業務日誌

2013-10-21 月曜日(晴/曇)@所沢

[][]黒い猫の履歴書−スペイン、ディズニー、バンド・デシネ−

昨年から、海外マンガフェスタ前後に、海外のマンガ作家を招待してのイベントが立て続けに開催されるようになり、まさに『ガイマンの秋!』と言うほど定着してないけど、そうなったらいいなと希望も含めてw


また、フランス大使館(?)がバックについてるので、交流イベントは基本BD作家のみ。アメコミ作家も、出版社主導で何か開催して欲しいけどね。有志だと、あまりに負担が大きすぎる。


10/19に明治大学で開催されたのは、『ブラックサッド』の作者、フアンホ・ガルニドの講演会「黒い猫の履歴書−スペイン、ディズニー、バンド・デシネ−」


中野キャンパス。なんと立派な!

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以下、判読しがたいメモをまとめたものなので、筆記ミス、記憶違いなどありましたら、ご指摘よろしくお願いします。

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作品の成り立ち

元々はストーリー担当で、友人のフアン・ディアス・カナレスのアイデア

学生時代に一緒に何かやりたいと話しているうちに、本当にアルバム(BDの単行本)がやりたくなってきたとか。

彼にネコの探偵の短篇を見せられ、自分が描きたいのはこういうものだと気付かされ、嫉妬(笑)

その2年後、発表しようと描き始めたのがブラックサッドで、他人のキャラクターを取ったような申し訳ない気分だとか。


最初のカナレスのデザインはアニメ的だったのに対して、写実的な動物探偵にしたいと考える。

自分の筆致にしようと色々と模索が始まる。


動物の擬人化の試案中の一点。

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この絵は手だけが人間のスケッチ。こういうのが描きたいわけじゃないのでボツ。

また、顔が黒一色でメリハリもイマイチ。


実際に描き始めたのは、さらにその5年後。

スタジオで働きながら、ストーリーボードを描いていた。


描き方

まずは、フェルトペンでストーリーボードを描く。ペン先が柔らかいのでアイデアをそのまま紙にアウトプットしやすい。


その次に鉛筆で線画。

このとき、人物、建物、雰囲気を丁寧に描く。パースも。

ちなみにこの時点ではA4で描いているそうで、その方が大きさがまとめやすい。


それを拡大コピーして、水彩画用の紙に清書しながら写す。

それからペン入れ。使っているのはセピア色。黒インクは主張が強すぎるため。

BDは製版上、線画と色版があることが多いけど、『ブラックサッド』(ガルニド作品?)ではそのまま色を載せていくので、線画だけの現行は存在しないとか。


非常に色彩が美しい『ブラックサッド』だけど、彼自身は先天的なカラリストだと思っていないので、何枚も試作。準備しないと失敗する。

この辺のことは『ブラックサッド 赤い魂』のおまけに詳しい。


カナレスの原作は映画のシナリオのよう書かれているそうで、コマ割りの指示などはなく自由度が高い。

ハードボイルドが好きなので、それを再現したかった。


BD作家になるまで

子供の時から絵を描くのは好きで、ずっと絵を描いていたかった。

村の絵を描いたら、教師をしていた父親が勝手に応募して、入賞して、新聞に載ってしまった幼年期。

初めて観たのは『ピーターパン*1


若い頃から、身近にBDはあり、イラストレーターになるために、グラナダの美大の入学。この頃は、アニメは全く別世界のことだと思っていて、それを仕事にすることはまるで頭になかった。

しかし、スペインでBD関係の仕事は難しい。マドリッドの仲間に誘われてアニメを3ヶ月勉強

そのうち、関係者からディズニーのパリスタジオを紹介される。

最初の3〜4年はアニメのレイアウトをやっていたが、アニメーターがやりたかったので上司に掛け合ったところ、結果的に『ヘラクレス*2の頃から10年間、スタジオ閉鎖までアニメーターをやる。


ちなみに、『ブラックサッド―黒猫の男―』はまだスタジオ在籍しており、昼はアニメの仕事、週末に執筆していて、悪い夫だったと述懐。だから離婚したそうな(笑)


質疑応答

密度が高いのに見やすいコマはどうやって作っているのか?

常に構図は考えている。

同じ場面でも、アングルを変えたり、模索する。パーツを嵌めこみ、そぎ落とす。


実際の作業時間は?

日本人くらい働いているよ(笑)

1日、12〜14時間仕事。絵を描いていると時間を忘れちゃう。

鉛筆書きは、一気に、もしくは半分、ある程度の量を描いてしまう。

彩色は、同じような色を使う場面は同時進行。

1週間で1〜1.5ページ。


ブラックサッドのアニメ化は?

オファーはない。アニメ化されると、BDの持ち味が薄れてしまうことが多い。

しかし、実写化の話はある。


日本作家の影響

ハイジ、マジンガーZはTVでやっていて、宮崎駿、今敏、浦沢直樹大友克洋など。


2時間超の講演後サイン会

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彼の作品同様、密度の高い講演でした!

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド 凍える少女

ブラックサッド 凍える少女

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未来の回想

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