SHERLOCK HOMES The Army of Dr. Moreau

シャーロック・ホームズ 恐怖!獣人モロー軍団 (竹書房文庫)

シャーロック・ホームズ 恐怖!獣人モロー軍団 (竹書房文庫)

シャーロック・ホームズ 恐怖! 獣人モロー軍団』ガイ・アダムス〈竹書房文庫あ7-2〉

“神の息吹殺人事件”の解決後まもなく、シャーロックのもとに兄マイクロフト・ホームズが現れる。表向きは政府の役人だが、実は重要なポストについているマイクロフトは、天才的な生理学者チャールズ・モロー博士と彼にまつわる奇想天外な話を語りだした。残虐な動物実験が公となり学界を追放されたモローは、マイクロフトの申し出で南海の孤島で新たな実験に取り組んでいたが、8年前に音信不通となる。一方、海難事故に遭った若者プレンディックは、流れ着いた島でモローの生体実験によって作られた獣と人間のハイブリッドを目撃していた。ロザハイスで発見された動物に噛み殺された死体から、モローがロンドンに舞い戻ったと危惧するマイクロフトは、シャーロックに真相の解明を依頼するが…。

シャーロック・ホームズ 神の息吹殺人事件』*1の続編。


パスティーシュというより、『ドラキュラ紀元*2とかに味わいが近いこのシリーズ。今回のクロスオーバー相手は、『モロー博士の島』*3のモロー。
ジョン・サイレンス*4好きとしては、前作はいただけなかったんだけど、今回は悪くないですよ。ホームズとマッシュアップするのは、やっぱ、オカルトよりSFのほうが食い合わせがいいよね。


実は獣人と見せかけて……なんてことはなく、モロー博士の島も獣人もしっかり実在。
それに対するホームズとワトソン、さらにはチャレンジャーやリンデンブロックなど、他の作品からも探検家たちが合流。
シャーロック・ホームズとして読むと、まるで違う定食を出された気分だろうけど、こういうお子様ランチは大好きなので全然OK。
ただ、展開は拙速だし、語り手がワトソンだけでなく、複数で入れ替わる構成もあまり効果的とはいえない。怪人軍団があっけないのも残念。また、登場する事件や書物が作者の創作というのが多いのは、この手のパロディではフェアじゃないよなぁ、そのへんはキム・ニューマンアラン・ムーアとは比ぶべくもない。


まぁ、原理主義シャーロキアンにはオススメしませんw