Steve Fever and Other Stories

スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

『スティーヴ・フィーヴァー』山岸真・編〈ハヤカワSF1776〉
SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー第3弾はポストヒューマンSF傑作選!

少年は、14歳の誕生日のあと間もなく、農場を出て街をめざす自分を、毎夜夢に見るようになった。だが、彼の行動はある強固な意志によって制御されていた……。現代SFのトップランナー、イーガンによる本邦初訳の表題作。スタージョン記念賞を受賞したマルセクの究極のVRSF「ウェディング・アルバム」ほか、ブリン、マクドナルド、ソウヤー、ストロスら現代SFの中心作家が、変容した人類の姿を措いた全12篇を収録

比較的最近の作品が多く、ほとんど既読のはずなんだけど、ほとんど忘れてる。
これも、ポストヒューマンのひとつの形!?(違う)


 収録作品



・「グリーンのクリーム」
人口の3分の2が、定期的に遠隔操作のロボットとして暮らすようになった世界。
人間の肉体時に、海岸のお土産屋を営む夫婦。
そこが思い出の地だという夫婦のロボットがやって来て……
話は普通なんだけど、ジェイムスン教授がバスにいっぱい詰まってるヴィジュアルがなんかたまらない(笑)


・「キャサリン・ホイール(タルシスの聖女)」
火星最後の機関車の走行。
その機関士である祖父は、孫に機械の女神の話を語る……
『火星夜想曲*1のプロローグみたいな感じなのかな。
ネットワークに人格を転移させてしまう姿は今となっては珍しくなくなってしまったけど、
火星の平原を爆走する機関車の姿は燃える。


・「引き潮」
徐々に精神が退行し、最終的には植物人間と化してしまう病に冒された少女。
そんな患者を脳コンピューター化する法律が施行されたアメリカから、イギリスに逃げてきたその母親。
少女は、廃人になるなら脳コンピューターにしてくれと頼んでいたのだが……
このアンソロジーでは一番印象的な作品かなぁ。
SFならではの究極の選択で、しかも正解がない。


・「スティーヴ・フィーヴァー」
アトランタまで行く衝動を抑えられない少年。
その理由は?
最強のネットワーク存在であると同時に最悪のネット弱者が主人公で、賢いバカSFって感じ(笑)
どこまで行くつもり!? っていうツッコミが、そのまま物語の推進力になっている。
ティーヴウェアに愛らしさを感じてしまった。


・「見せかけの生命」
はるか遠未来。
巨大な博物館で、探索者は、夫婦のメッセージが込められた過去のデータキューブを見つけるが……
人間の姿こそは変容してないんだけど、微妙にずれた精神。
データキューブ同士の無意味なやりとりに我々は意味を見出してしまうけど、
そういう心の機微が伝わらなかった未来にある種の悲しさを感じる。