値。
  • 波高:波の峰から谷までの高さ。

気象学では波長をもとに電磁波を分類する場合が多い。

電磁波の波長の種類
  • 可視光線:390nm〜770nm
  • 赤外線:可視光線より長波長側
  • 紫外線:可視光線より短波長側
  • マイクロ波:数cm〜十数cm付近。降水強度を解析する気象レーダーや大気の3次元運動を解析するドップラーレーダーで利用。

散乱

散乱・屈折・反射
  • 散乱:電磁波が原子・分子・微粒子に当たり、そこから周囲に広がる二次的な電磁波が生じる現象。
  • 屈折:光や電磁波が密度の異なる不連続な物質層を通過する際に進行方向が少し変化する現象。
  • 反射:光や電磁波が物質の表面で跳ね返される現象。
レイリー散乱

空が青く、夕焼けが赤く、海が青い原因。

レイリー散乱は電磁波の波長が散乱を起こす粒子半径より非常に大きい(10倍以上)のときに発生する。

レイリー散乱の散乱強度は電磁波の波長の4乗に反比例する。つまり、電磁波の波長が短いほど強く散乱される。

青色光(0.45μm)は、赤色光(0.7μm)の6倍も強くレイリー散乱する。そして、青色よりも強く散乱される紫の光は太陽光線にはあまり含まれず、対流圏の前に既に散乱されてしまっていることから日中の空は青く見える。夕方は太陽が大気を通る経路が長くなるので、青色が散乱されてしまって赤色が残る。

レイリー散乱は電磁波の入射方向に強く起こり、法線方向には弱く起こるという性質もある。

ミー散乱

雲が白い原因。

ミー散乱は電磁波の波長と散乱を起こす粒子半径が同じくらいのときに発生しやすい。

散乱強度は電磁波の波長にはあまり依存しない。エーロゾルや雲粒の半径は可視光の波長と同じくらいなのでミー散乱を起こす。

散乱強度が電磁波の波長に依存しないということはどの色も同じように散乱されるということで、そのため白く見える。

幾何光学的な電磁波の進行

雨粒や氷晶の直径は電磁波の波長よりも非常に大きい。そのため、可視光線は雨粒や氷晶に当たると幾何光学的な屈折、反射を起こす。

虹やダイヤモンドダストは幾何光学的な電磁波の進行が原因である。

虹は太陽を背に受け、反対側の方位に雨粒が広く存在しているときに見えやすい。光線の屈曲率は波長により異なり、短いほど大きい。通常、虹は外周に長波長、内側に短波長を持つ同心弧として見える(外から赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)。

この通常見える虹は主虹と言うが、主虹の外側にやや不明瞭な虹(副虹)が見える場合がある。副虹は雨粒の内部での反射が二回起こると発生する。副虹は主虹とは逆に長波長が外側に配列する(外から紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)。

地球大気における放射

地球の公転と太陽熱

地球の公転軌道は真円ではなく楕円である。太陽に最も接近するのは1月上旬(冬至の10日後)で、最も遠ざかるのは7月上旬(夏至の10日後)。また、地軸の傾きにより北半球は冬季に太陽に近づき夏季に遠ざかる。

この太陽と地球の距離の関係は、北半球では季節変化による温度変化を若干和らげるように働くが、その作用はごくわずかである。

季節変化の主な要因は地軸の傾き(公転軌道面に対し23.5°)による太陽から受け取る熱量の変化である。

南中高度と赤緯

正午における太陽の高度角を南中高度と呼ぶ。南中高度は以下の式で計算できる。

  • 夏至:90°- 緯度 + 23.5°
  • 冬至:90°- 緯度 - 23.5°
  • 秋分・春分:90°- 緯度

それ以外の時期では赤緯を用いて計算する。

  • 赤緯:赤緯は天体の位置を表す座標である。天球の存在を仮定すると、恒星は天球に張り付いて回転しているように見える。しかし天の北極(北極星)と天の南極の天体は全く動かない。天の北極の赤緯を90°、天の南極の赤緯を-90°とする。天の北極と天の南極の中間の線が天の赤道になる。要するに、その天体の天の赤道からの角度が赤緯である。天の北極と天の南極は地球の自転軸を延長した線と交わり、天の赤道は地球の赤道を延長した面と交わる。赤道面は実際にはわずかずつ移動しているので、見かけの赤緯という意味でその時点の赤緯を視赤緯と呼ぶ。赤緯については理科年表などには一日毎の値が載っており、計算してくれるサイトもある(cf.no title)。

