魔術師殺し-『Fate ZERO』8話

魔術師殺しとは、もちろん衛宮切嗣のこと。そして「切嗣」とは「切って嗣ぐ」ということ。相手の魔術回路を切断し、決して元の通りではない内容で再度接続するのが、彼の能力の真髄。そのことによって、他の魔術師を暴走に至らしめる。まさに「魔術師殺し」だ。この恐るべき魔術を込めた銃弾が、ランサーのマスターであるケイネスに襲いかかる。

一方、言峰綺礼が単身で切嗣陣営の本拠地に乗り込んでくる。彼の目的は聖杯戦争に勝つことではない。サーバントを操って他のサーバントを倒すことなど最初から考えていない。この点で綺礼は切嗣と同類であるとも言える。ただ、切嗣が聖杯戦争自体を無効化するというある意味で「正義感」に基づいた明確な目的を持っているのに対して、綺礼の方には「虚無」しかないという点が違う。綺礼は究極のニヒリストなのだ。

そんなニヒリストの綺礼が、アイリと舞弥の二人の女性が命を賭して切嗣を守ろうとしている姿を目の当たりにする。自分と同じ孤独な存在のはずなのに。彼にとってこれが面白かろうはずがない。二人に容赦なく襲いかかる綺礼。

綺礼と切嗣が反目しあい対峙するのは同族嫌悪・近親憎悪ゆえのこと。これは運命。これはFate。切嗣が「魔術師殺し」であるならば、綺礼も「魔術師殺し」。ただし、綺礼が命を狙う魔術師は究極的には切嗣だけなのかもしれないが。

オモテの聖杯戦争も本格化する中、ついにウラの聖杯戦争の戦端も開かれた。これからも『Fate/ZERO』から目が離せない。

おまけ。今週のウェイバー君コーナー。今回は出番なし。ライダーとウェイバーがいないと話が相当暗くなるな。