年齢


みっともない話だが、自分は、自分が歳を取ってきたということをあまりにも気にし過ぎている。去年から水泳したり体重管理したり、を続けているのも、自分がまだ、今までどおりの体力と外観を維持できていると思いたいからだろう。今日、二人の男性と話をしていて、僕が自分の年齢を言ったら、若く見える方が「えー?若いですねえ、僕に近い感じに見えますけど。」と言ってくれて、こういうことを言われると、自分の意識内のもう一人の自分が戸惑うほど、心の中によろこびがこみ上げてくるのだ。我ながらその馬鹿さ加減に、嫌気がさすと言わざるを得ない。ちなみにその二人の年齢はと聞いたら、若い方は三十歳で、若くない方は五十二歳。「えー?五十二歳にはまったく見えませんね!」と僕は言った。お世辞ではなくほんとうにそう思った。僕と同年齢くらいか、あるいは年下かもしれないと予想したのだが。相手は「いやいやいや…」と謙遜のような態度で苦笑いした。「ですよねえ、若く見えますよねえ。」と三十歳の方も同意。「本当ですよ。驚いたな。」と僕。「いやいや、そう言うあなただって全然そんな年齢には。」と三十歳。「いやいやいや、でも三十歳は若いなあ、いいなあ、羨ましいなあ。」と僕。「いやいやいや、全然そんなあ。」と三十歳。やがて何十年か経過して全員死んだ。