太陽の赤緯をδ、緯度をφとして、南中高度αは

  • ¥alpha = 90^{¥circ}-¥phi+¥delta

で求められる。

太陽定数

地球大気の上端で太陽に垂直な平面が単位面積(1m^2)、単位時間(1秒)あたりに受ける太陽放射エネルギー量を太陽定数と呼ぶ。太陽定数S0は1.37×10^3Wm^-2である。約1400Wm^2と考えても良い。

太陽高度角と放射強度の変化

太陽光線に対し垂直な面が受ける放射強度をI_Eとすると、太陽高度角がαのときの単位地表面が受ける放射強度I_gは次式で表される。

  • I_g = ¥sin ¥alpha ¥times I_E

例えば入射角が30°の場合、地表の受ける放射強度I_Eの1/2となる。

放射に関する法則

ステファン・ボルツマンの法則

「黒体放射のエネルギーの総量は、黒体の絶対温度の4乗に比例する」という法則をこう呼ぶ。

単位時間に黒体が放出するエネルギーをI^*、黒体の温度をT(K)、ステファンボルツマン定数(5.67×10^-8Wm^-2K^-4)を¥sigmaとすると、

  • I^* = ¥sigma T^4
アルベド

放射を受けた時の反射率をアルベドと呼ぶ。

地球の平均アルベドは0.3である。すなわち、地球が放射を受けた時3割は吸収されずにそのまま反射する。

アルベドは雪(0.8〜0.95)や厚い雲(0.8前後)で大きく、裸地(0.1〜0.25)や森林(0.1〜0.2)で小さい傾向にある。

プランクの法則

すべての物体は温度に応じた電磁波を放射している。

電磁波の放射スペクトルが温度の関数となるという概念をプランクの法則と呼ぶ。

キルヒホッフの法則

吸収率と放射率は等しくなるという法則。

良く吸収する物質は良く放射するということである。

ウィーンの変位則

プランクの法則は放射スペクトルを示すが、ウィーンの変位則は放射スペクトルの極大を示す。

放射強度が最大となる波長は黒体の絶対温度Kに反比例するという法則をウィーンの変位則と呼ぶ。

太陽放射と地球放射

短波放射と長波放射

太陽の表面温度は5780Kである。プランクの法則とウィーンの変位則から可視光付近にピークを持つスペクトル分布であることがわかる。実際、太陽放射の47%が可視光領域に属している。残りは紫外線と赤外線である。

一方で地球の表面温度は255Kである。ピークは赤外領域にある。

これらの関係から、太陽放射を短波放射、地球放射を長波放射(または赤外放射)と呼ぶ。

大気による太陽放射の吸収

大気上端では太陽放射はほぼ5780Kの黒体放射スペクトルと同じスペクトルを持っている。

地表付近では大気の吸収や雲、エーロゾルの散乱で全体的に放射が弱くなる他、空気に含まれる各気体分子が強く吸収する波長域が弱くなっている特徴を持つ。

対流圏上層における太陽放射吸収率

対流圏上層までにオゾン、酸素によって0.31μm未満の紫外線はほぼ完全に吸収される。

赤外領域の放射は水蒸気、二酸化炭素、メタン、オゾンなどによく吸収される。これらのガスは温室効果ガスとも呼ばれている。

8〜12μm付近の赤外域は大気による吸収率が悪く、窓領域と呼ばれている。窓領域は赤外線による気象観測などに利用されている。

[] 雲の種類と降水過程 00:43  雲の種類と降水過程を含むブックマーク  雲の種類と降水過程のブックマークコメント

十種雲形

高度別分類
  • 上層:350hPa以上(約8km以上)
  • 中層:650〜350hPa未満(約3〜8km未満)
  • 下層:地表〜650hPa未満(地上〜約3km未満)

