1対1対応の演習

少しレベルが高めの入試標準のインプット用問題集。東大・京大・東工大を始めとした、難関大志望者に人気のシリーズ。
この本は、ひと通り数学を学んで、基礎を身につけた人が「入試問題」の標準レベルに飛躍するために必要な知識や、頭の動かし方が詰まっている。
ゆえに、「黄チャート」がほとんど解ける、という状態でないとまずこの本の説明が理解できない、もしくは理解するのにかなり苦労する。
基本の解法をひと通り身につけたけど、赤本や模試の問題となるとちょっと手がつかない、という人にこの本は最大限の威力を発揮する。

1対1対応の演習/数学II―大学への数学 (1対1シリーズ)

1対1対応の演習/数学II―大学への数学 (1対1シリーズ)

新課程の人はこっち

1対1対応の演習/数学1 新訂版 (大学への数学 1対1シリーズ)

1対1対応の演習/数学1 新訂版 (大学への数学 1対1シリーズ)

1Aから3Cまで全て揃っていて、それぞれの単元での入試標準となる問題が集められている。普通、入試で備えておくべき知識や、武器はこの本で必要十分だと言える。
この本で身につけた武器をあとはいかに問題に対して当てはめていくか、の勝負になってくる。難関大学の問題も、難問以外はけっこうこのレベルの問題に落ち着いていることが多い。
この本が終わったら、本当に難関大学を受験する人以外は一度赤本を解いて、手応えを感じて欲しい。東大や京大も、この本の問題がほとんど解ければ何問か解けるようになっている。
予備校のテキストは、この本に載っているような手法を説明したり、それをどうやって応用するか、を念頭に置いて組まれているので、難関大学コースに入る人はこの本を予備校に入る前までには終わらせて欲しいし、予備校の授業で知らない手法があったら、この本で調べれば大体見つかるのではなかろうか。
現役生は、予備校のテキストのサブとして使ってもいいかもしれない。予備校の授業の予習や復習に是非活用するといいだろう。

使い方

単元ごとに、要点の整理、問題、演習題の解答という構成になっている。
チャート式と構成が似ているので、黄チャートのページの回し方の項目や、数学の参考書の使い方のページも参考にしてほしい。

・要点の整理
これはチャート式の基本事項の欄の発展版となる。
ほとんどチャート式で知っている事項だと思うが、たまに知らないもの、忘れてたものがあれば式変形を追ってみるくらいはしてみる。
が、ここでピンと来なくても構わない。どうせあとで問題演習で使うのだから。

・問題
紙面構成はチャート式と似た構成になっているので、やり方はほとんど同じだ。
分からなければ、積極的に答えの上のヒントを見る。問題を解く上でのポイントが載っている。
この問題集で一番大事な部分はここなので、ここでの問題の処理の仕方を身につける意識を持って取り組もう。

・演習題
演習題は、上の問題の解答や解説を見ながらでもいいので、やれるところまでやってみる。
単元によってはかなり難しい問題も入っているので、問題の難易度表記で少なくともA、可能ならBまでできれば上等だ。
C問題は、解説をじっくり読んで納得すれば、それで構わない。
D難度はこの問題集には入っていないはず……。もし入っていたとしても解けなくて構わない問題なので、飛ばしていい。

・ミニ講座
特にこれから新スタンダート演習や新数学演習などの東京出版の本で演習をしようと思っている人はここはしっかり読んでおく。
これらの本で、ここで紹介されている解法をものすごく多用します。たまにわざわざこの解法使わなくてもいいじゃんって思うようなところでも使います。
これからZ会の問題集や、河合の問題集を使う人も覚えておいて損はないので、例題くらいは自分で紙とペンを持って式を追うくらいはしよう。

タイミングは慎重に

受験生になるからまず最初は……と思って手を出してみると、痛い目を見る。
難関大学の受験生を中心に人気の本だからといって、自分のレベルを考えずに突っ込むとこうなるので、立ち読みして「うわぁ」となったら、大人しく黄チャートのような基礎からやり直した方が近道。
進学校だったり、日頃から真面目にやっていたりして、1、2年で基礎のインプットがちゃんと出来る人なら、受験生として最初の参考書に選んでももちろんいいし、できるのに無理に黄チャートをやることもない。
同じ偏差値でも、人によって苦手な単元や分野があったりするので、そういう場合は適宜チャートや、必要ならばもっと簡単な苦手克服用の本からやり直そう。
その辺は、臨機応変にやってほしい。ただ、無理だけはしないように。
こういう本で一番やってはいけないのが、途中で投げ出して中途半端な知識のまま次に進んでしまうこと。
中途半端な知識は、本番では何の武器にもならないし、時間が経てば忘れてしまう。
この本に載っている問題がほとんど解けるようであれば、演習題に積み残しが多少あっても普通の模試の問題は難なく解けるだろうし、入試の問題もそこそこ解けるようになっているはずだ。
長く、辛かったインプットの作業が、ひとまずは決着がついたことになる。
なので、チャート式と同様に、何度も繰り返しやりこむこと。