「とある魔術の禁書目録(インデックス)13」

一方通行は打ち止めを助けたい。
理不尽な暴力に虐げられ続ける彼女を、助けてやりたい。
そう思うことの、どこが悪い。
光とか闇とか、そんな立ち位置などどうでも良い。打ち止めが光の世界にいるから、彼女を守りたいのではない。たとえ彼女がどんな世界にいても、一方通行はこの手で少女を守りたい。
世界の区別など、関係ないのだ。
悪人が善人に手を差し伸べたって、問題はあるか。
闇の人間が光の世界を守ったって、文句はあるか。
今の今まで傍若無人に振る舞ってきた学園都市最強の悪党が、
この段階にきて、そこだけを律儀に守る必要がどこにあるというのだ。


ほぼコメディ要素だった前巻とうって変わって冒頭からシリアス全開な13巻。『神の右席』前方のヴェントとローマ正教の学園都市への進行を上条側と一方通行側それぞれの視点から描かれています。
8月31日の話辺りからその傾向はありましたが、作者は一方通行を上条と並ぶ二人目のヒーローとして描く気十分なのが感じられました。片や最低のレベル0能力者にして「幻想を打ち砕く」片や最高のレベル5能力者にして「幻想を守り抜く」最初に一方通行が登場した時は「また幻想を打ち砕かれてr」くらいに思ってました、まさか続けて登場するだけでなくある意味上条と並ぶレベルにまでもってくるとは。それくらい今回は一方通行の株が上がりまくりです。黄泉川や『打ち止め』と関係をもってからは新たな立ち位置に戸惑い、かつての『最強』っぷりは鳴りを潜めていました。が、今回自分の在り方を再認識、手段はどうであれ己の活動限界を超えてまで愚直に目的に向かって進む様は最早もう一人の主人公といっても差し支えないと思います。期待された共闘は今回は電話でのニアミスはあったものの無し。次巻以降に期待…したい所ですが最後辺りで不穏な空気が。
今回の事件で公然の事実として科学サイドvs魔術サイド(というかローマ正教)という構図が確立してしまったわけですが、それに上条組(イギリス清教も?)がどうかかわっていくかが気になる所。イギリス清教最大教主と科学サイドトップは友好関係にあるらしいし、どう考えてもローマ正教とは敵対すると思われるので一見科学サイドよりですが。ただ、科学サイドトップの意図は不明な所が多く、『幻想殺し』を招いた発言や、忘れ去られているであろう失われた記憶の問題が関係してくる可能性もあるので結局どう転ぶかは不明。13巻はイギリス清教の面々が全く登場しなかったのでその辺も含めて次巻にも期待。

4840238014とある魔術の禁書目録(インデックス) (13)
鎌池 和馬
メディアワークス 2007-04