対流圏の層厚は温度に比例して変化し、日本付近では夏は12〜16km、冬は6〜8kmである。

積乱雲は鉛直方向に上層まで発達した雲だが、雲底が下層なので下層雲に分類されている。

雲の性状と上昇気流の速度

性状による分類:雲は対流性と層状性の2種に分類できる。

  • 対流性の雲:上昇気流の速度が1〜10m/s以上に達する場合がある。
  • 層状性の雲:数cm/s〜十数cm/sと対流は穏やか。

多くの雲は層状性で、激しい気象現象は対流性の雲に伴って発生する。

積乱雲は発達時は強い上昇気流の影響で水滴が大きく発達し、上昇気流で支えきれないほどに雨粒が発達すると大粒の雨をもたらす。

一方で層状性の雲は上昇気流が弱いため降水があっても弱い場合がほとんど。

強い上昇気流が起きやすいのは寒冷前線付近で寒気が暖気の下に潜り込むような場合である。熱帯地方では下層が湿潤温暖となる場合が多いので、対流性の雲が発達しやすい状態が続く。

層状性の雲は温暖前線で暖気が広く滑昇しているような場合に発生しやすい。

対流性の雲の最盛期は上昇気流と下降気流が混在し、降水の変化が大きくなる。強度の変化が大きい雨雪をしゅう雨(驟雨)やしゅう雪(驟雪)と呼ぶ。にわか雨とも言う。

一方で層状性の雲による降水は強度が一定で連続性の雨となりやすい。地雨とも言う。

代表的な雲形と発生しやすい気象現象

一般に降水をもたらすのは下層雲に含まれる積乱雲、積雲、層雲、層積雲と中層雲の乱層雲などであり、その他の雲はほとんど降水をもたらさない。雨粒ができても地上に到達するまえに蒸発してしまうためである。

  • 積雲:日常的に発生しやすい雲。夏、晴空の中にポコポコと浮いている雲。冬季に西高東低の気圧配置のときにも発生しやすい。地表付近の大気の加熱や成層状態が不安定なときに発生しやすい。成層状態が不安定な場合は積乱雲となる場合もある。降水はあってもにわか雨程度の場合が多い。
  • 積乱雲:鉛直方向に大きく発達した雲。下層が温暖湿潤、中上層が乾燥冷涼な場合(大気の状態が不安定)に発生しやすい。激しい気象現象(突風、落雷、大雨、雹、竜巻など)を伴う場合が多い。
  • 層雲:地表面付近の層状の雲。海上で多く、霧も層雲に該当。温度差のある空気の混合や冷たい地表面への温かい空気の移動で凝結により発生する。雨があっても霧雨程度。
  • 層積雲:下層の弱い寒気移流が起きているときに発生しやすい。冬型の弱い気圧配置や、海上から吹き付ける冷たい北東気流が起きるときに発生しやすい。
  • 乱層雲:広範囲に温暖空気が穏やかな上昇気流を起こす気象状況で発生しやすい。前線の北側や温帯低気圧の中心から北東側が該当。
  • 高層雲:温帯低気圧の数百km東側、前線の300km以上北側で発生しやすい。
  • 高積雲:うろこ状やさざなみ状の形状。上面の冷却と下面からの地球放射による熱の供給で規則的な上昇気流と下降気流の配列ができている。
  • 巻層雲:高層雲が発生する原因と同様のメカニズムで発生。春・秋では天気が下り坂である。
  • 巻積雲:高積雲と同様のメカニズムで発生。
  • 巻雲:羽毛状、筋状の雲。大気の成層状態が安定でも風の鉛直シアが大きいと上層の気流が乱れて発生する場合がある。
霧の種類
  • 放射霧:日没から日の出前まで天気がよく、風が弱い時、放射冷却で地表面付近が強く冷却されることで発生する。
  • 移流霧:冷たい地表面に温かく湿った空気が流れこむことで発生する。夏の海霧が典型例。
  • 蒸気霧:冷たい空気が温かい海面上に移動して生じる霧。
  • 前線霧:前線付近で発生する霧。前線付近では温度差の大きい気団が接するため発生しやすい。
  • 滑昇霧:山の斜面を昇る湿った空気が気圧低下に伴って気温が下がることに寄って発生する霧。

