特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『愚民税』と読書『人口と日本経済』、それに『1209再稼働反対!首相官邸前抗議』

朝、いよいよ布団から出るのが億劫になってきました(笑)。まさに冬〜という感じですね。
トランプラリーとやらの株高で、今日は年初来高値を記録しました。最近の株高につられて、なんとなく浮かれたような感覚が広がっているようです。もちろん、これは一時的なもので、投資家・投機家のババ抜きがまた始まった、ということに過ぎません。そんなに長く続くものではないだろうし、こんなもので浮かれている奴は大馬鹿でしょう。

                                   
今週 ある取引先の社長さんが退任の挨拶に来たんです。理由を聞いたら、親会社のリストラで親会社から出向している社長本人も対象になったということでした。その親会社どころか、業界全体が構造不況に陥っているそうで、そういう業界もあるんですね。勿論 それは彼が悪いわけではない。一時期 ボクは潰れそうな会社を志願して立て直しにいっていたくらいなので、そういう場面は慣れているつもりですが、目の前で淡々と話す人を前に、何と言って良いか判りませんでした。
マスコミがくだらないことを言っていても、現実は大変ですよ。自分の生活も毎日が綱渡りだなあと思います。世の中 色々なことがありますが、週の終わりには、今週も何とか無事で過ごせたことがありがたいと改めて想った、そんな1週間でした。

●夕焼けと遠くに見える富士山(右):冬の数少ない良い点は空がきれいなところ



さて、最近思うのはやはりポピュリズムが広がっていることです。どうしたらいいんでしょう。一つ言えるのは経済が重要であるということです。EU離脱にしてもトランプの当選にしても、強いては太平洋戦争にしても、経済の不況が引き金でした。人々の不満が溜まってポピュリズムに走り、バカな方向へ向かうからです。
●例えば、オバマケアを廃止したらどうなるか:今回の選挙で民主党からトランプへ投票先を変えた有権者が多い州はオバマケアによって無保険者が大きく減った州(五大湖周辺)と一致しています。つまりオバマケアを廃止したら、トランプへ投票した労働者の多くは健康保険を失うのです(笑)。
Some of the places that put Trump over the top could be most harmed by repealing Obamacare - The Washington Post
*赤色が濃いほど、民主党からトランプへ投票先を変えた有権者が多い地域。五大湖周辺のラストベルトが多いです。

*赤色が濃いほど、オバマケアで保険に入ることができた人が多い地域。西海岸を除けば、こちらも五大湖周辺のラストベルトが比較的多い。

盲目的な愛国心やバカげた差別意識の根本には日々の生活への不満があります。生活がある程度満たされていれば、金持ちケンカせず(笑)とは良く言ったものです(笑)。
今の不況の原因は人々にお金が回っていないからです。この20年近く実質賃金はずっと下がり続けているのですから消費なんか増えるわけないでしょう。
●2000年〜2015年までの賃金推移(2000年を100とする)。アベノミクスが始まった2013年からの実質賃金の低下が顕著です。

そのためには人々への再配分を行うしかないのは今や自民党ですら判っています。安倍晋三ですら、賃上げとか言ってるわけです。でも、今日発表された2017年度税制改正大綱は少しでもその方向へ向かっているでしょうか。あんまり関係ないですね(笑)。
所得税の抜本改革先送り 与党大綱決定 :日本経済新聞

特に配偶者控除の廃止が見送られた件。『今回の改正はあくまでも妻のパート労働を前提とする』(日経)。これを決めたクソオヤジ連中は、『男並みの仕事に就く一部を除いて、女性は低賃金の職だけやってろ、ついでに家事もやれ』と言外に言っているんです。連中の頭の腐り具合はクー・クラックス・クランのバカ連中と大して変わらない。ついでに、配偶者控除の廃止が増税だと言っていた人たちは、それ以前に配偶者控除は差別である、という根本的なことが判ってない。


ちょうど今朝、コラムニストの小田嶋隆氏が非常にいいことを言っていました。
カジノ解禁法案は、愚民税の増税
カジノ法案という“増税策”:日経ビジネスオンライン
確かにその通りかもしれません。政治に関心がなかったり、ポピュリズムに踊らされることで、国民は政治家や官僚・金持ちの不正、不公平な税制や補助金、それに戦争などの余計なコストを押し付けられます。それはまさに愚民税と呼ばれるのがふさわしい。
カジノにしろ、原発にしろ、不公平な税制や一票の格差にしろ、様々な形で我々は通常の税金に加えて、『愚民税』というもう一つの税を払い続けるのだと思います。

                            
さてさて、今日はこの本の感想。夏に出版されてから、多くの書店ではずっと平積みになってますから結構売れているんじゃないでしょうか。吉川洋の『人口と日本経済

この人は元東大教授で元日本経済学会会長、経済学者の重鎮で政府の各種審議会の委員を歴任しています。と言っても竹中平蔵みたいな曲学阿世ではなく、『金融緩和で物価があがるわけがない』とアベノミクスを当初から批判している人。社会的共通資本や公害の追及で名高い宇沢弘文先生のゼミ出身だそうです。
                                           
脱線しますがアベノミクスの理論的支柱(笑)と言われたエール大名誉教授の浜田宏一今になって『考えを変えた』と言い出してますね。『(当初唱えていた)金融緩和じゃなく財政出動だ』と言い出した11/15の日経を読んでびっくりしました。このインチキ・ジジイ(笑)。ボクは当初から相手にしてませんでしたけど(笑)。

                                 
今朝の文芸春秋の広告にも『私はアベノミクスを考え直した』という浜田の言が見出しになってましたけど(ボクは記事は未見)、無責任も甚だしい。どうして『考えを変えた』ではなく『私は間違ってました』と言えないのか。この無責任さは原発ムラの東大だの阪大だののインチキ教授連とそっくりです。

