2012-12-19
なぜアトラシアンを好きなのか?その3 #augj
このエントリは Atlassian Advent Calendar 2012 #augj の 18 日目のエントリです。 前日は @yut148 さんの「Confluence4.3でGoogleカレンダーを組み込む #augj」です。明日は、、、書きたい方がいらっしゃったら立候補してください!いなければまた私かな?
前々回、「なぜアトラシアンを好きなのか?」という記事をエントリしました。「自分たちの製品やサービスをきっちり自分たちで使っているという点」が好きだと書きました。
そして前回、「なぜアトラシアンを好きなのか?その2」という記事をエントリしました。「オープンな文化とドキュメント化の文化、そしてそれをオンラインで実現する仕組みがあるという点」が好きだと書きました。
アトラシアンを好きな理由を (たぶん) もう一つだけ書かせてください。簡単に。
それは、アジャイルな開発、アジャイルな経営がエキサイティングであるということです。
アジャイルな開発、アジャイルな経営
アトラシアン製品のリリースサイクルはとても早いです。製品によりますが、3ヶ月程度で新しいバージョンがリリースされます。新しい機能を使ったり、ユーザーに紹介できるのはとても楽しいです。そのスピードにすっかり慣れてしまったので、たとえば1年間、ずっと製品の機能が変わらないままだったら、飽きてしまうかもなぁ。(なお、少し古いですが、リリースサイクルの詳細は Developers Summit 2010 Preso でご覧頂けます。)
そして機能が追加される上で重要なことは、それが新しいだけでなく、製品(ツール)が便利になるという点です。アトラシアンではバグ報告や機能リクエストなどを受け付ける課題管理システムを公開しており、またそれ以外にもユーザーの要望をくみ取る仕組みが充実しているので、ベンダーの自分勝手な機能追加がほとんどないのです。(顧客からのフィードバックについては「アジャイルとイノベーション」アジャイル編 – Atlassian における顧客フィードバックが参考になるかも)
便利な機能を一度使い始めて、2,3日経つと、もう以前のバージョンには戻りたくない気持ちになっていることに気付きます。
経営についても、とても動きが速いです。たとえば、DVCS (分散バージョン管理システム) に対する取り組み。DVCS が今後、ソフトウェア開発において超重要になると考え、DVCS コードホスティング Bitbucket を買収して自社製品化。続いてエンタープライズ向けに特化した Git ツールが必要と考え、Stash というGitリポジトリ管理ツールを開発。これは Bitbucket を作り直すのではなく、エンタープライズ向けのスケーラビリティやセキュリティなどを考え、一から開発した製品。
走りだすと速いです。エース級メンバーを開発チームに集め、製品企画段階からローンチまであっという間でした。
今後もそういったアジャイルな開発、アジャイルな経営に貢献し、仕事をできることを思うととてもエキサイティングです!
2012-12-13
なぜアトラシアンを好きなのか?その2 #augj
このエントリは Atlassian Advent Calendar 2012 #augj の 13 日目のエントリです。 前日は @yusuke さんの「JIRA 5.2のいいところ その2 - Universal Plugin Manager #augj」です。明日は、、、書きたい方がいらっしゃったら立候補してください!いなければまた私かな?
