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planet カラダン このページをアンテナに追加

2008-05-05

当事者活動を軽視する愚

| 当事者活動を軽視する愚を含むブックマーク


一読者 2008/05/03 01:06

となると、こういうことなんですかね。目の前で困っているホームレスの人がいる。そこで彼に向かってこう言う。

「あのさ、手助けしてあげたいんだけど、募金とかやると保守派に利用されちゃうから、できないんだわ。だから、とりあえず当面は自分でなんとかしてくれ。まあ、俺が日銀総裁になってリフレ政策発動するまで待っててくれや。あと30年ぐらいでなんとかなると思うから。ひょっとしたら、シバキアゲの民主党邪魔されてできないかもしれないけど、そんときは御免な。じゃ、俺、経済学勉強しなきゃだめだから、行くわ。」

と言って、そそくさと立ち去る、と。

sunafukin99 2008/05/03 07:55

>一読者さん

なるほど。で、道歩いてて「どこの誰とも知らないホームレス」と遭遇したらあなたなら何かしてあげられるんですか。それともホームレス支援活動でもやってるんですかね。所詮焼け石に水のああいう運動は自己満足以外の何ものでもないと思いますけど。

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20080501/1209595779コメント欄



私は野宿者支援活動に参加してるけど、好きでやってるといえばそうなので自己満足だと言われるのは構わない。


浜松野宿女性が死亡したときも、ネットでは「支援団体っていうのも偽善的だよね」とかいう意見多かったし、実際そう思ってる人は多いんだろう。確かに、支援者団体に偽装した「貧困ビジネス*1というのもある。しかしこれは「偽善」どころかちょっと「悪」といってもいいものなので、とりあえず除外。*2


偽善」でもなんでも構わないんだけど、一つ覚えておいて欲しいのは、当事者野宿者たちはそれでもその「偽善」にすがらないと死んでしまうということ。「焼け石に水」というけど、人間は石じゃないんです。この国では野宿者の概数調査すらちゃんと行われていない*3ので怪しい数字しかないけど、参考までに大阪市内の行路病死数は、2005年で1213人という。*4この全てが野宿者なわけじゃないけど、少なくとも「路上でも食って行ける豊かな国」ではないから。日本は。野宿者が死んでも滅多に報道されないから知らないだろうけど。


なぜ野宿者はこんなに悲惨なのか? 私の考えでは、それはベーシックインカムがないからでも、福祉政策がチグハグだからでもない。*5無関心ゆえに無理解が蔓延し、無理解に基づく偏見差別を生んでるからだと思う。野宿者を「人間以下のもの」だと思っている人が多い。なんとなく「死んでも仕方ないんじゃね?」と思っている人が多い。生まれや育ちに恵まれず、本人も判断ミスを重ね路上に転落したのかもしれない。でもそこにいるのも人間であって、なんかイヤな匂いのする布切れが落ちてるんじゃないんです。野宿者を路上死に追いやるのは、支援団体の力不足もあるし、福祉関連職員の対応のマズさもある。しかし、もっと根本的には、彼/彼女路上に追いやり、支援者団体くらいしか手を差し伸べた者がいなかったことにある。典型的な「市民的良識」は、野宿者排除の論理しか提示しないではないか。


マクロ的な解決策を模索するのは有意義だから、大いに議論するといいと思うし、根本的な解決策があるなら誰だって歓迎するだろう。でもそこに「人道」という基点はあるのか? と問いたい。野宿者が臥せる路上の視点を遠く離れ、路上の個人*6を数量的にしか表現できず、厄介事として処理しようとする。当事者活動を軽視するような気持ちで貧困問題など議論したところで、有効な手だてが出てくるとは期待できない。


それに、どんなに画期的な解決策ができても、そこから漏れる人は確実に存在するはず。そういった状況に対応するためにも当事者活動というのは永遠に必要。そんなことすらわかってない人が実に多い。*7どんな洗練されたビジネスモデルを提示したところで、ある程度献身的に対処せざるを得ない「当事者」というのは永遠に存在するんだよ。その視点を欠いた、マクロ的な解決策>当事者活動みたいな捉え方は本当に糞だと思う。


アベ・ピエール神父は1954年ラジオを通じて『友よ、助けを!この早朝3時に一人の女性が凍死した!』と呼びかけ、それが切っ掛けで野宿者に夜間の地下鉄駅を開放せよという市民運動が起こった。世界的な観光都市であるパリでの話。

然るに日本では、野宿者の緊急シェルター建設案件が持ち上がると、周辺住民は反対運動で一致団結する……。

これこそ、無理解に基づく差別の典型例。マクロな視点しか愛せない人にはわからないかもしれないが、湯浅氏の活動はこの「無理解」を撃とうとしている点でも非常に有意義なのである。

*1:湯浅氏による造語らしい

*2ホームレスを捕まえてアパートに入居させ、生活保護を受給させつつ、そのほとんどをピンハネするような。生活保護が切れれば別の自治体に移動させられたり。野宿者が屋根のあるところで寝られるようになり、ピンハネといっても最低限食べるくらいの食費が出るならいいではないかと思う人もいるかもしれない。実際にその状況に馴染み、定着する人もいる。が、大半は定着しない。

*3データはあるけど、全然正確じゃない。ちゃんと数えてるとは思えない。

*4生田武志ルポ最底辺』ちくま新書』p28

*5:それもあるが

*6アレント風に言うと各々「ユニークネス」を備えた比類なき人間

*7http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20080316/1205655055とかhttp://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/25とか。これらを好意的にブクマしてる人たちとか、スターつけてる人たちとか

arkanalarkanal 2008/05/05 19:23 >野宿者を「人間以下のもの」だと思っている人が多い。なんとなく「死んでも仕方ないんじゃね?」と思っている人が多い。生まれや育ちに恵まれず、本人も判断ミスを重ね路上に転落したのかもしれない。でもそこにいるのも人間であって、なんかイヤな匂いのする布切れが落ちてるんじゃないんです

お説に頷きました。国家社会主義者達も、弾圧初期段階においてはユダヤ人をいきなり処分しはじめたのではなく、ゲットーに追い込んで、不潔だと宣伝しました。(その為の映画まで作っています)スイフトの「ガリバー旅行記」に出てくる不死人間のように、絶対的異物とみなしている層を説得するのはそうかといって至難の業です。第二次大戦時の避難民のように、人は追い込まれると不潔になり異臭も放つ。それは誰だって例外じゃないという集団的記憶でもないとアカンのかなと思ったりもします。フランス人にできて、なぜわれわれに出来ないのかというのは悔しいことです。ピエール神父が亡くなったときのフランス2の放送をみましたが(同じ2ちゃんでも雲泥の差)党派を超えた全国民的敬意が表せられているのに感銘を受けた思い出があります。