Blaze of Memory

遠き記憶が輝くとき (扶桑社ロマンス)

遠き記憶が輝くとき (扶桑社ロマンス)

パラノーマル・ロマンス〈サイ=チェンジリング〉シリーズ第7弾! 〈シャイン財団〉理事長のデヴラジ・サントスは、家の前に放り出されていた傷ついた女性を保護する。素性はサイの元研究者とすぐに判明したものの、本人は拷問と薬物投与のせいで記憶を喪っていた。カーチャと呼ばれることになった彼女と回復までの時間を過ごすなか、すべてはサイの仕掛けた罠ではないかとの疑念を覚えつつも、いつしか惹かれてゆくデヴ。二人を待ち受ける苛烈な運命とは? 巻末には特別短編を収録!

初の、チェンジリングが絡まないペアということで期待したんだけど、これは今までで一番つまらないかもなぁ。
男の方がヒューマンとはいえ、元はサイの血筋で、自身も他に類を見ない能力を持っている上、チェンジリング並の独占欲とワイルドさを兼ね備えてるって、ちょっとチート過ぎるでしょ。
見た目はゴージャスなのは目をつぶるとして、中身は超能力なしにして欲しかったなぁ。
二人の馴れ初め(?)も、これまでに比べると無理矢理感強いし。
個人的には、ちょい役のトラック運転手みたいな普通の人間から見た、この三すくみの世界とか読んでみたいんだけど。


一方で、パラノーマルの物語世界に目を向けると、相変わらず新たな火種が用意され、今後へのフックになっている。〈アロー〉の不穏な動き、〈ゴースト〉の目的、次世代の能力者たちの登場などなど。〈忘れられた民〉の中で〈サイレンス〉論争が再び持ち上がる展開はもっと引っ張ってもいいような気もするけど。


あと、これはジャンル的にしょうがないのかもしれないけど、一度くらいは悲恋エンドを読んでみたいんだよなぁ。近年のロマンスをそんなに多く読んでるわけじゃないけど、ハッピーエンド以外見たことないんだよね。
今回こそは死別か!? と思ったものの、毎度おなじみのラストの奇跡的回復が今回も。単にエモーショナルな理由のためだけにキャラを殺す小説は嫌いなんだけど、今回は死に際としてはいいエピソードだと思うんだけどなぁ。
ユニット能力は良かったけどね。