水城正太郎の道楽生活

だらだらと文章を書いて暮らしている水城正太郎の日記

2018-07-09 D&Dの話その1

[] ゲームの話を満を持して。

 

 日本ではけっこう新作と扱ってよいTRPGD&D第五版』! プレイヤーズ・ハンドブック、ダンジョン・マスターズ・ガイド、モンスター・マニュアル、の三冊を購入すればすぐに遊べます!

 

 って、簡単に言いましたが、お値段もなかなかに敷居が高く、面白いのはわかっていても、踏み切れない方も多いかと思います。「そもそも第五版ってなんだよ! 前に四つもあるじゃん! そっちやってないよ!」ってなりますわな。

 

 そこで思い出とともに、というか細かいところの説明や正確性はある程度無視して、主観中心で歴代を解説していきます。

 

 まず元祖は『D&D』。やっている人には「赤箱」とか言われますが、キャラクターのレベルがあがるとルールが増える方式で売り出され、「緑」→「黒」と箱の色が変わったため、絶対に必要な初期セットの赤箱が印象に残っている、というわけ。

 ルールが追加されるという形式に初期の手探りな感じを見ることができますね。

 なおキャラクタークラスと種族が分かれおらず、エルフやドワーフは「エルフという職業」でした。『指輪物語』を再現できるゲームでしたが、ホビットがハーフリングという名称に変わっています。ホビットは民間伝承にない種族ですので、原作者サイドより抗議があったと言われています。

 私は中学時代にプレイしています。当時はコミュニティがほとんどなく、ルールも手探りでした。誤訳や間違いも多く、「マジックミサイルって撃ったらなくなるの?(スリング程度のダメージだから効果時間中撃てると思っていた)」や「ブレイドバリアーは張ってから体当りするクレリックの攻撃魔法!(狭いところで使った場合の制限が明記されていなかった)」などそれに起因するわけのわからないプレイをしつつも、めっちゃ楽しかったのを覚えています。あれがなければこっちの道には進まなかっただろうに……。

 特徴は「戦闘ルールとめっちゃ多い魔法」が中心になっていることですね。基本的には簡略化されたウォーシミュレーション(製品版『D&D』の基礎は『チェインメイル』というミニチュア・ウォーゲームのファンタジーサプリメントだった)であるということ。ファイターは赤箱の時点では持っている武器と鎧とヒットポイントくらいしか意味がなく、そのキャラクター性はプレイヤー自身が表現するしかありませんでした。そのことがあらゆる名プレイや迷プレイ(マンチキンとか……)を生んだとは言えるかもしれません。

 簡略化されたルールを補完するため、雑誌『ドラゴン』が創刊されます。こちらに大量の選択追加ルールやアイテムなどが投入されます。やがて、ルールと世界観が広がりすぎたため、『D&D』を継続しつつも『AD&D』が発売されることになります。

 

 『AD&D』は雑誌『ドラゴン』での追加ルールを整理し、ハードカバー形式で売り出されました。プレイヤーズ・ハンドブック、ダンジョン・マスターズ・ガイド、モンスター・マニュアルの三冊が必須であるという形式になったのもここからです。

 種族とクラスが分かれ、ルールは重厚になります。まだコンピューターRPGウィザードリィ』や『ウルティマ』は発売前! むしろ『ウィザードリィ』などは『AD&D』を再現するかのようなゲームでした。そのことから分かる通り、戦闘システムひとつとっても当時のコンピューターでは実現できないほどの複雑なルールを持っていました。

 種族とキャラクターごとの特殊能力、アイテムで増減するアーマークラス、武器の両手持ちとその効果、ファンブル、武器の受け流し、組みつき……。マスターはおろか、その能力を使っているプレイヤーですら使用を忘れるほどルールは詳細、さらにオプションルールは『ドラゴン』誌よりバリバリ追加されます。

 私は高校生時、幸いにしてそれを専門にプレイする大規模サークルに参加することができ、そこでプレイしていました。当時は日本語版が発売されておらず、英語でプレイする大学生や社会人中心のサークルで、ルールを教わりながらやっていました。複雑化したルールのせいで、ルールの穴をつくプレイもそこで教わりました。「ピック(つるはし)両手持ちのファイターは四回と二回攻撃をターン毎に行える。ダメージダイスは4Dプラス1、つまり期待値は一般武器よりも高い!」とか。

 そんな煩雑で間違えやすく、馬鹿なことが起こりがちな複雑なルールでしたが、そのおかげで感動的な体験がありました。大人数でテーブルごとに長いキャンペーンをやったある日、マスターたちがプレイヤーを公民館の会議室の外で待たせます。「なんか仕掛けがあるんだな」とは思いましたが、しばらく後入室して見たのは、想像以上の光景。会議室の長机をつなげ、会議室を埋め尽くすかのように並べられたフロアタイル! その中央で待ち構えるデーモンの巨大フィギュア! 各テーブルで別々のシナリオをやっていたパーティたちは、そのダンジョンの四方からそれぞれ中央を目指さなくてはなりません!

 MMORPGなど欠片もなかった時代(というかPCはまだ16ビット)に、この感動は得難いものでした。詳細なバトルルールがフロアタイルで表現可能なものだったために可能だったのです。この感覚を味わうには、もっとずっと後のPCゲームを待たなければならないことになりますので、なかなかこれを超える体験はありませんでしたね。

 

 次回は『AD&D』のサプリメントと第二版、さらにその影響、三と四は軽く流して五版へと語ろうかと思います。

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