降水過程

雲粒と雨粒

雲の平均粒子半径は10μm程度、雨粒との境界は50μm程度である。

雨粒の平均粒子半径は1mm程度で、4mm以上の雨粒は大気粘性と重力の影響で落下中に分裂して小さな雨粒となる。

平均粒子半径で100倍の比があるので、体積では100万倍の比となる。

水蒸気の過飽和

飽和水蒸気圧を超える水蒸気圧を持つ状態を過飽和と呼ぶ。

小さな水滴は体積に対して相対的に大きな表面張力を持っており、体積を最小にしようとする力が強く働く。そのため、空気中の水蒸気を取り込みにくい状態となっている。飽和水蒸気圧は水平な水面に対する値なので、小さな水滴しか存在しない条件では飽和に達する水蒸気圧はより大きくなる。

これは水平面からの蒸発よりも霧状の水の蒸発のほうが早いことの理由でもある。細かい水粒子ほど存在しにくいのである。

粒子半径が1μmの水滴は相対湿度ほぼ100%で平衡状態にあるが、粒子半径0.01μmでは相対湿度112%程度ないと平衡状態に達しない。

エーロゾルと凝結核

極めて小さな水粒子は極めて大きな水蒸気圧が無ければ発生しないが、自然界では大気中に浮遊する微粒子であるエーロゾルの作用により雲が発生する。

エーロゾルはそれ自身が0.005μmから20μmといった大きさを持っているので、最初からある程度の大きさの水滴ができるということの他、化学物質が溶解することで飽和水蒸気圧を下げるという働きもある。

エーロゾルは2つに大別できる。

  • 大陸性エーロゾル:土壌微粒子が巻き上げられたもの。直径は小さいが量は多い。
  • 海塩性エーロゾル:波しぶきの蒸発によって出来るミネラル成分の析出したもの。直径は大きいが量は少ない。
拡散過程