前回、「なぜアトラシアンを好きなのか?」という記事をエントリしました。「自分たちの製品やサービスをきっちり自分たちで使っているという点」が好きだと書きました。
アトラシアンを好きな理由はまだたくさんあるのですが、今回は、もう一つ別の好きな理由を書きたいと思います。
それは、オープンな文化とドキュメント化の文化、そしてそれをオンラインで実現する仕組みがあることです。
オープンな文化
アトラシアンでは、給与や人事評価などのデリケートな情報を除き、全ての情報が基本的にオープンで、全社員がアクセスできます。
他の部署のメンバーに今取り組んでいるプロジェクトや顧客情報を話した時に、古い日本の会社では「なんであの部署に話したんだ!」とか上司から怒られたりすることも珍しくないでしょう。
アトラシアンではそんな心配はありません。私は日本企業で働いた経験もあるので、社内なのに情報を一部のグループに限定して議論されたりする現場も見てきました。同じ社内なのにそんなことを気にしながら仕事をすすめるのがとても嫌でしたし、効率が悪いと思っていました。
アトラシアンにおいては、社内はもちろんのこと、多くのことを社外の顧客とも共有しようとする文化があります。製品の課題管理システムを公開しているのはその象徴的なものの一つです。
ドキュメント化の文化
情報をオープンにし共有する文化があっても、オフィスや働いている場所が離れているとなかなかコミュニケーションが難しいかもしれません。でもアトラシアンではそれらをドキュメント化する文化があるので、検索することができるのです。ドキュメント化というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、全てがきちっとした文書であるわけではなく、走り書き程度のアイデアなどでも共有していきます。そのアイデアを面白いと思う人がいればコメントを残したり、ページに情報を書き加えたりしていきます。
ドキュメント化されていると、検索して見つけることができます。たとえば私がJIRAの今後のマーケティングプランについて知りたいと思ったら、社内システムを検索すれば見つかります。従来であれば、まず担当者を調べて、その人にメールして「マーケティングプラン」を送ってくださいと頼んだりすることでしょう。メールを送る方も受け取る方も余計な時間がかかります。担当者がもし違ったら、そのメールを転送されて、また余計な時間がかかっていくことでしょう。
ドキュメント化の例として、社内のページをひとつあげます。下記のスクリーンショットは私が作成した日本のビジネスのポータルページです。社内で日本に関する話がでてきたときは、検索してこのページを見に来る人が多いでしょう。日本マーケットに関する主な情報へのリンクをここから張ってあるので、いちいち私に問い合わせなくても情報をとれるのです。
オンラインで実現する仕組み
アトラシアンでは、オープンな文化とドキュメント化の文化をオンラインで実現するツールとして自社のコラボレーションツール「Confluence」を使用しています。これはリッチなコンテンツを簡単に作成できますし、検索も簡単です。そして、他のユーザーとコミュニケーションをとる仕組みもよくできています。
オンラインで情報を共有したりコミュニケーションがとれるので、私のようにメインオフィスと離れて仕事をしているものにとっては特にありがたいです。
先のマーケティングプランの例ですが、メールでそれを送ってもらったとしても、そのあとにその内容が更新された場合、それを知るすべがありません。たまたまオフィスの廊下で会って話して、内容が変更になったことを知ったりするぐらいでしょうか。アトラシアンでは、もちろんマーケティングプランなどもConfluence上に書きますので、それを自分で検索して見つけ、そのページを「ウォッチ」しておくことによりページに更新があったときには通知を受け取れます。
オンライン・コラボレーションを活用したワークスタイル
この文化と仕組みがとても心地良いし、効率も良いし、素晴らしいものだと思います。なので、これに慣れてくると、これがないと仕事がやりづらい(効率が悪い)と感じるようになります。幸い、Confluenceはウェブアプリケーションなので、インターネットにさえつながる環境であれば、快適に仕事ができます。
時々、コラボレーションツールがあっても書き込む人が少ないから、浸透しないという声をききますが、私からすると信じられないし、とてももったいないと思います。情報を書き込むことでメリットを一番うけるのは自分です。情報を整理できるし、記録できます。あとで検索すれば出てきます。他のチームから質問を受けてもページを見てもらうだけですみます。そもそもそういった質問が減ります。日頃から情報を発信していると、ステークホルダーからの理解も得られやすいので、何かを行おうとするときにスムーズに進められます。
また、他のメンバーからアイデアをもらえます。オンラインでブレイン・ストーミングができます。社内でそのトピックに詳しい人を紹介してもらえることも多いです。コラボレーションツールは情報を一方的に発信する掲示板ではなくて、双方向のコミュニケーションをとる場です。効率良く、イノベーティブな仕事を行なっていく上で文化に加え、コラボレーションを実現するツールも必要でしょう。
すいません、書いているうちに最後はConfluenceの宣伝みたいになってしまいました(笑)でも本当に良いツールですよ。
2012-12-10
なぜアトラシアンを好きなのか? #augj
このエントリは Atlassian Advent Calendar 2012 #augj の 10 日目のエントリです。 前日は @bohnen さんの「Bonfire for JIRAの紹介」です。明日は、、、また私かな?
さて、アドベントカレンダーの順番がまわってきました。立候補者がいなくなったところで書こうと思っていましたが、予想より早くまわってきました (笑)。
濃いものを書こうとすると続かなくなってしまいそうなので、カジュアルな感じの内容で、まるで日記のように書いていこうかと思います。先は長いので。
タイトルにあるように「なぜアトラシアンを好きなのか?」について書いてみたいと思います。そう、私はアトラシアンが好きです。好きな会社で働けるので幸せだと思います。嫌いな会社で働くのってストレスがたまりますよね?
