春風

四月は君の嘘』というアニメ作品が,先日最終話を迎えた.冒頭から涙が止まらない.いままでいくつものアニメ作品を見てきたが,これほど心を揺さぶられた作品はなかった.
ネタバレは避けるが,最終話の演奏シーンは至極の完成度であり,この作品において最も美しいシーンである.すさまじい圧力とダイナミクス,喜怒哀楽の豊かな表現,音楽というものの真の価値が伝わってきた.

率直に言えば,1クール目を見たところでは,多少の伏線はあるにせよ,悪く言えば「ぬるい」作品だと思っていた.ところが,2クールに入って次第にただならぬ雰囲気を漂わせ,物語は加速し,果たして最終話で物語の極致を迎えた.ノイタミナ史上最高傑作であろう.今後,このような作品にはほとんど出会うことができないと思われる.

物事の価値判断は,個人で大きくことなるものであるから,この作品に対する感想も個人により変わるだろう.したがって,この作品が気に入らない人もいることだろう.それはそれでよいのである.「私は」この作品に圧倒され,高く評価する.その価値観を他人に押しつけることはしない,また,他人から価値観を押しつけられることもさせない.