TOKYO INFRA-ORDINAIRE

ジャック・ルーボーの極私的東京案内

ジャック・ルーボーの極私的東京案内

『麗しのオルタンス』*1の作者、ジャック・ルーボーの東京滞在記。

新ジャンル、メトロ詩とは? 富士山は日本に存在しない? レーモン・クノー的「街路の読み方」とは? 英語のthの発音は、フォアグラによって生まれた? 作家/ウリピアン/数学者ルーボーが、山手線で試作/詩作/思索する! ディープな東京案内!

ルーボーさんがふらふら山手線を徘徊する様子は、『散歩もの』*2とちょっと雰囲気が似てるかな。そこに、彼ならではの詩作や文学理論が挟み込まれる。
彼の目を通した日本(山手線内)の姿は、リアルでおかしな色彩を帯びていない。
しかし、彼は現代日本の風物を因数分解することによって、馴染みあるのに奇妙な素数と化した日本の見方を教えてくれる。
一つずつ数え上げられる自販機のジュース、TOTOのカタログ内容の列挙、新橋駅前広場の描写……みんな日常の風景なのに、パーツに分けられると、なんか変。
また、本書の一番の特徴は、いくつもの段落分けとカラフルな文字によるレイアウト。それにより、本筋からどんどん脱線していくのが目に見えてわかり、山手線に乗っているはずなのに、迷宮に彷徨っているかのよう。


ポップで、飄々とした滞在記。