好きな理由を考えてみるといくつかあるのですが、その一つは自分たちの製品やサービスをきっちり自分たちで使っているという点です。いわゆるドッグフーディングというやつです。自分たちが自社製品の一番のユーザーなのです。
ドッグフーディングをしていていいなと思う点
- 品質が上がる
まず、品質面で。社員がみんなで実際に使って不具合を報告したり、改善点を提案していけるので、いい製品が仕上がります。たとえば社内の Confluence でバグなどを見つけたら、フィードバックをすぐにできるようにボタンがついています。
以下は個人としていいなと思う点です。
- お客さんに対して正直でいられる。
営業マンがものすごくすすめてくる製品を、実はその会社や営業マン本人は使っていない、なんてことがありますよね。そんなにいいものならなんで自分たちは使っていないんだとツッコみたくなってしまいます。
- お客さんにリリースするときにはすでにそのバージョンに詳しくなっているので説明しやすい。
リリース前のベータバージョン、マイルストーン版から使用しており、ユーザーに実際にリリースされる頃にはすでに1,2ヶ月使い込んだ状態だったりするので、新バージョンのリリースのときにあらためて勉強しなきゃいけないというようなことがない。
- 新しい機能をいち早く使える。
私も自社製品の一人のユーザーでありファンなので、他の一般ユーザーが使えない新機能などを先に使えるのは単純にうれしいです。
なお、アトラシアン製品の多くはソフトウェアデベロッパー向けなのですが、私自身はデベロッパーではないので、全てのツールを使用しているわけではないのがちょっと残念です。使っているのはJIRA、Confluence、Bonfire、Team Calendars、HipChatあたりです。Confluence のタスクリストがリリースされてからそれで個人のタスク管理をするようになった (ラップトップからでも iPhone からでも簡単に使えるので便利) ので、それまで使っていたGreenHopperは最近はあまり使っていません。
それぞれの製品をどう使っているかはまた機会があったら書きたいと思います。
なお、製品やサービスにはいろいろな種類があるのでどんなものでもドッグフーディングができるとは限りません。アトラシアンはソフトウェア開発チームに必要なツールを作っているので、自分たちがソフトウェアを開発する上で当然使えるのです。弊社は今、全社員の半数近くがデベロッパーなのでドッグフーディングにはとても都合がいいです。
また、ドッグフーディングについては、少し古いですが、アトラシアンブログで「ドッグフーディングと頻繁な内部リリース」という記事を公開しているので、ご興味のある方はご覧ください。
2012-10-11
「一人ジャパン」をどのように運営しているのか?
私はAtlassianというオーストラリアのソフトウェア企業の社員として、日本で働いています。Atlassianはソフトウェア開発ツールやコラボレーションソフトウェアを開発していて、世界百数十カ国に20,000社以上の顧客がいます。開発、サポートも世界の複数拠点で行なっているグローバル企業です。
日本にも数多くのユーザーがおり、その中には楽天、DeNA、GREE、ドワンゴ、Yahoo! Japan、NHN Japan、サイボウズ、任天堂、キャノン、デンソー(敬称略)といったエクセレントカンパニーや勢いのある企業も数多く含まれています。そしてデベロッパー、エンジニアというエンドユーザー数にすると、いま挙げた企業を合わせただけでも数万人の単位になります。
時々「Atlassianさんは日本に社員は何人いるんですか?」という質問をされます。日本には私一人しかいないので「一人です」と答えます。そうすると驚かれたり、「大変ですね」と言われます。
日本でビジネスを行う上では、いろいろな機能が日本ローカルで必要になってきます。馴染みのある方は外国企業の日本法人(いわゆるKK)にある機能を想像してもらうと分かりやすいと思います。例えば以下のような機能です。
- セールス(パートナーセールス、ハイタッチなど)
- プリセールスエンジニア
- マーケティング(エバンジェリスト、ウェブサイト、ソーシャルメディア、ブログ、イベント、PRなど)
- アフターサポート
- マネジメント
- 製品ローカライズ
- カスタマーサービス
ですので先に説明したぐらいの規模のビジネスを行っていると、5人や10人のスタッフがすぐに必要になってきます。一人で「大変ですね」と言われるのも無理はありません。
しかし、実際にはそんなに大変ではありません。
なぜそんなに大変ではないのでしょうか。
それは「一人ジャパン」は実際には一人ではないからです。高度に発達した情報共有、効率化の文化とツール、イノベーション、そしてビジネスエコシステムなどにより、日本という「現地では」一人の体制を実現できているのです。日本には一人しかいません*1が、実際に日本ビジネスに関わっているのは私一人では決してありません。オーストラリア本社やサンフランシスコオフィス、アムステルダムオフィス、そしてその他のオフィスにいる社員のリソースを使って成り立っているのです。*2
