今後


母の住む埼玉の実家へ向かう。昼過ぎに到着。母が車で迎えに来てくれている。車で家に向かう途中の景色が、これはここにも過去何度も書いたことだが、まったく見覚えのない、過去の記憶の景色とはまったく重なり合うことのない、完全にはじめて見る土地の景色で、子供の頃歩いた道とか店の並びとか、木々の向こうに見える空とか家々の屋根とか、そういったすべてが無い。おそらくこのあたりがかつてのあの辺りだろうという想像の余地さえ、消えかかっている有様で、最近はもう、僕は個人的には、この駅から実家までの道のりを眺めているのが、おおよそ景色というものを感受するにおいて、もっとも過激で打ちのめされる体験、といってよい。


実家で母、妹夫婦と姪、僕たち夫婦にて会食しつつ、先日の話など。そしてこの後について打ち合わせる。母が思いのほか、彼の土地のしきたりや文化に準じた法要や行事参加に拘ったのがたいへん意外で、それはいいけどそれならそれで、諸々まだまだ色々とすごく大変じゃないですか、身体を移動させなければいけないのはこちらなのでと、やや渋った態度を取ったのだが、大変でしょうけれども乗りかかった舟だからこの際最後までがんばって、お願いね、みたいな、いつになく強い要求の迫り方をされる。えー、まじかと。なんだか予想外の展開におどろく。