特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

円安と★0510 大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議

今日も株価は年初来高値を記録した。株が上がるというのは悪いことではない。日本の場合 今までが低すぎたし、今も含み損を抱えた厚生年金基金がそこいら中に転がっている。株が上がっているのは金融緩和を期待した円安が原因といわれているが(ほんとかどうかはわからない)、本当に円安は日本にとって得なのだろうか?
ちょうど5/7朝日の朝刊に円安による製造業の損得試算が出ていた。1ドルが85円から100円になった場合のシミュレーションを3月の日銀短観に基づいて日本総研が試算したものだ。
●円安による製造業への影響(単位=兆円)



                                                    
内容は『自動車や電機は儲かるが、その他の分野は損をする、その結果 円安で日本の製造業全体では却って損をする』、というものだ。
ビジネスマン(笑)の端くれの実感として、ボクもそう思う。円安で原材料が上がるのに、大多数の企業は値上げなんかできない。円安にも関わらず輸出数量が伸びていないことが指摘されているが、円安でメリットがあるのは輸出企業ではなく、輸出できる競争力がある企業だけだ。かっては世界に冠たる輸出業界だったが、今やサムスンやアップルのスマートフォンに押されて壊滅状態にある携帯電話や液晶TVのことを考えてみればよい。
一方競争力がある企業は円安だろうがなんだろうが海外へ移っていく。4月にトヨタ三菱自動車が製造ラインを海外へ移すことがニュースで報じられたが、経営戦略上 市場に近いところで生産するのは当然だ。だから、円安による製造業のメリットはどんどん小さくなっていく。

これからの日本は従来のように製造業の輸出で国を支えていく、というのは難しいのではないか。少子高齢化の日本は作る人も買う人も減っていくのだから、企業は海外へ出ていかざるを得ない。円安で一時的に息をつける企業はあるだろうけど、長期的にみれば既存の製造業で国内の雇用なんか増えるわけがない
だから巷でいわれているTPPの議論は反対派も賛成派も時代遅れのことが多いように思えて、正直 うんざりする。製造業の海外進出が進む中で、賛成派が言っているようにTPPで輸出が大して増えるとは全く思えない。一方 反対派の方も農業なんかは真面目に仕事をやる気があるのなら、輸出を促進するためにむしろTPPを歓迎しなければおかしい。結局 JAは補助金をおねだりしてるだけ、反対派の議員はそれに答えて票を稼ぐ、役所は補助金認可の利権を確保する、という出来レース、要するに3つ巴の利権構造ではないか。
TPPの本丸は知的財産権とか保険だろうけど、そこいら辺の議論はさっぱり聞こえてこないのが、政治家、マスコミ含めて何か意図的なものがある、と思えてならない。

資源がない日本は今後も外国からお金を稼いでくることは必要だ。だけど輸出だけで何とかしようというのは時代錯誤だ。貿易赤字は赤字になっても、経常収支が黒字になっていれば良いのだ。これから製造業だけでなく、商業やサービス業など他の産業も含め、円安で原材料が上がる悪影響がもっと出てくるだろう。
円安は本当に日本人の暮らしを良くするのだろうか? いつバブルが破裂するかわからない、目先の株高ごときで浮かれている場合じゃないと思うんだよね。



ということで今週末も官邸前へ。★0524 大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合

今日は珍しく(笑)仕事が遅くなってしまって、現地へ着いたのが7:30過ぎになってしまった。地下鉄の駅を降りたら、雨も降り出していた。官邸間へ向かう途中 もう帰り支度の人ともずいぶんすれ違った。
今日の参加者は官邸前2,000弱、国会前1,000、合計で3,000人弱くらいだろうか(主催者発表3,000人)。

文科省前 福島集団疎開訴訟の人たち

今日も列の後ろのほう、人も疎らになったところに座っている人がいる。座ったままプラカードをもったり、談笑したり、一見 この人たちは何をしに来ているかのようにも見える。だけどボクはこの人たちを見る度に、しなやかで強い意志を感じる。声高ではないけれど、『断固としたNOという意思』を感じるのだ。こういう人たちがいることも官邸前抗議のしぶとさに繋がっていると思うんだよな。
●列の後ろでたたずむ人,

●官邸前 うしろから前へ








●警官の封鎖を抜けて、走り続ける自転車抗議。今日は『平和』というお揃いのTシャツを着ていた。

●国会前。マイクを持っているのはミサオ・レッドウルフ氏

                                                 
今週 案の定、東電が汚染水を海水に流したい、とか言い出した。来週13日 福島県漁連はそれを了承するという話が出ている。県漁連ってどういう人たちなの?それならボクは一生 福島県宮城県茨城県の海産物は買わないぞ!これは別に風評じゃないから(笑)。そう思う人は日本どころか、世界中 山ほどいるだろう。福島県漁連は自分たちの漁業が子々孫々壊滅するのを覚悟して判断すればいい。これこそ自己責任だよ。

一方 反原発の政党のほうには相変わらずがっかりする。生活の党は議員の質があまりにも低いし、みんなの党改憲だ(怒)。それで思い出したのは高校生の時 参院議員当時の中山千夏氏にお話を聞いた時のことだ。話を聞きたいとお願いしたら、彼女は議員会館の事務所で会ってくれた。その時 彼女はこう言っていた。『社会党共産党の議員より、案外 自民党の議員のほうが話せばわかる人は多いんですよ』
その時ボクは意味が分からなかった。だけど今はその意味が良く分かる。

それは本気で原発をやめようと思ったら自民党も含めて働きかけなければ、うまくいかないだろうってことだ。傍目に見ても今の自民党の議員は当時より遥かに劣化していると思う。甘利や茂木のような東電のブローカーみたいな奴や安倍や麻生のように生まれついてのアホ、それに片山さつきとか山谷えりこみたいなヒステリックな極右には何を言ってもムダだろう。だが、それでも話せばわかる議員はいるのではないか。本当に原発をやめようとおもったら、党派にこだわらず味方を少しでも増やす努力が必要ではないだろうか。ボクだって自民党は嫌いだが(笑)、それでも味方を増やそうとするのは、よく考えたら当たり前じゃないか。
                                       
デモ、社会運動不毛のこの国で、1年を超えて官邸前の運動が続いているのも、右左、政党、宗教?にこだわらず反原発という共通項に絞り、小異を問わないからだ。それと同じことをより広い範囲でやっていけばいいのだと思う。
そんなことを言いながら、自分が大したことができないのは恥ずかしい。けれど、まだまだやれることはあるんだと思う。官邸前だけでなく、皆で声を挙げ続けていれば希望は、ある。


●今週の写真。お父さんがさしている傘の下でシャボン玉を飛ばす子供