2014年11月号

今月の特集は、「30年目のサイバーパンク
ウィリアム・ギブスンニューロマンサー』の刊行から今年で30年。


翻訳は3本。
できれば「クローム襲撃」あたりの再掲も欲しかったなぁ。


「パパの楽園」 ……ウォルター・ジョン・ウイリアム
ファンタジックな世界に暮らす少年と、その家族。
しかし、そこには秘密が……
ウォルター・ジョン・ウイリアムズとは、ホントにお久しぶりだなぁ。
おとぎ話のような世界とは裏腹に、その真実はエゴの押し付けによって構築されたもの、という、なんとも苦い後味の作品。
主人公を含めあらゆるものが変革しながらも、父だけは(悪い意味で)変わらず、業が深い。


「水」 ……ラメズ・ナム
脳内インプラントを入れている近未来。
高額な製品は広告が出ないが、ほとんどが五感に訴える広告が出る無料タイプのインプラント
高給取りの男が、知り合いの女性を、広告圧力を高めて落とそうとするが……
サイバーパンクらしからぬ題名が、非常に強いサイバーガジェットになっていて、それだけでよく出来たSF.
今回掲載された作品では、個人的にはこれが一番、現在のサイバーパンクという印象。
ただし、30年前と違うのは、出てくる横文字や何をやっているのかがわかるんだよねw
これから世界の変革が始まるかもしれないし、描かれてない作品世界の周囲も想像でき、なかなか深みのある短篇。


「戦争3.01」 ……キース・ブルック
第三次世界大戦は始まった瞬間に終わった。
イスラム圏某国がネットワークを瞬時に掌握したのだ。
人々は脳内に流れてくる情報に打ちのめされるが……
ISISの存在する現在では、なんとも空恐ろしいストーリー。
しかし、主人公のように真実に気づいたら、それはそれで本当に戦争が始まっちゃうような……


「SF COMIC SHORT-SHORT」第10回
今井哲也


大森望の新SF観光局」第42回
アオイホノオ』との関係がこんな所に!


堺三保アメリカン・ゴシップ」第61回
巨人とかしたアマゾン


「サイバーカルチャートレンド」第58回
無数の増えたプログラミング言語


「精神の中の物語」第11回
「少女の時代」のゆくえ


「サはサイエンスのサ」第234回
シンギュラリティはくるか(その6)
DNA読み取りなんざ、星占いと同じw


「乱視読者の小説千一夜」第42回
ウィル・ワイルズ"The Way Inn"
Pecha Kuchaが英語化してるとは!


「SFのある文学誌」第35回
予告された未来―それぞれの明治二十三年(2)


「近代日本奇想小説史[大正・昭和篇]」第16回
さまざまな翻訳・翻案その3


「MAGAZINE REVIEW」は〈アナログ〉誌
"Whaliens"ラヴィ・ティドハー
"Cryptid"アレック・ネヴァラ=リー
"Repo"アーロン・ギャラガ
"Another Man's Treasure"トム・グリーン
"The Half-Toe Bar"アンドリュー・リード
が面白そう。


「エンタメSF・ファンタジイの構造」第8回
ホラー系フリーゲームのノベライズ


現代日本演劇のSF的諸相」第8回
ロボットの演劇


来月の特集は、「R・A・ラファティ生誕100年記念特集」