どこまでも等身大でどうしようもなくリアル〜『にこたま(2)』

『にこたま』の2巻が出ていた。遅ればせながら読んだ。

にこたま(2) (モーニングKC)

にこたま(2) (モーニングKC)

まずは公式紹介から。

あっちゃんに、会社の同僚・たかのさんとの間に子供が出来たと告白したコーヘー。大口論の末、二人は一緒に問題を解決する道を選んだ!? 明るい家族計画、絶賛失敗中の最後の思春期、第三次性徴白書!!

ああ。確かに「絶賛失敗中」というべきだ。イタくても、ブザマでも、それでも生きていくのだけれども。高潔な美学を貫くのであれば、人はどこかで自ら命を絶つしかないのかもしれない。でも、それができない平凡な人間は、どんなに苦しんでも生きていくしかないのだ。

以下若干のネタバレ。

前巻よりもユーモアが少なめになっているような気もするが、この巻でも渡辺ペコの筆致は客観的に現実を観察しながらも、登場人物を突き放すことはせず、温かさを失わない。

あっちゃんはコーヘーと添い寝しながらこんなことを考える。

どんなに
くっついていても
触れていても

別の
からだと
あたまと
こころを持った

別の人間
なんだよね

100%の信頼も
100%の恋心も

そんなもの
ないんだな

だが、その直後にこの独白が続く。

明日にはよくなりますように
このフオンな痛み

そう人は孤独。でも希望は失わない。何の根拠もないけど。渡辺ペコの描く世界は、楽観的なおとぎ話でもなければ、耽美的な黙示録でもない。どこまでも等身大でどうしようもなくリアルな人間の物語だ。…それにしても、コーヘーは相変わらずイタすぎる。