Mozilla Flux

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Thunderbird 3 RC1がリリース

候補がBuild 3まで作られ、テストに時間がかかって予定より遅れたものの、Thunderbird 3 RC1がリリースされた。Mozilla MessagingのWebサイトから日本語版を含む各国語版(49言語に対応)のパッケージがダウンロード可能になっているほか、Beta版ユーザーにはアップデートが提供されているので、「ソフトウェアの更新を確認」からチェックしてみてほしい。

これがFirefoxであれば、リリース候補版が出た時点でMozilla Japanに訳文が掲載されるのだが、残念ながらThunderbird 3に関しては正式版を待ってということらしいので、当ブログでリリースノートの更新点の部分を訳出しておく。

Thunderbird 3の更新点

Thunderbird 3は大きな再設計を含むGecko 1.9.1.5プラットフォーム[Firefox 3.5.5と共通]をベースにしており、パフォーマンス、安定性、Web互換性が向上し、コードがシンプルで持続可能なものとなっています。

このリリースでは[Beta 4から]100以上の変更が加えられていますが、多くは将来の変更のための基礎作業です。注目の変更個所は以下のとおり。

新しい検索と強化されたフィルタリングツール

新しい検索と強化されたフィルタリングツール
検索結果に強化されたフィルタリングツールが加わりました。ユーザーの選択により、結果を差出人、タグ、添付ファイル、人、フォルダ、メーリングリストによってフィルタリングできます。また、タイムラインツールを用いたメールのフィルタリングも可能です。
自動補完機能つきの新しいグローバルサーチフィールド
グローバルサーチフィールドでタイピング中、Thunderbirdはアドレス帳をもとに自動補完を行います。ユーザーの選択により、あらゆる場所から検索することもできますし、件名あるいは差出人といった特定の部分に絞ったうえでの検索もできます。

ユーザー体験の向上

新しいメールアカウント設定ウィザード
新しいメールアカウント設定ウィザードは、知名度の高いプロバイダのメール設定を集めたデータベースと照合を行います。ユーザーが新たなメールアカウントをセットアップするのに必要な作業は、名前、メールアドレス、パスワードの入力だけです。
メールツールバーの再デザイン
メールツールバーは新しいグローバルサーチバーを含むよう再デザインされました。返信、転送、削除、迷惑メールといったボタンは各メールメッセージの一部となっています。これらのボタンをメインツールバーに追加し直したいときは、ツールバーをカスタマイズしてください。
メールメッセージのタブ表示
メールメッセージ上でダブルクリックするか、Enterキーを押すことで、メッセージが新規タブウィンドウに開きます。メッセージやフォルダを中クリックすれば、背景タブに開きます。Thunderbirdの終了時には見えているタブが保存され、次回起動時に復元されます。タブツールバーには新しいタブメニューがあり、タブの切り替えに役立ちます。
スマートフォルダ
フォルダペインにはスマートフォルダが設定され、複数のアカウントに存在する特殊なメールボックス、たとえば受信トレイを結合します。スマートフォルダはデフォルトでオンになっています。
新しいメッセージサマリービュー
複数のメッセージを指定することで、指定したメールの要約を見ることができます。
見出し幅
表示されている見出し幅とその表示順は、フォルダ単位で設定されるようになりました。
メッセージアーカイブ
受信トレイその他のフォルダにあるメッセージを、新しいアーカイブフォルダにファイルしておくことが可能です。
活動記録マネージャ[イベントログの管理]
活動記録マネージャ[イベントログの管理]は、Thunderbirdとメールプロバイダとのやりとりすべてを一個所に記録します。
新しいアドオンマネージャ
新しいアドオンマネージャ(ツール > アドオン)は、拡張機能、テーマ、プラグインを含むThunderbirdアドオンを探し、ダウンロードし、インストールできるようになりました。ただ、リリース時点でこのBeta版[リリース候補版]と互換性のあるアドオンは少なく、アドオン開発者によるアップグレードが必要である点に注意してください。
改良されたアドレス帳
既に連絡先がアドレス帳に登録されている場合、星形の新しいアイコンによって示され、アイコンをクリックすると連絡先の詳細をインライン編集できます。アドレス帳に未登録の場合も、そのアイコンをクリックするだけで追加できます。誕生日のフィールドが新たに加わり、あなたの友人たちの誕生日を把握できます。また、アドレス帳の連絡先に写真を含めることも可能です。
Gmailとの統合を強化
送信済みメールやゴミ箱といったGmailの特殊なフォルダをよりよく認識し、統合するようになりました。これは英語版以外のGmailでも同様です。Thunderbirdは「すべてのメール」をアーカイブフォルダとして使用します。
Windows Vistaユーザー向け
Thunderbird 3はVistaの検索結果と統合されます。初回起動時にThunderbirdは独自のインデックスシステムをWindows Vistaにインストールするかどうか尋ねます。ユーザーの選択により、ThunderbirdのメールとニュースのメッセージをWindowsの検索結果に含めることができます。
Macユーザー向け
Thunderbird 3は、Spotlightに統合されたほか、Mail.appからインポートし、OS Xのアドレス帳にアクセスし、新着メールの通知手段としてGrowlを使うことができます。

