2009-12-30 水曜日(曇)@東京
■[読書]今年の読了本2009
今年の読了本を回顧。
ここ数年、SF者という呼称に黄信号が点滅していたけど、不良外文読みに寄りつつあるなぁ。
今年のSFは、
『ペルディード・ストリート・ステーション』*1かなぁ。ガジェットてんこ盛りの箱庭世界が楽しすぎる。ミエヴィルは短篇集も希望。
今年は『アッチェレランド』*2『レインボーズ・エンド』*3と意外に大作が多かったか。現在、読んでおくべきSFでしょう。
『時間封鎖』の待望の続編『無限記憶』*4も今年。これだけで判断できないけど、ちょっと期待はずれ。
『最後の星戦』*5でいちおうシリーズは完結。外伝も来年に期待。
予想外のところからやってきた台湾のクィアSF短篇集『紀大偉作品集『膜』』*7がアタリ。特に表題作はよかったなぁ。
『フラグメント 超進化生物の島』*8はオススメかと問われると困るけど、いい意味でも悪い意味でも印象深い作品(笑)
ファンタジーは、
待ちに待った『アメリカン・ゴッズ』*10、短篇集『壊れやすいもの』*11とゲイマンが続いたけど、物語の素晴らしさ、パワーを描いた『アーサー王ここに眠る』*12がダントツかなぁ。
あまり期待してなかった『ゾティーク幻妖怪異譚』*13が意外にアタリ。
続編も収めた『完全版 最後のユニコーン』*14が出たのがニュース。
ミステリは、予想外に印象深い作品が多かったなぁ。
まずは、まさに求めていた作品『時限捜査』*15!(ミステリ文庫で出たからミステリなの!)
トリプルクラウンの『ユダヤ警官同盟』*16も今年。ユダヤ教を知らずして両手を上げて褒めるのが難しい作品かもしれないけど、個人的には改変SFとして楽しめました。
これまたミステリと呼べるかどうか『麗しのオルタンス』*17も楽しめた作品。そんなに尻が好きか(笑)続編希望。
『ずっとお城に暮らしてる』と似たテイストの『ソフィー』*18は傑作。再読してもいいかな。
ワイルドの『検死審問ふたたび』*19はやはり楽しい。
世界認識そのものがミステリになっている『シルフ警視と宇宙の謎』*20
ポップでキッチュさがたまらなく楽しい『バッド・モンキーズ』*21。好きな作品だけど、陰謀論なら〈イルミナティ〉の方がなぁ……
古本で読んだ『法廷外裁判』*22と『おかしなことを聞くね』*23も楽しかった。
ホラーは、刊行数も少なかったかな?
オカルト探偵もの続いてきた中、『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』*24は一番面白かったかなぁ。
異色・奇想系は、
念願だった『イースターエッグに降る雪』*26を入手。やっとマジック・リアリズムの意味が自分の中で組み立てられました。
『洋梨型の男』*27と『ババ・ホ・テップ』*28は今年の必読短篇集。
『天来の美酒/消えちゃった』*29の光文社古典新訳文庫はやはり注目を怠れない。
『葬儀よ、永久につづけ』*30と『酒国―特捜検事丁鈎児の冒険―』*31も変な小説好きとしてはオススメ。
その他海外文学は、
『やんごとなき読者』*32をベストに上げるかなぁ。不敬(笑)ながら、本当にかわいらしい物語。読書人は必読。
白水社EX LIBRISが創刊。今もコンスタントに出続けている。1冊目の『ジーザス・サン』*33が一番印象的。ダメ好きにはたまらない(笑)。他の作品も趣味でないのも多いんだけど、よくできた物語ばかりなので、来年も注目。
同じく叢書の〈東欧の想像力〉も順調に刊行。ある意味『やんごとなき読者』と対極にあるような『あまりにも騒がしい孤独』*34が強烈。
短篇集好きとしては『いずれは死ぬ身』*35『モーフィー時計の午前零時』*36『昨日のように遠い日』*37『燃える天使』*38とホクホク。1冊選ぶなら『昨日のように遠い日』かな。
『ぼくはお城の王様だ』*39が嫌な話でオススメ。『悪魔物語』*40所収の「運命の卵」は破滅SF。
今年も、例年よりも日本人作家を読んだ年。
内訳は
『監禁淫楽』*44と『べろべろの、母ちゃんは……』*45は人格疑われるけど(笑)オススメ。
何を思ったのか、手を出し始めたのがパラノーマル・ロマンス。
『黒き狩人と夜空の瞳』*47は設定は悪くなく、ストーリーもよくできてる。
今のところ1勝1敗。3アウト制です。来年も行きます〜(笑)
ノンフィクションでは、
『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』*48がホントにオススメ。
ボッグマン好きには『甦る古代人―デンマークの湿地埋葬』*49。
そして、まさかの『トップ10』*53!