小さな雲粒に水蒸気分子がくっつくことで水滴が成長する過程を拡散過程と呼ぶ。

拡散過程での質量の増加は水滴半径と過飽和度に比例するが、半径の増加は半径に反比例して少なくなっていく。よって雨粒まで成長する過程ではない。

併合過程

大きさの異なる雨粒は落下速度が異なる。大きな雨粒は小さな雨粒を巻き込みながら落下していく。この過程を併合過程と呼ぶ。

雨粒へ成長するための重要な過程であり、大きさの異なる雲粒、雨粒が多く存在することが必要である。

冷たい雨と温かい雨

雲粒は過冷却の状態にあることが多いが、-20℃以下では過冷却の水滴は減少し、-40℃以下では全てが氷晶雲となる。水滴の氷結速度を早める核のことは氷晶核と呼ぶ。

氷に対する飽和水蒸気圧は小さいので、水雲と氷晶雲が共存していると氷晶雲が急激に成長する。

中緯度帯では雨粒が落下の過程で蒸発潜熱を奪われ一旦氷晶となる場合が多い。

このように降水の過程で氷晶を経験した雨を冷たい雨と呼ぶ。

熱帯地方の雲などは雲頂部でも温度が0℃を下回らず、降水過程で氷晶を経験しない場合がある。このような雨を温かい雨と呼ぶ。

雲粒と雨粒の最終落下速度

最終落下速度

重力と空気抵抗が釣り合った時の落下速度を最終落下速度と呼ぶ。

雨粒の最終落下速度は雨粒半径の平方根に比例する。半径が2倍になれば最終落下速度は√2倍(約1.41倍)、3倍ならば√3倍(約1.73倍)となる。

2013-01-06

[] 水の状態変化と水分量の表現 22:41  水の状態変化と水分量の表現を含むブックマーク  水の状態変化と水分量の表現のブックマークコメント

水について。まだまだ一般常識の範疇。

水の状態変化と潜熱

水の状態変化の名称
  • 氷から水:融解。融解熱を吸収。
  • 水から水蒸気:蒸発または気化。蒸発熱を吸収。
  • 氷から水蒸気:昇華。昇華熱(融解熱と蒸発熱の和に等しい)を吸収。
  • 水蒸気から水:凝結または凝縮。凝結熱を放出。
  • 水から氷:凝固。凝固熱を放出。
  • 水蒸気から氷:昇華。昇華熱(凝結熱と凝固熱の和に等しい)を放出。
潜熱と顕熱
  • 潜熱:水が氷、水、水蒸気と相変化するためには温度変化以外の熱が別途必要となる。これを潜熱と呼ぶ。
    • 値:厳密には物体の温度により変化するが、気象学の範囲では0℃の値で代用しても差し支えはない。1kgの水について、融解熱は0.3×10^6J、蒸発熱は2.5×10^6J、昇華熱は2.8×10^6J。
  • 顕熱:温度変化にかかわる熱を顕熱と呼ぶ。
  • 総潜熱量を定圧比熱と大気質量の積で割ることで昇温量が分かる。

大気中の水分量の表現方法

水蒸気密度

ある気温の単位体積大気中に含むことの出来る水蒸気の質量を飽和水蒸気密度と呼ぶ。

飽和水蒸気密度に対する現在の水蒸気密度の比を相対湿度と呼ぶ。

混合比

湿潤空気に含まれる水蒸気質量と乾燥空気質量の比。

近似的に求める方法として、水蒸気圧をe、湿潤空気の圧力をPとして、

  • W = 0.622¥times¥frac{e}{P}

というものがある。0.622は水蒸気の分子量と乾燥空気の分子量の比である。

混合比は潜熱の発生・吸収を伴わない断熱変化では保存される。例えば、風船を上空へ持ち上げると大気圧が下がるので膨らむが、風船内部の空気と水蒸気の質量比は変わらないので混合比は一定に保たれている。

比湿

湿潤空気に含まれる水蒸気量と湿潤空気質量の比。

混合比とほとんど変わらないが、比湿をq、混合比をrとして

  • q = ¥frac{r}{1+r}
  • r = ¥frac{q}{1-q}

の関係にある。

露点温度

圧力一定の元で未飽和の湿潤空気を冷やしていった時に結露を始める温度。

定圧の状態では露点温度は変化しないが、気圧が下がると飽和水蒸気圧が少し下がるため露点温度もやや降下する。

湿数

気温と露点温度の差。

気象学では湿数3℃未満の空気を「湿潤域」と呼び、湿った空気の目安とする。

[] 地球型惑星と大気の構造 22:39  地球型惑星と大気の構造を含むブックマーク  地球型惑星と大気の構造のブックマークコメント

今季の気象予報士試験も1月27日と差し迫って参りましたね。ヤバイ。

まずは学科・一般知識を抑えましょう。

テキストは気象予報士かんたん合格テキスト 〈学科・一般知識編〉

太陽

表面温度約5,800℃、水素とヘリウムから構成される。

太陽に近い惑星では太陽風の影響が強い。

  • 太陽風:主成分は電離した水素。電流が流れる状態にある粒子線。

膨大な熱エネルギーは電磁波として放射される。放射強度は距離の二乗に反比例して小さくなるため、太陽から遠い惑星では受け取るエネルギー量が少ない。

惑星の大気構成

地球

酸素と窒素で99%(容積比)が構成される。

  • 窒素:78%
  • 酸素:21%

残る1%のほとんどはアルゴンで、二酸化炭素は0.04%(WDCGG解析の2011年平均濃度は390.9ppm)。

水蒸気は場所と時間による変動が大きく、0〜1%程度の範囲にある。

平均温度は約288K(15℃)