そのような体制はなかなか簡単には実現できないかもしれません。ですが私が思うに、少なくとも必要なことは、効率的に仕事ができる仕組みをもつことです。そして効率的に仕事をするために仕組みを改善していこうとする文化もまた大事です。
これからその内容を説明していきたいと思います。同じような立場の方の参考になれば幸いです。
ウェブサイトの運営
ウェブサイトはAtlassianにとって非常に重要なツールですのでまず最初に説明したいと思います。
年々パートナーセールスの比率が増しているとはいえ、Atlassian のグローバル市場においてはオンラインで行う直接販売が大多数をしめています。魅力的な製品を、世界中のどのチームにでも手の届く価格で提供するために、設立当初から営業コストを省いた結果、オンラインマーケティング、オンラインセールスが中心になっています。
「インバウンド・マーケティング」や「クチコミ」と言うと分かりやすいかもしれませんが、ともかくAtlassianにとってウェブサイトやブログ、その他のオンラインリソースはとても重要なものです。(日本市場においてはインバウンド・マーケティングでリーチできる範囲が、海外に比べいくらか限られているとはいえ、ウェブサイトなどはやはり重要なポイントです。)
Magnolia
Atlassian のウェブサイトは、オープンソースCMSのMagnoliaで構築されています。Magnolia を元にして弊社のデベロッパーが、多言語に対応できるウェブサイトを開発しました。
そのウェブサイトでは、コンテンツの大元はまず英語で作成します。そうすると同時に同じレイアウト、フォーマットで日本語やスペイン語、ドイツ語、フランス語などのローカルサイトににコンテンツが追加されます。そのコンテンツを翻訳することにより、オリジナルコンテンツと同じレイアウト、フォーマットで簡単に公開できるようになっています。
プロダクトマーケティングチームが新しいコンテンツ(英語)を作成すると、自動的に私たちのようなローカルマーケット担当者に通知が送信されてきます。そこで日本語サイトを開いて、翻訳して保存し、アクティベーションをかけます。ここまでは私の方で行えます。このあと念のためウェブサイトチームがこの内容を確認し、1日に数回、本番サイトが更新されます。
従来であれば、コンテンツを翻訳して、それをウェブサイト担当者に送ってアップロードしてもらったりしていたでしょう。日本語のコンテンツだと外国人は改行位置などが分からないので、修正が何度か行われたりして実際にコンテンツが公開されるまでに時間がかかるでしょう。私の場合はそれを自分の手元で直接できますので、時間をとても短縮できます。だから製品の新バージョンリリースなどの時も、英語版サイトとほとんどタイムラグがなく、日本語サイトをアップできます。
また、特に弊社の製品はアジャイル開発により、リリースのサイクルが早い(3ヶ月程度のものが多い)ので、従来のような仕組みであれば古くなってしまったコンテンツがあちこちに見られるといった悲惨な状況になっていたことでしょう。
なお、このウェブサイトの仕組みについては先日、弊社担当者がMagnolia Conferenceで発表をしていますので、ご興味のある方はご覧になってみてください。
優先順位付け
簡単に日本語サイトが作成できるとはいえ、10種類以上の製品があるので全ページを翻訳している時間はありません。製品やコンテンツに優先順位をつけて日本語化を行なっています。製品の優先順位付けは売上を基準にしたり、戦略を考慮に入れる必要もあります。基本的に、コンテンツは購入プロセスに必要なページ(トップページ、価格ページ、トライアル、など)から優先して翻訳しています。
なお、ウェブサイトの翻訳は今のところほとんど全て自分でやっています。特にウェブサイトのようなマーケティングな内容は、オリジナルにこめられたメッセージを、日本語にしても伝える必要があり、社員以外が行うのはかなり難しいと思っています。
A/Bテスト
A/Bテストを行う場合もあります。製品Aはツアーページを日本語化して、製品Bはデモビデオを日本語化して、どちらがアクセス数が増えたかとかコンバージョン率が高くなったかなど比較したりします。その結果によって、翻訳の優先順位を変えていったりします。(まあ、日本はウェブサイトから購入する直販比率が低いですし、購入までのリードタイムも長くプロセスも複雑なのでこういったA/Bテストの結果はなかなか分かりづらいのですが。)
臨機応変に
