ぬいぐるみがアバター!?〜Webkinzの仕掛け〜


子供に使われる、注がれるお金は膨大な額だけど、実際、そのお金は子供が持っているわけではない。大人だ。また、近年では、6ポケットと言われるように、両親、両親の祖父母が財布を持って構えている。子供を惹きつける世界は、同時に大人の許可が得られるよう、大人の財布のひもを緩めるような仕掛けがどこかしらに必要だ

先日、記事にしたクラブペンギンはそのあたりをうまく理解し、セキュリティという面に細心の注意を払い、安全な世界を作り上げたところが、ユーザーを引き付けた。しかし、どうだろう。インターネット上で子供がやりたがるゲームに300円を払うのと、スーパーマーケットで子供が欲しがるお菓子に300円を払うことのどちらが簡単だろうか。どちらが親の財布のひもを緩ませるだろうか。

答えは間違いなく、スーパーマーケットでお菓子を買うことである。親が子供に使う300円という額であっても、そのシチュエーションによって、許可の下り方は違う。やはり、インターネット上で使う300円は、クレジットカードの登録、そこに対する安全性等、様々な障壁が生まれてくるからである。特に、カード決済を嫌う人口の割合が米国と比べて高い日本では、親を説得するにはより一段の苦労があると思われる。

では、どのようにすれば、子供をオンラインの仮想世界へ誘導することができるのか。WEB上で、仮想世界において、親にお金を落とさせるにはどうしたらいいのか。その仕掛けがうまいと思ったのが、このサイトだ。

2005年、カナダのガンツ社が開始したWebkinzである。これは、お店でぬいぐるみを買い、ぬいぐるみで遊ぶという昔ながらの遊び方に、1つ新しい遊び方を付け加えたものである。それは、そのぬいぐるみにはシークレット・コードと呼ばれるコードが書いてあり、そのコードを使って、Webkinz Worldという公式サイトに登録すると、そのぬいぐるみをアバターとして遊べるというものである。

子供たちは、「Happy」「Health」「Hunger」など、サイトに表示されるメーターを見て、そのアバターを管理する。そして、その状態により、アバターの食べ物や服、おもちゃ等が買えたり、ゲームができたりする。ちなみに、これは全て『KinzCash』という仮想通貨を使って行われる。今後はチャットシステムなどもできるらしい。

これは、実に巧妙な仕掛けである。最初のマネタイズの部分、つまり、親がお店でぬいぐるみを買う部分は、普段となんら変わらない行動をしているだけなのである。しかも、そのぬいぐるみは$11くらい。さして高いものではない。また、トイザラスのような大きな店舗では販売しておらず、指定した小さなおもちゃやさんなどにだけ売っており、品切れが続出しているのである。これでさらに購買感を煽っている。

ぬいぐるみをかわいがるのと同じように、バーチャルペットもかわいがる。どちらかではなく、その両方をかわいがる。既存の遊び方にもう1つ軸を加えたこの仕組みは本当にうまい。例えば、無料で行える遊び(オンラインゲーム)が多い今、WEB上で課金させる仕組みはなかなかにハードだ。そこをうまくクリアすべく、リアルとバーチャルを結びつけたこの仕掛けは、見習うべき点が多々ある。 これと同じような仕掛けをほどこし、今なお、1日5万ユーザーずつ獲得しているサイトを明日紹介する。

by なおこっちゃー