パフォーマンスの改善

IMAPフォルダの同期
Thunderbirdは、デフォルトで、IMAPメッセージをバックグラウンドでダウンロードするようになり、メッセージの読み込みが高速化され、オフラインでの操作がしやすくなりました。この機能は、フォルダのプロパティから個々のフォルダ単位で有効化できるほか、アカウント設定の「同期とディスク領域」から、あるアカウントの全フォルダに対して設定することもできます。

動作環境を見ると、Windows 7が挙げられている一方、リリースノート中でも注記されているように、古いOSはサポート外となった。具体的には、Windows 2000以降とMac OS X 10.4 Tiger以降での動作が保証されている。

Beta 4のときと同様に、既知の問題点も紹介しておこう。

既知の問題点

このリストは、Thunderbird 3の既知の問題の一部をカバーするものです。新しいバグを報告する前にこれをお読みください。

全システム

  • マスターパスワードを利用しているか、過去に利用していたことがある場合、Thunderbirdの初回起動時にマスターパスワードの入力を求められるかもしれません。(Bug 338549
  • パスワードは新しい場所に保管されています。前のバージョンのThunderbirdに戻したときや、Thunderbird 3と古いバージョンを切り替えて使うときは、パスワードのリストが更新されません。
  • メールを検索する際、英語以外の言語[例:キリル語]では大文字と小文字が区別されます。(Bug 525537
  • SSLあるいはTLSを使用し、サーバーからの証明書が自己署名、期限切れあるいはサーバーのドメインと一致しないドメインのものであった場合、ダイアログが現れてThunderbirdがその証明書を恒久的な例外とすべきかを尋ねます。エラーについて理解できる場合にのみ、そのような例外とすべきです。
  • フォルダペインにおけるカラムの拡張はBeta 1で削除されました。この機能を復元するアドオンが存在します。
  • コンパクトヘッダビューはBeta 3で削除されました。(Bug 480623)詳細はこのブログエントリ[英文]を参照。
  • Thunderbird 2からThunderbird 3にアップグレードした場合、保護された認証の設定がオンになっている一方で、その設定がSMTPサーバーにサポートされていないことが原因で、SMTPサーバーにログインできないケースがみられるかもしれません。「ツール > アカウント設定 > 送信サーバ」からSMTPサーバーの設定をチェックし、この問題が発生するSMTPサーバーについては編集を加えてください。もし「保護された認証[を使用する]」にチェックが入っているなら、チェックを外してから再度試してみてください。(Bug 522633
  • Thunderbirdは拡張機能がHTTPSプロトコルを使用する安全なサーバーに由来するかデジタル署名されていることを要求し、これに合わないときはインストールできません。

Microsoft Windows

  • 「すべて既読にする」のキーボードショートカットがCtrl+Shift+CからShift+Cへと変更されています。

(09/12/29追記)
Thunderbird 3 Beta 4以降の修正リストが公開されている。それによると、修正されたバグの数は310個である。

参考:Mozilla Firefox Thunderbird の拡張あれこれ-MEMO『Thunderbird 3.0 RC 1

参考:えむもじら『Thunderbird 3 RC1 リリース