                         
閑話休題(笑)。吉川洋先生はこの本で、『人口が減るからって日本経済に未来はないと悲観しないほうがいい。イノベーションを起こしていけばいい。』という主旨を述べています。マルサスケインズ、スウェ―デンの人口論を紹介しながら、日本の明治から高度経済成長期までをたどり、必ずしも人口だけで経済成長が決まるものではない。新製品や新サービスを作り出していけば成長できると述べています。また、経済成長ゼロでもいいんじゃないかという最近の思潮を好意的に紹介しながら、安易に成長ゼロ論を唱えるのは危険である、と戒めています。

                         
この本は誰にでも判り易い言葉で平易に述べています。ボク自身はとても勉強になりました。ボクなんかが言うのはゴーマンですが、良くわかっている人だなあ(笑)というのが感想。しかし、ここで彼が言っている『イノベーションを起こしていけば日本は成長できる。悲観論から抜け出すことに日本の将来がかかっている』というのは彼の願望であって理屈ではありません。じゃあ、どういうイノベーションをどうやって起こすのかなんてことは彼も提示できないからです。吉川氏自身もこういうことを言いながら、『イノベーションのリターンは長期的には低下していくのかもしれない』と本音を漏らしているくらいです。彼だって人口減で成長が妨げられるということは判っているけど、敢えて一般の人に希望を示したいんだと思います。

                                                                  
吉川先生が言うように、『画期的な新技術、新製品や新サービスを生み出せば、経済成長は出来る』。それは間違いありません。一方 水野和夫先生等が『資本主義はもう限界だ』と言っているのは『産業革命が終わり、IT革命も終わった今、画期的なイノベーションは見当たらない』からです。吉川先生も水野先生もどちらも同じことを言っているんですね。成長が可能かどうかは、人口減をカバーできるような、時代を変えるようなイノベーションがこれからも起こせるかどうか、にかかってます。ボクはAIなどはその可能性はあるとは思いますが、基本的には難しいですよね。人口減を補うようなイノベーション蒸気機関やコンピュータのような革新技術なんてそう簡単にはできるわけない。ボク自身の実感として医療とか介護はもっと良くなって欲しいとは思いますけど、他はこれ以上便利にならなくても良いと思います。多くの人もそう思っているとしたら、画期的な技術や製品はなかなか出て来ないんじゃないでしょうか。だいたい強引に法律を作ってまでカジノを作ろうなんていうのは、もうまともな方法では経済成長なんかできないのを国が認めてる、ってことですよね(笑)。
                                                  
この本は色々な経済学の考え方を判り易く紹介しています。経済成長ゼロ論まで紹介している。しかも宇沢弘文先生の弟子らしく、根底には世の中をどうすれば良くできるか、という視点がある。彼は国民の平均寿命の短さだけとっても戦前という時代は間違っていた、と言っています。戦後は人々の平均寿命が戦前より20歳以上伸びただけでも価値があった、と言うのです。この本は、経済は人々の暮らしのためにあるという姿勢に貫かれているんです。
でも この本の結論を真に受けると、判断を誤ります。吉川先生が言うようにイノベーションで経済成長は出来るというのは間違ってませんがイノベーションが起こせるかどうかは判らない。かと言って水野先生のように、もうイノベーションは起きないと決めつけるのも早計です。イノベーションを起こすのは諦めない、でも多分起きないだろうから(笑)、ダメだった時のことを考えながら生きればいいんじゃないか、というのがボクの結論です。


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ということで、今週も官邸前抗議へ。
今日の昼間は暖かかったです。午後6時の気温を14度。これくらいだと身体にも楽ですね。忙しい年の瀬だからでしょうか、今日は参加者の出足が悪くてどうなることかと思いましたが、結局 参加者は最近のアベレージの人数、主催者発表で800人。
●抗議風景





                                 
ボクは原発は反対ですが、今直ぐすべての原発を廃止していいかどうかは判らないと思っています。福島以外の原発+燃料の電力会社の帳簿価格は5兆円。それを誰が負担するか、国民のコンセンサスが取れていないし、エネルギーの安全保障だって考えなくてはいけない。そもそも原発に反対している人だって、何を言っているか判らなかったり、陰謀論に取りつかれているような人だって多いです(笑)。でも311以降政府や東電が言ってること、やってることって徹頭徹尾酷い、と思いませんか。完全に大ウソつきの集まりじゃないですか。堤未果上杉隆なみの(笑)。そんな連中が原発を動かしたらやばいでしょう。誰が見たって。
                                           
実際に11月末のマグネチュード7の地震で福島第二の冷却機能が止まったばかりですが、今週4日は福島1Fの燃料プールの冷却が止まりました。原因は『作業範囲の狭い現場での動作確認については最低限必要な基本的動作が十分に行われていなかった』、具体的には作業員が誤ってスイッチに触れてしまったから、という単純な人為ミスです。こんな連中に原発なんか触らせたら、やばいに決まってるじゃないですか!

                                       
今週は川内原発が再稼働しちゃったけど、このままじゃ原発も愚民税になってしまいますよ。ほれ、この通り(笑)↓。それも安い金額じゃない。22兆円っていいますけど、消費税20%分/年ですよ!

●最後は心温まるニュース。開戦記念日を迎えて、強制収容所から生き残った日系人たちが『今 イスラム教徒がかっての日系人と同じ目にあわされている』とアピール。本質的な指摘というだけでなく、これが人間同士の連帯だと思いました。
Japanese-Americans Imprisoned For Ethnicity Speak Out In Defense Of Muslims | HuffPost