2011-05-08
ホームズワールド、久しぶり
読:小説 |
シャーロック・ホームズファンになって久しい。
だから、本棚を整理していて、古本でパスティーシュを一冊買っていたのを見付けた時は嬉しくなった。奥付を見れば、原著は1950年代に和訳されて出版されたもの。「すつと消えた。」やら、旧漢字が沢山登場し、心がふるっと震えた。普段の日常にはない、古さを目の当たりにするにつけ、脳が喜んだらしい。
内容は、窃盗と殺人で全十二編の短編。最後の二編が血生臭く、やや気が滅入ったので池袋のカフェで1時間粘り、読了させてしまった。コナン・ドイル氏のお子さんが、ジョン・ディクスン・カー氏と協力してドイル氏のメモを基に著しただけあって、いかにもホームズっぽさが随所に出て来て小躍りした。
一節だけ抜粋しておく。
…彼の視線を追うと、蟻がストーブの下から庭に通じるドアの石段へと列をなして動いていた。
彼はステッキで蟻の運んでいる小さな何かの破片をさして、くすりと笑った。
「ワトスン、われわれは自分の三倍もある食事を引きずつてまわる必要がないのだから仕合せだよ。忍耐心のよい教訓だ」
それから感慨深げに床をながめて口をつぐみ、しばらくしてからまた、「よい教訓だ」と同じ言葉を、ゆつくりとくりかえした。(p.301)
♪アドリアン・コナン・ドイル、ジョン・ディクスン・カー 著
『シャーロック・ホームズの功績』、株式会社早川書房、1983年
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