EL PRISIONERO DEL CIELO

天国の囚人 (集英社文庫)

天国の囚人 (集英社文庫)

『天国の囚人』カルロス・ルイス・サフォン集英社文庫サ4-5〉

1957年、バルセロナ。父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。18年前、監獄に収容された事。そこで出会った作家マルティンの事、彼と交わした約束の事――『風の影』『天使のゲーム』をつなぐ、「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!

〈忘れられた本の墓場〉シリーズ第3弾。


悪いことは言わない。『風の影』*1『天使のゲーム』*2をうろ覚えなら、時間を作って初めから読みなおした方がいい。
むしろ、4巻が出るまで待つか……


物語的には、『風の影』直接の続編という感じ?
申し訳ないけど、全然覚えてなくて、古書店とダニエルはなんとか引っかかってるけど、『天使のゲーム』にいたっては、まるで覚えていない。


シリーズものの紹介で、「これ単品で楽しめる」というのがあるけど、確かにこの作品で独立していると言えなくもないけど、やはり〈忘れられた本の墓場〉を軸としたクロニクルであり、それらの前提があって、初めて十全に楽しめる作品であることは間違いない。


今回の主人公は、古書店店員のフェルミン。過去作に出てきた記憶が……
彼のキャラクターはひじょうに生き生きと描かれていて、愛さずにはいられない。
その彼の壮絶な過去、『風の影』主人公のダニエルの母親との意外な関係、スペイン内戦期の暗黒時代。
どれもが面白いだけに、前作をよく覚えていないのが悔やまれる。


また、回収されない伏線も多々あり、4巻での収束が楽しみ。
それまで記憶にとどめておかないと……