先日「あなたはオフィスでたくさんの時間をムダにしています。」というインフォグラフィックを公開しましたが、これもMagnolia上で翻訳、作成しています。実はこのインフォグラフィックは当初は日本語化する予定ではありませんでした。企画段階で担当者に相談したところ、テキストではなくグラフィックで作成されるから翻訳するにもデザイン作業が必要になるし、使用する統計情報もアメリカのものが多いから、そこまで時間をかけて日本語化する価値はないだろうという結論だったのでした。
ところが公開されてみると、日本人が見ても十分おもしろいものだし、当初の予定とは違いMagnolia上にテキストで展開されていたので、慌てて1,2時間でザッと翻訳して急遽、日本語版を公開したのでした。すると予想通りすぐに2,000以上のページビューを集め、新バージョンのマーケティングに貢献する結果となり、即座に日本語化できるシステムで良かったなと思いました。
つづく
2012-07-06
「モダンミーティング」に必要な7つの原則
組織でビジネスをする上でミーティングは必要不可欠なことです。ですがやり方によってはミーティングは時間をムダにするものになります。効率良くミーティングを行う方法はあちこちで提案されていますが、私がいつも参考にしている本をご紹介したいと思います。
「Read This Before Our Next Meeting」(Al Pittampalli 著、2011年8月出版) です。もし邦題をつけるなら「これを読まずにミーティングに参加するのはやめなさい」といったところでしょうか。
特に日本のビジネスパーソンに 
何も決めていない状態でミーティングを行うことは時間のムダです。決められない日本人は、何かを決めるために多くの人をミーティングに参加させたはずが、結局決められずに参加者の貴重な時間を奪っています。この本は日本向けに書かれたものではないのですが、日本人ができていない多くのことを主張しているように感じます。
「Read This Before Our Next Meeting」概要
本書からポイントを抜粋して抄訳していきます。
- ミーティングが多すぎる。そしてムダなミーティングが多すぎることに私たちは気づくべきだ。
- ビジネスが複雑な問題を抱える中で、調整や一致を必要としてミーティングは存在した。ミーティングとは、複雑なプロジェクトに対して知的な意思決定を行い、チームが効率的に動けるようにすること。
- 従来のミーティングは「妥協の文化」を生み、「切迫感」を失わせている。
- 会話、グループワークセッション、ブレインストーミングはミーティングと呼ぶべきではない
- では「モダンミーティング」とは何か?それはたった一つの理由のために存在する、聖なるツールである。その理由とは「意思決定の支持を得ること」である。
「モダンミーティング7つの原則」
著者の Al Pittampalli 氏は「従来のミーティング」に対し「モダンミーティング」を次のように説明しています。
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「モダンミーティング」は、
- すでに決めたことの支持を得るために行う
- 速く進め、時間通りに終わる
- 参加者数を限定する
- 準備不足は許されない
- 明確なアクションプランができあがる
- 情報提供はしない。メモを読んでおくことは必須である
- ブレーンストーミングの文化とセットで機能する
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以下、各原則について説明を加えていきます。
1.「モダンミーティング」はすでに決めたことの支持を得るために行う
- 結局のところ、意思決定とは個人によって行われるもの
- 「予備的な意思決定」をせずにミーティングを開いてはならない
- 支持すべき意思決定があって「モダンミーティング」は開かれる
- 議論を投げかけるものではない
- 「予備的な意思決定」に必要な情報があれば、個別に聞くべき
- 「モダンミーティング」にとって「衝突」と「調整」は重要である
- 「衝突」:衝突する意見は望ましいもの。予備決定をしたあとに、異なる意見や真剣な反対があったらそれらをテーブルに並べて検討する。もし衝突したくないなら、「モダンミーティング」なんて開かず、そのまま決めて、メモを送ってしまうのがいいだろう。
- 「調整」:意思決定により導かれたアクションは時に適切な調整が必要である。計画を上手くすすめるために賢い人に参加してもらうのがいいだろう。
2.「モダンミーティング」は速く進め、時間通りに終わる
- 従来のミーティングは時間がなくなると延長したり、もう一度ミーティングを開いたりしてしまう
- 終わりの時間を決めることにより、それまでに意思決定が行われる
- 時間があるほど余計な議論が始まり、同じ話を繰り返す
3.「モダンミーティング」は参加者数を限定する
- 従来のミーティングは参加者が多すぎる
- 満場一致のために必要な合意数は、2人なら1つだが、4人なら6つ、10人なら45もの数になる
- ミーティング参加者は次のことを自身に問うべき
- ミーティング後に自分は機能できるか?
