インド式・食前の祈り
インド式・食前の祈り
ご飯を食べる前、ふとした拍子に「いただきま〜す」と言ったら、「Itadakimasu」って何?と彼に聞かれた。
いつものように、バガヴァッド・ギーターから抜粋したサンスクリット語の食前の祈りを唱えた後なので、不思議に思ったのかもしれない。
うーん、文化の違い。
日本では、食事を作ってくれた方々や神様に感謝して頂く、という意味を込めて「いただきます」って言うんだよと伝えると、「ふぅーん…」と、納得したようなしないような。マントラを唱えてお清めしてから食べ始める習慣が根付いているのか、祈りを一言に集約している、というのはピンと来ないのかも。
このマントラ、食事がテーブルに運ばれてくる度に唱えるのだと思っていたらそうではないらしく、「食べる行為」に対して唱えているので、毎食、食前に一回だけ唱えれば、いいらしい。
そして、いつも我が家で唱えているのは少し長く・・・
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brahmArpanam brahmahavir ブランマールパナム・ブランマ ハヴィーヒ
brahmAgnau brahmanA hutam ブランマーグニョー・ブランハマナー・フタム
brahmaiva tena gantavyam ブランハイーヴァテー ナッ・ガンタッヴィヤァム
brahma-karma-samAdhinA ブランマ・カルマー・サマー ディナー
aham vaishvAnaro bhUtvA アハム・ヴァイシュヴァー ナロー・ブーットゥヴァー
prAninAm deham Ashritah プラーニ ナァーム・デーハマー シュリタハッ
prAnApAna samA yuktah プラーナー ァパーナ・サマー・ユックタッハ・
pachAmyannam パチャーム ミャンナム
catur vidham チャトゥル ヴィダムッ
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意味はというと・・・
捧げる行為はブラフマン(神)。捧げ物はブラフマン(神)。それはブラフマン(神)である祭火にブラフマン(神)によって捧げられる。まさにブラフマン(神)に到達する。ブラフマン(神)に捧げる行為に専心する者は。
わたし(クリシュナ神)はヴァイシワーナラ(すべての人の中に存在する、食物を消化する火)となって、生命あるものすべての体に宿り プラーナ(吸気、吸う、摂取する作用)、アパーナ(呼気、吐く、排泄する作用)と結合して 四種の食物(噛む物、飲み込む物、吸う物、舐める物)を消化する。 【SSPヴェーダテキスト フード・プレヤーより引用 〜 このマントラはヴェーダではないので、さまざまな発音、音程で唱えられています 】
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日本で外食するとき、目をつむったり食事を見つめながら小声でマントラを唱えたら、周りから浮くし、奇妙な目で見られていないかって色々と気になるんだよねーっという話を彼にしたら、サイババから教わった短いバージョンを唱えたらいいよ、と別のマントラを教えてくれた。
アンナン ブランマ 噛む(アンナム)食べ物は神(ブラフマン神)
ラソー ヴィシュヌ 飲む(ラソー)食べ物は神(ヴィシュヌ神)
ボクター マヘシュワラ 食べる(ボクタ)者も神(マヘ―シュワラ神・シヴァ神の別名)
ブランマール パナム 食べ物を神(ブラフマン)に捧げます(パナム)
annam brahma, --> Food is God(Brahma),( it refers to chewable food)
raso vishnu, --> Food is God (Vishnu), ( it refers to drinkable food)
bhokta maheshwara, --> The enjoyer or eater is God ( Maheshwara or Lord Shiva),
brahma-arappanam, --> I offer it to God.
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ちょとした軽食やデザートを食べるときにはこのマントラで済ませるらしい。 でも、まだ長い...。
もっと簡単なものはあるの?と聞くと、たった一言のマントラもあるそうで、短さでいうと日本式の「いただきます」に匹敵する。
クリシュナールパナム(Krishnarpanam)。 クリシュナ神(維持と繁栄を司るヴィシュヌ神の化身)に捧げる。
もしくは、もう少し丁寧な言い方の、
クリシュナールパナマストゥー(Krishnarpanam Asthu)。 これをクリシュナ神に捧げます。
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・・と言ってから、食べ始める。
要するに、食べ物を口にする前に神様にお捧げしてプラサード(お供え物)として頂くのがよいらしい。
ところで短いのもいいけどやっぱり、長い祈りの効力は違うなぁと思ったエピソードをここで紹介...。
数年前、知人と夕ご飯を作って食べる前に祈りを捧げることになった。
その頃私はまだ難解なマントラを発音できなかったので、目を閉じて言霊の抑揚をじっと聞いていた。
そうして終りの方になると、真っ暗な視界の中、空中からキラキラした光が少しずつ出現してきたかと思うと、光の川がサラサラと流れ始めて食べ物の上に舞い落ちていくのが鮮明に見えた。目をつむっていたから見えた、というのはおかしな表現だけれど、確かに見えた...というより、眩しすぎて目を開けてしまったぐらいの閃光が、食べ物の上に集まってきた。その光景に呆然とし、素人ながらにも、このマントラ、凄いんだなぁ、と思った。
難しそうだからガヤトリーマントラの次にいつか覚えたいなぁと思っていたので、最近はちゃんと唱えられるようになって、ちょっと嬉しい。心をこめてちゃんと発音する時と、他の作業をしながら唱えるのではエネルギーの違いが生じるので、なんだか不思議。
ちなみに、長いほうのマントラ(バガヴァットギーターの抜粋)は、、アマゾンでガヤトリーマントラが収録されているCD に載っていて、インド人女性の澄んだ声がとても素敵です。
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