金星

大気圧は90気圧で厚い大気を持つ。

大気組成は二酸化炭素が圧倒的に多く、その温室効果もあり表面温度は約720Kである。

硫酸を主成分として持つ分厚い雲を持つ。

火星

二酸化炭素が中心で他に窒素を含む。

太陽から遠く、大気圧も6hPaと極めて薄いため、平均表面気温は180Kで昼夜の気温差が大きい。温室効果が大きいほど昼夜の気温差は小さくなる。

地球大気の起源

原始地球大気

水素やヘリウムが主成分だったと考えられている。これら軽い気体は太陽風の影響でほとんど吹き飛ばされてしまった。

二次大気

火山の噴火により水蒸気や二酸化炭素、窒素が放出された。

水蒸気は火山活動の沈静化に伴い、雲、雨、海と変化した。

原始の海は火山噴火に伴う塩化化合物や硫黄化合物を含み、酸性であった。これは次第に岩石中に含まれていたカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属によって中和されていった。

海に溶けきれない窒素と二酸化炭素が大気の主成分となった。

二酸化炭素固定

二酸化炭素は水に溶けやすいため、海中に溶けて石灰岩(炭酸カルシウム)となった。

二次大気に含まれていた二酸化炭素の大部分はこうして海中に固定されていった。

酸素の増加

中性化した海は生物が存在できるようになった。浅い海で進化した藍藻類の光合成によって酸素が作られ、大気に酸素が増えていった。

大気中の酸素はある程度以上の濃度になると紫外線の作用でオゾンを作り、オゾン層を形成して有害な紫外線を吸収するようになった。

そうして地上にも植物が進出できるようになり、現在の大気組成に近づいていった。

大気の鉛直構造

概要
  • 対流圏:地上から高度6〜16km付近までは気温が一定の割合で低下していく。この大気層を対流圏と呼ぶ。対流圏の上層を対流圏界面と呼ぶ。圏界面では-50℃程度になる。その他の大気層についても上層の事を「◯◯圏界面」と呼ぶ。
  • 成層圏:対流圏界面から高度50km付近までを成層圏と呼ぶ。成層圏では気温が高度とともに上昇していく。圏界面では0℃程度になる。
  • 中間圏:成層圏界面から高度80km付近までを中間圏と呼ぶ。中間圏では気温が高度とともに低下していき、圏界面では-90℃に達する。
  • 熱圏:高度80kmから数百km上空までを熱圏と呼ぶ。熱圏では気温が高度とともに上昇していく。
対流圏
  • 厚さ:平均気温に比例し、高緯度地域で厚く低緯度地域で薄い。圏界面は連続ではなく、所々に不連続面がある。不連続面は南北の温度傾度が大きく前線帯となっている。
  • 運動:「対流」という名が示すように水平、鉛直方向の運動が活発である。
  • 水蒸気:他の大気層に比べて水蒸気を多く含む。水蒸気を含むことの出来る量は気温に比例するため、平均的には下層で多く、上層では少ない。
  • 気温:1kmの上昇で6.5℃の割合で低下する。この割合は「気温減率」と呼ぶ。
  • 地表面付近の気温:高度1500m未満までの層は地表面の温度変化に影響を及ぼし、及ぼされる。
  • 空気量:全体の約80%が含まれる。気圧は高度5kmの上昇で概ね半減する。
成層圏
  • 運動:「成層」の名は安定した状態を示すが、鉛直方向の話であって水平方向の運動は大規模に起こっている。成層圏は空気密度が低いので対流圏の運動が伝搬すると大気運動のスケールが増幅される。
  • オゾン:成層圏にはオゾンが多く存在し、太陽放射を吸収することによって熱源となっている。
    • オゾン生成のメカニズム:低緯度帯(赤道付近)の成層圏で主に生成される。紫外線によって電離した酸素原子が酸素分子と結合することでオゾンとなるが、不安定なオゾンは紫外線を吸収してすぐに酸素分子と酸素原子に電離してしまう。