- 事前に議論された意思決定を与えられたら、事前に自分の意見が言えるか?
- 話に参加しなくてもミーティングに出席しているだけで何らかの価値をもたらせるか?
- 象徴的な存在として、あるいは権力を誇示するためだけに参加していないか?
- もし強い意見がなかったり、結果に興味がないなら、参加を要請されても断るべき
4.「モダンミーティング」では準備不足は許されない
- 従来のミーティングはコミュニケーションツールである
- 「モダンミーティング」のリーダーはアジェンダを作成し、背景となる資料を提供する
- アジェンダを用意する段階で、目的、参加者、時間などを考えることになる
- アジェンダは問題点を明確に提示し、選択肢を掲げ、意思決定を表明すべき
- アジェンダは参加者に準備を求める
- 従来のミーティングでは、その場で思いついたコメントが賢く聞こえるかもしれないが、モダンミーティングにおいてはただの思いつき
- 準備不足の参加者がいたらミーティングを中止するか、その参加者抜きで行う
- エグゼクティブが急に手ぶらで入ってきて、まるで王様のように報告を求めるかもしれないが、それは最悪
5.「モダンミーティング」では明確なアクションプランができあがる
- 「モダンミーティング」において詳細な議事録は不要
- 知る必要があるのは、意思決定とアクションプランだけ
- 参加を要請されたのにミーティング後に担当するアクションプランがなかった場合、次の参加を断ってもよい
- アクションプランには少なくとも以下を含むこと
- どんなアクションにコミットするのか?
- 各アクションの責任者は?
- アクションをいつまでに完了すべきか?
- ミーティング後、参加者が同意したアクションをきちんと実行しているか、リーダーがチェックする
6.「モダンミーティング」は情報提供はしない。メモを読んでおくことは必須である
- メッセージが伝わっているか確認する方法として、従来のミーティングは開かれていた
- 「モダンミーティング」は、メッセージを読まない組織では成り立たない
- 考えはまとめて文書にし、読むに値するものにする
7.「モダンミーティング」はブレーンストーミングの文化とセットで機能する
- ブレインストーミングは不合理なように聞こえるが、「モダンミーティング」の成功には欠かせない
- 結局のところ「モダンミーティング」は意思決定にフォーカスするもの
- ブレインストーミングの基本原則(一部だけ抜粋)
- そのアイデアに情熱的な人が参加する
- 気前よくほめる。批判や評価は禁止
- アイデアの数を数える
- タイマーを使う
- 楽しむ
あなたが決めるべき
いかがでしたでしょうか?私なりには「モダンミーティングとは、必要な情報はあらかじめ調べ、会話をし、そして考えぬいた自分の意思決定について、関係者からの支持を得て、その関係者のアクションプランを明確にしコミットしてもらうもの」と解釈しています。
そう、あなたが決めないといけないのです。あなたが決めるべきなのです。大した知識もなく、下調べもしていない会議参加者によって多数決で決めたり、その後何もしない上長による「鶴の一声」で決めるなんて馬鹿なことをするのはもうやめましょう。
本書に書かれていることを実践するのは簡単ではないと思いますが、一流の組織をつくるために取り組む価値があると思います。
このやり方を実践する上で質問があるかと思いますが、本書にはFAQもあります。日本語版は今のところありませんので、興味がある方はぜひ原書を読んでみてください。80ページと薄い本(私は電子書籍で読みましたが)なのでそれほど時間はかからないと思います。日本企業の生産性が向上することを願っています。










