粘膜戦士
- 作者: 飴村行
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2012/02/25
- メディア: 文庫
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収録作品
・「鉄血」
東南アジアの小国ナムールで、大佐に呼び出された軍曹。
大佐はとある方法で、若さを取り戻し、精力絶倫になっていた。
理不尽な命令にも従い、彼は丸森を当番兵にし、破格の待遇を口にする。
そして、さらなる命令を……
・「肉弾」
重傷を負い、七階級特進して帰還した兄。
彼は機斥兵の試作として、改造人間となっていた。
町の誇りとなるが、サーカスの警備をすることになり……
・「石榴」
母は幼い頃に亡くなり、敬愛する祖父は不治の病。
父と厳しいばあやの三人で暮らす、爬虫人好きの少年。
ある日、地下から少女の歌声が聞こえてくる……
・「極光」
伝説的な尋問の達人、松本のもとに青年と老人の二人組が連れられてくる。
彼らは最高機密書類を盗もうとしたのだ。
一見、老人は間違って捕まったかのような間抜けなのだが……
・「凱旋」
山奥を彷徨う脱走兵。
途中、殺された爬虫人の遺体を見つけるが、直後に何者かに捕まり……
「アッー!」→ロボコップ→ヘ、ヘモやんが! って感じ。
個人的には
『粘膜蜥蜴』*1>『粘膜人間』*2>『粘膜兄弟』*3
という順番なんだけど、これはどこに入れるか迷うなぁ。
異形と共存する世界、苛烈な残酷描写、アンモラルなエロス、どこか壊れたキャラクター、それら全体を包み込んでいる奇妙なユーモア、それが飴村作品。どの要素を取り出しても、眉を潜める人がいるかもしれない。でも、個人的に一番嫌なのが、絶対に逆らえない者(上官だったり、町の権力者だったり)からの理不尽な暴力の描写。
それが延々と続き、ラストで歪んだカタルシスを喚起させるのが醍醐味。
そういう意味では、短篇のため、タメが今ひとつ弱い。奇妙な世界観は長篇同様に味わえるけど。
お気に入りは、「肉弾」「石榴」「極光」かなぁ。