レインコート


天気はさらに悪くなるだろうから早めに、ということで午前中から図書館へ行く。しかし以前も思ったけれども、この図書館、中に入ると妙に体調がおかしくなる。生あくびが連発しえ四肢に違和感というか鈍い疲労感のようなものがまとわりつくようで、じっとしているだけで大変鬱陶しい気分になる。たぶん、気圧がおかしいのだ。とくに今日みたいな低気圧な日だと顕著だ。外に出たら雨も風もそこそこ強くなってきたが、空気が冷たくて身体全体に掛かる負荷がすっと消えたようで、館内よりよほど快適でさっぱりした気分になった。


父親宛に宅急便の荷物を出すためふたたび家を出ようとしたときには、かなり雨脚が強くなっていた。ずいぶん前に買ったものの一度も着たことのないレインコートを試しに着てみた。荷物はコートの内側に抱えて、傘を持たずに家を出た。もしかしてレインコート着て雨の中の歩くのは、僕は生まれて始めてではないかと思った。さすがにそんなことは無いかもしれないが、でもこういう感じは記憶にないというか、すごく初体験な感じがする。雨のぼつぼつと被弾する音は耳に聴こえてくるけど、身体は濡れない。楽しい。子供のように心踊る。