神々の写真に圧倒された日

 昨日の続きから。イトコの結婚式に出た俺は日帰りの両親と別れ、祖父と都内ホテルへ。翌日は靖國を案内して差し上げるお役目を仰せつかったワケですが、89歳の爺様ちゃんだから「今日は疲れたな」と言って20時にご就寝。シングル2部屋とりゃよかったんだが予約ン時ボケちゃってた俺は爺様と同じ部屋。

 昼間っから呑んじゃってたんで頭痛が酷くて俺も21時には寝ようと思った。んで、それまでVAIO type Uで音楽聴いてたから気づかなかったが、イヤフォンを抜いた瞬間物凄い轟音が。

 爺様のいびき!ヤニク・トップ(フランスのプログレバンドMAGMAのベーシスト)とか穴井仁吉クラスの、所謂地鳴りベースに負けないぐらいの鼾なのである。布団被ったらイケるかもと思ったが、暑くてムリ(就寝前に「ちょっと寒いな」と言ったので室温高くしてた)。ところが、急に静かになったのでヤレヤレと思ったら今度は呼吸してないワケ。鼾かく人に多い無呼吸症候群ってヤツね。

 アサヤン・・・勿論オーディション番組になる前の『浅草橋ヤング洋品店』でエガちゃんがヨガパワーで水中息止めやってたぐらいかっていう程息してない(実際はソコまでじゃないんだろうけどそれぐらい長く感じたワケです)。もう今度はそれが心配で寝れない。この繰り返しで朝を迎えたワケです。意識が朦朧としている俺とは対照的に「暖かかった。よく寝た」と爺様。100まで生きるとか言ってるが、もっと生きるよ、アンタは。

 さて俺が靖國を案内する筈だが、爺様は入り口から迷わず歩き出す。
「初めてじゃなかったの?」
「個人参拝は初めてや」
そういうオチかよ。靖國“を”、じゃなくて靖國“に”、案内する役ね。個人参拝用の建物に入って書類書いて、玉串料だかナンだかを渡した後(俺は視てただけ)、表の方の喧騒が嘘みたいな本殿の奥だかどこだかに案内され、祝詞を聞いたりした。帰り際、神主さん(?)の格好の方が名刺もって爺様のところに来てなんか喋ってた。寄贈して戴いた○○は大切に使わせて戴いておりますとかなんかそういう話だった。戦友会関係だろう。

 神主さんに遊就館のタダ券を戴いたので行ってみた。ここは零戦とか回天(のレプリカ)が有名だが、特別展示室には時代的にもっともっと古いものも。昔の甲冑とかね。村正とか備前長船盛光が良かった。なかごは年代を感じさせるような錆とかかなりあるんだけど、その刀身は時の流れを完全に無視して光り輝いておりました。うっとり。思わず
焼身を研ぎ直したもので身幅の割に重ねが薄くなっていますが、私にはもうその繊細な刀紋を見る事は出来ません。ですが、その怜悧な気を感じる事は出来ます。これこそが真の日本人の姿ではないでしょうか。透明な真理の中に生き、郷土を愛し、その美しい自然を慈しむ。自らに厳しくある事を尊び、利己を潔しとしない。そうした理念が息づいていた事を、何よりも無言のこの刀が語ってくれていると、私は思うのです。」
という『ガサラキ』の西田啓先生の科白を思い出す。余談つーかマメ知識ですが、展示では刃が下向きだったら太刀、上向きなら打刀(で、合ってると思う)。