他には、『ロング・ハロウィーン』*54『ダークナイト・リターンズ』*55『バットマン:イヤーワン/イヤーツー』*56とバットマンづくし。『Dark Victory』も出してよ。
ヴィレッジブックスが参入して、コンスタントに出してくれてるんだけど、来年も期待していいのかなぁ。映画に合わせて『アイアンマン』ものとか期待。
個人的には『宇宙船サジタリウス』の原作を手に入れたのが嬉しい。
さて、今年のガッカリ賞は、
本の感想を書く時は、なるべく貶すようなことは書かないようにしてるんだけど、これだけはゴミですわ。
ガッカリというか、内容を信じると害になる。
で、今年のベスト読書賞は、
変な小説好き及び外文読みで未読の方には是非オススメ。
物語が文字通り解体され、意味を成さなくなっていく様は、希有な読書体験。
これで立派なロマニスト(笑)
相変わらず新刊比率が高いなぁ。
毎年言ってるけど、新刊・古本が半々なのが理想的。
ファンタジーは絞ったんだけど、ミステリはけっこう変な話にまたがるんだよなぁ。
『薔薇の名前』『百年の孤独』『ロリータ』と毎年の宿題はまた持ち越し。
さて、来年は何が出ることやら。
■[展覧会]医学と芸術
森美術館で開催中の「医学と芸術」展に行ってきた。
森美術館はターゲットを絞って、ツボを押さえた企画が多いので好き。比較的空いてるし。
「医学と芸術、科学と美を総合的なヴィジョンの中で捉え、人間の生と死の意味をもう一度問い直す」というコンセプトで、解剖図や器具、それをテーマにした絵画などの展示。
目玉は、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチなのかな。
ちょうど先日読んだばかりのジョン・ハンター関係が見られたのが収穫。
18世紀以前の胎児図はへその緒で目が隠れてるんだけど、これは無垢を表してるのかしら? 首に引っ掛かって死んじゃいそうだけど。
「工場の工程にたとえた人体の生理的活動」のカラーリトグラフが超カッコ良くて、ポスターあったら買おうかと思ったのに、図録でも扱いが小さい。
象牙製の解剖模型は1個欲しいな。
美術品よりも、一昔前の手術道具や義手なんかの本物の展示の方が個人的には面白かった。眼科手術用具とか膀胱結石切除セットは、見てるだけでむずむずしてくる。100年前の電気療法機が凄い。電線張り巡らせた鳥かごという感じで、クララもあそこに入れられたらすぐに歩けるようなったよ(笑)痛風の治療にも使われていたらしく、1世紀前は精神科の範疇だったの?
スーパーヒーローたちの老後を描いたジル・バルビエの《老人ホーム》が収穫。ミスター・ファンタスティックもすっかり緩んじゃって。車椅子に乗ってるのは、ハルクよりもフラッシュの方がよかったと思うんだけどなぁ。
パトリシア・ピッチニーニも展示されていたんだけど、個人的にはこの辺を芸術と呼んじゃうのは、どうも抵抗がある。でかいフィギュアジャン(笑)作品としては好きなんだけど。現代芸術は提示した者勝ちな感じで好きになれない。
全体的に楽しめたので、ちょっと毛色が変わった美術展が見たいのならオススメ。
医学と芸術:生命と愛の未来を探る―ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト
- 作者: 森美術館
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2009/12
- メディア: 大型本
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*1:ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)
*3:レインボーズ・エンド上 (創元SF文庫)、レインボーズ・エンド下 (創元SF文庫)
*6:彷徨える艦隊〈4〉巡航戦艦ヴァリアント (ハヤカワ文庫SF)
*7:台湾セクシュアル・マイノリティ文学[2]中・短篇集――紀大偉作品集『膜』【ほか全四篇】 (台湾セクシュアル・マイノリティ文学 2)
*9:時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)
*15:時限捜査上 (創元推理文庫)、時限捜査下 (創元推理文庫)
*16:ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)、ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)
*20:シルフ警視と宇宙の謎 (ハヤカワepiブック・プラネット)
*22:法廷外裁判 (1978年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
*23:ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね (ハヤカワ・ミステリ文庫)
*24:心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 (創元推理文庫)
*25:インキュバス (ハヤカワ文庫 NV―モダンホラー・セレクション (448))
*28:現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
*51:WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)
*53:トップ10 (AMERICA’S BEST COMICS)、トップ10 (AMERICA’S BEST COMICS) #2
*54:バットマン : ロング・ハロウィーン ♯1、バットマン : ロング・ハロウィーン ♯2








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