Greatest Cup Never Run

豪州競馬

Racing Victoriaは今年こそはという思いではなかったか。つい先日、オーストラリアの当局が日本の府中と中山を検疫施設と認めたことで、'07年の日本での馬インフルエンザ発生後から禁止されていた直接輸送が再びできるようになった。これで'06年のMelbourne Cupでワンツーフィニッシュを決めた日本馬がやってくれば、今年で150回目を迎えるMelbourne Cupに話題性が増すのではないか。
そして、1861年より始まったMelbourne Cupの過去の勝ち馬から24頭を厳選し、斤量を設定して、それをシミュレートして競わせるという"Greatest Cup Never Run"という取り組みを発表。ついでにオッズも設定。

馬名 勝利年 枠 調教師 騎手 斤量 単勝オッズ
Phar Lap 1930 21 Harry Telford Jim Pike 60kg $5
Carbine 1890 16 Walter Hickenbotham Bob Ramage 59kg $11
Makybe Diva 2003,04,05 14 Lee Freedman Glen Boss 58kg $6.5
Peter Pan 1932,1934 13 Frank McGrath Darby Munro 58kg $11
Galilee 1966 1 Bart Cummings John Miller 57.5kg $13
Poseidon 1906 3 Ike Earnshaw Tom Clayton 57.5kg $26
Rising Fast 1954 11 Ivan Tucker Jack Purtell 57kg $8.5
Rain Lover 1968,69 7 Mick Robins Jim Johnson 56kg $21
Comic Court 1950 24 Jim Cummings Pat Glennon 55.5kg $34
Grand Flaneur 1880 4 Tom Brown Tom Hales 55.5kg $26
Might And Power 1997 12 Jack Denham Jim Cassidy 55kg $17
Archer 1861,62 22 Etienne De Mestre Johnny Cutts 54kg $101
Vintage Crop 1993 10 Dermot Weld Michael Kinane 54kg $67
Delta 1951 9 Maurice McCarten Neville Selwood 53.5kg $41
Malua 1884 17 Isaac Foulsham Alick Robertson 53.5kg $101
Nightmarch 1929 5 Alex McAulay Roy Reed 53.5kg $34
Poitrel 1920 20 Harry Robinson Ken Bracken 53.5kg $26
Saintly 1996 2 Bart Cummings Darren Beadman 53kg $26
The Barb 1866 18 John Tait William Davis 53kg $41
Dalray 1952 19 Clarrie McCarthy Bill Williamson 52.5kg $21
Hall Mark 1933 23 Jack Holt Jack O'Sullivan 52.5kg $51
Light Fingers 1965 15 Bart Cummings Roy Higgins 52.5kg $21
Doriemus 1995 6 Lee Freedman Damien Oliver 52kg $51
Think Big 1974,75 8 Bart Cummings Harry White 52kg $101

トップハンデの Phar Lap が1番人気。"Wonder Horse"、"Red Terror"などと呼ばれ、通算成績は51戦37勝。Melbourne Cupは1930年に約62.5kgを背負って勝利。'29年は3着、'31年は約68kgを背負って8着とMelbourne Cupに限ると3戦1勝。しかし、4歳時には14連勝し、5歳時もMelbourne Cupの敗戦まで8連勝と、成績は驚異的なもので、さらにはアメリカへ遠征し、Agua Caliente Handicapを129ポンド（約58.5kg）を背負いながらトラックレコードで勝利。アメリカでも通用することを証明したが、しかしそれから16日後に急死。後の調査で砒素が検出された。
オーストラリアで頂点を極め、その力量が世界レベルにあることを証明したアメリカでの勝利の直後に非業の死を遂げるという劇的な存在で、今なお Phar Lap 前後の名馬より一段上の格にあるのだと思わせる。ちなみに、 Phar Lap はアメリカでは1戦のみだが、Blood-Horseによる"List of the Top 100 U.S. Racehorses of the 20th Century"で22位になっている。 Cigar が18位、 Seabiscuit が25位、 Sunday Silence が31位。どれほどの衝撃だったのか。
2番人気 Makybe Diva 。Melbourne Cup (G1)を3連覇した名牝がMelbourne Cup史上の24傑に選ばれる。しかも牝馬で58kgにも関わらず2番人気で、つくづく、よくこれほどの名馬が日本に来たと思う。
3番人気 Rising Fast は通算68戦24勝（66戦とも）。1954年にCaulfield Cup、Cox Plate、そしてMelbourne Cupを勝利し、唯一のこの3レースの同一年制覇と。Melbourne Cupでの斤量は約59.4kgだった。
斤量2番目の Carbine は約65.5kgを背負っての勝利。現在も残る史上最高斤量。しかもレース・レコードでの勝利。これほどの斤量になるのも頷けるくらいに、AJC Plateを3連覇、Sydney Cup連覇と勝ちまくり、通算成績は43戦33勝。
Carbine と同じ4番人気の Peter Pan はMelbourne Cup 2勝を含む通算38戦23勝（22-1/2勝とも）。1933年のMelbourne Cupはウィルス性疾患により、休養していたため出走していないと。 Phar Lap 直後の名馬で、 Phar Lap より上と評価する人もいたという。
Melbourne Cup 12勝を誇るBart Cummings師は4頭も選出。4月には体調を崩して入院していたが復帰。今年は現実と仮想のMelbourne Cupで2冠制覇となるか。
現在、The Ageの記事The greatest Cup never runでは"Who would win a race between this field of 24 legends of the Melbourne Cup?"と投票を受け付けていて、 Phar Lap がトップで、 Makybe Diva が喰らい付いている。さて、シミュレートしたらこの2強の決着となるのか。結果はMelbourne Cupが行われる11/2に発表される。