「俺の妹がこんなに可愛いわけがない4」

「っふ……やはりその程度の嗜虐では、彼のマゾヒズムは満足できないのよ」
黒猫は靴の踵をカカッと踏みならし、その鋭利さを強調した。
「……なら、私が踏んであげましょうか?ほうら、仰向けになって御覧なさい?」

邪気眼ゴスロリ中学生メイドに「兄さん」とか言われながら踏まれるってなんという…なんという…楽園


あらすじ

妹・桐乃のケータイ小説の盗作事件に決着がついてから、また幾日かが過ぎ去った。桐乃は「人生相談、次で最後だから」と言っていたものの、その「最後の相談」とやらはまだ本人から聞けてはいない。加えて、妹の様子がなんだか妙なのだ。兄を見かければ悪態をついていた以前から見ると、生意気な態度は変わってないものの妙にしおらしくなったような?
そして3月のある日、京介はついに「最後の人生相談」の内容を聞かされる。それは「新作のエロゲを深夜販売で買ってきて欲しい」という今までの難題からすると不自然なまでに優しいものだったりしたのだが―


なんか本編以外の場所でチャレンジャブルだな!

そうさ…twitterで逆批評があるっていうから、今になって1巻から一気に読んだのさ!…某かー○○Pやら○キ○blogやらでかなり気合入れてプロモーションされてたり、メタ要素が多かったりしたのにあざとさを感じてスルーしてたのだが、読んでみたら既刊どれも面白かった。1は多くを語らないが素晴らしい。3もちょっとベクトルは違うものの、面白いお話だったと思う。
そしてこの4巻ですが、ぶっちゃけ既刊と比べると今ひとつ盛り上がらないように感じた。面白くなかった、これはひどい、というほどでは断じてないのだけど。
1巻から続いている4章構成は今回も踏襲されているものの、今回は短編集的な物になる(3巻あとがきより)ということで、章ごとに「ほぼ」別々のお話が進行。出番が少なかったキャラに焦点を当ててたり、今までよりもネタの引き出しが多いのは短編集ならではでGJ。地味子苛めだけは「きりりん容赦しねぇwww」とか思ってしまったものの、他のお話は素直に楽しめたし。普通のサービス精神旺盛な短編集という感じ。
問題は、最後での盛り上がりが足りなかったこと。今までは3章程度までは、ちょっと日和って進んでても、4章で心に痛い問題が何故か出現→更に心に痛い文句で解決というパターン?があった。そこで1冊の本としての纏まり感を掻っ攫っていった部分があると思ったし…そこに惚れこんでいた。だが今回は、どことなく前フリしている感はあっても最後の問題の析出が唐突過ぎた感じがある。加えて、解決編は第2部で!的なあれで。問題自体のインパクトはあると思うんだ、だけど心に迫る痛さが明らかに足りてないし、解決もしてないのだから、物足りなく思うのは仕様がないじゃないか…最後の押絵は色々と美味しい所をもってった感があるが。


結末部分がパワー不足なので、一般的なメタネタ短編小説に堕してしまったのが残念なこの巻だが、プロモーション活動の切れ味は半端ねぇ。twitterで逆批評とか、読書カードで今後の展開決定とか、(twitterはともかく)方法論としては昔からあったものの、それをここで躊躇なく投入してくる足掻きっぷりは非常に好ましく思える。何回も使える方法じゃないとは思うけど、純粋に面白いと思うし、これを使う作品としては電撃文庫のなかじゃこの作品は適当だろう。広告効果は微妙だと思うがねw

4048679341俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈4〉 (電撃文庫)
アスキーメディアワークス 2009-08-10