「俺の妹がこんなに可愛いわけがない5」

「そう。『あるべき姿』なんて知ったことかと開き直ってしまうのよ。そうすればもう、葛藤なんてすることもないでしょう?独りよがりの自己満足?オナニー作品?知ったことじゃないわね。言いたいやつらには幾らでも言わせておけばいいのよ。私は私がやりたいものをやりたいようにやらせてもらうわ。
畢竟、私にとって同人というフィールドは、自己満足趣味百パーセントの作品を叩きつける場なの。オナニー作品がつまらないというのなら、超凄いオナニーを見せつけてやるだけのことよ」


あらすじ

別れの言葉を残し、桐乃がアメリカに旅立ってから1ヶ月。新学期も始まり平穏な高校生活を謳歌していた京介の元に奇妙な後輩が現れる。

「おはようございます、先輩」

そう、桐乃の友人だった黒猫が京介の学校に入学してきたのだ。散々手を焼かされていた妹が遠くに行ってしまったこともあってか、必要以上に黒猫の学園生活について気になる京介。黒猫のあの性格ではクラスの中での交友関係も上手くいってないのではないかと心配し、課外活動に参加することを勧めることに。目当ての部はゲーム研究会。黒猫も会の設備に惹かれてしぶしぶ入会することにしたものの、反りの合わないもう一人の新入会員と一緒にコンテストに応募するゲームを作ることになって―


黒猫かわいいよ黒猫

前巻の壮絶な引きと、今後の展開を暗に意味するようなアンケート葉書の影響により、まさかのヒロイン下克上か!?と思われていたシリーズ第5巻。千葉黒猫党の党員としては、勿論黒猫を推すように書いて送りましたともええ。
公式のあらすじが厨二病仕様で大変なことになっていたことに驚愕(後で三木さんの仕業と判明)したのですが、読み終わったあとで冷静に文章を見返してみると、それなりに本文の内容を反映していて二度びっくり。大体あってたw ただ、今回は本筋(?)に関してはだいぶあっさり目な描写だったり、先を急いだような展開でちょっと拍子抜けしてしまった所も。予想してなかったというか、予想より早かったというか、もう『奴』が帰ってきてしまった。もっと厄介事が絡んできて1巻並に重いシーンとかあると思っていたんだが…
だが、5巻の真価はそこに無いことは確定的に明らか。『俺の後輩がこんなに可愛いわけがない』きましたわ!これで勝ちますわよ!と声を大にして言いたくなる程に黒猫が可愛いし、何気に格好良くもあってそれで十分満足でした。黒猫かわいいよ黒猫。これまでも出版社への持ち込みのシーンでそれなりに密接な描写があったものの、それ移行はあんまり二人の関係にクローズアップされることのなかった黒猫×京介の関係。桐乃の出番が少ない分今回は気合入りまくりですよ。友達以上のスキンシップを見せつつ、どこか遠慮してもう一歩踏み込めずに、いつもの言動に頼ってしまう黒猫とかもう…ね。黒髪ロンガーな京介氏はあやせよりもっと身近にいる黒髪ロングに気がつくべきだと思います!


新キャラ・瀬菜の性癖に関しての話がネタ方向に走っててあっさり目だったり、桐乃の帰国がすっぱり決着つきすぎている感があるので、次はその辺りを踏まえて多少重い話になるのかなぁ…と思ったら、なんとコメディ編らしい。新キャラであるゲー研関係の面子が、いい感じに壊れている人が多いのでそっちの方向も楽しみですが!

4048682717俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈5〉 (電撃文庫)
かんざき ひろ
アスキーメディアワークス 2010-01-10