    • 成層圏のオゾン輸送:成層圏下層には低緯度から両極地方へ向かう南北循環があり、また成層圏中上層には夏極から冬極へ向かう南北循環がある。これをブリューワードブソン循環と呼び、オゾンはこの循環によって冬の高緯度地域に集まる。しかし、冬に冬極のオゾン濃度が高くなるわけではない。北極では3月から4月にオゾン濃度が高くなるが、南極では9月から10月にかけてオゾン濃度が極めて低くなる。このとき、南緯40から60度にかけてオゾン濃度が高くなっている。南半球には大規模な山岳がないため偏西風の蛇行が少なく、極渦と呼ばれる現象が起きやすい。極渦は冬季に極付近に形成される低気圧性循環の渦のことで、この渦周辺の緯度50〜70度に強い西風が吹く。この西風を極夜ジェットと呼ぶ。極夜ジェットは風速が強いためオゾンの輸送が起こりにくい状態となり、南極で10月ごろにオゾン濃度が低くなる現象が起こる。これはオゾンホールの一因と考えられている。偏西風が蛇行しやすい北極付近ではオゾンホールは発生しにくい。
  • 気温:オゾン密度が最も高いのは高度25km前後であるが、圏界面付近の方が密度が小さいため熱容量が小さく温まりやすい。そのため上層ほど高い気温分布となっている。
  • 真珠雲:水蒸気の少ない成層圏でもまれに雲が発生する場合がある。
  • 成層圏突然昇温:春先にかけて下層からの大規模波動が伝播することで低気圧性の循環場が突然崩壊、高気圧性の循環となり気温が十数度上昇することがある。
  • 成層圏準2年周期振動(QBO):赤道上くんの対流圏界面付近から成層圏下部では西風と東風が約26ヶ月周期で交代している。原因は重力波と考えられている。
    • 重力波:重力によって変動した流体がもとに戻ろうとする際に発生する波動。
中間圏
  • 運動:成層圏同様に鉛直方向の運動は起きにくいが水平方向の運動は大規模に起こっている。
  • 気温:酸素分子が熱を吸収し、二酸化炭素分子が赤外線を放出してその平衡で気温が決まっている。冬季より夏季の方が気温が低いが、冬季には下層大気の大規模波動が伝播して鉛直熱輸送が起こるためと考えられている。
  • 夜光雲:夏に特殊な雲が発生する場合がある。
  • 大気組成:中間圏海面までは乾燥大気の比率はほぼ一定となっている。大気の大規模な循環が原因であって拡散が原因ではない。
熱圏
  • 気温:光解離でイオン化した酸素や窒素の原子、イオンが紫外線やX線を吸収するため、上部では2000℃付近まで上昇する場合もある。しかし、ほぼ真空であるため例え熱圏にいたとしても熱さを感じることはない。気温は太陽放射の有無により大きく影響される。
  • 電離層:電子とイオンに分かれた電離状態で存在する層があり、電離層と呼ばれる。熱圏には複数の電離層が存在する。下層からD、E、F1、F2層と名付けられており、D層はよく電波を吸収する。放射の強い上層ほど電離密度は高く、また放射の少ない夜間は電離層は小さくなる。

地球大気における循環

  • 存在比:海洋(97%)、雪氷(2.4%)、地下水(0.6%)、河川・湖沼(0.02%)の順で、気象現象の原因となる大気中水蒸気は0.001%に過ぎない。
  • サイクル:蒸発から降水までのサイクルは約10日である。
  • 降水量:地球平均では1000mm、日本は1800mm。
二酸化炭素
  • 濃度:大気中には0.04%(約400ppm)の二酸化炭素が含まれ、現在も上昇している。
    • 年変化:植物の活動や呼吸量の変化の影響により、晩夏から秋に低く、晩冬から春に高い。変化の振幅は中緯度で最も大きい。これは植生の多さと季節変化があることに起因している。平均増加率については大気循環の影響で場所による差はほとんどない。
  • 排出源:海洋表面、土壌、陸上生態系、化石燃料消費の順。
  • 吸収源:陸上生態系、海洋表面の順。海洋での吸収量は海水温度が上昇すると減少するため、植生の減少の他海水温上昇も二酸化炭素濃度上昇の原因となる。
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