業務日誌

2016-01-29 金曜日(晴)@所沢

[]Whiskey & Jorkens

ウィスキー&ジョーキンズ ダンセイニの幻想法螺話』ロード・ダンセイニ国書刊行会

初老の紳士ジョーキンズがウィスキーを片手に、実話と称して語り出す若かりし日の思い出――幻獣に出会い、魔術に驚異し、一獲千金に胸躍らせる、奇想天外な冒険の数々。香り豊かで軽やかなテイスト、心地よい後味にほろ酔い気分。どこから読んでも楽しめる愉快な短篇23作。


収録作品

「アブ・ラヒーブの話」

「薄暗い部屋で」

「象の狙撃

「渇きに苦しまない護符」

「失なわれた恋」

「リルズウッドの森の開発」

「真珠色の浜辺」

「アフリカの魔術」

一族の友人」

「流れよ涙」

「ジョーキンズの忍耐」

「リンガムへの道」

「ライアンは如何にしてロシアから脱出したか」

「オジマンディアス」

「スフィンクスの秘密

「魔女の森のジョーキンズ」

「ジョーキンズ、馬を走らせる」

「奇妙な島」

スルタンと猿とバナナ

「徴」

ナポリタンアイス

「ジョーキンズ、予言者に訊く」

「夢の響き」

ロード・ダンセイニと聞くと、ファンタジー、妖精という言葉がまず浮かぶ。

まぁ、胸はってそんなこと言えるほど読んでないし、そもそも、まるまる一冊読んだ『二壜の調味料*1がイマイチはまらなかったんだよなぁ。

本書も内容はよく知らなかったんだけど、豆本プレゼント(外れた…)とcocoさんの表紙に惹かれて着手。


俺が好きなやつじゃん!


ホントか嘘かわからない、軽妙な小咄系短編集。

正体不明おっさんの語りということで、『犯罪王カームジン*2感触が近い。

しかし、カームジンが甚だしく胡散臭いのに対して、ジョーキンズのそれは、どこかほろ苦い後味を残す。酒臭いんだけどw


まことしやかな法螺話、もしくは、法螺にしか聞こえない実体験を話しているのかもしれない。

それをどう受け取るかは聞き手次第。

ジョーキンズが時折見せる、韜晦するような表情は、彼の過去の冒険を物語っているようにも思える。


真珠の海岸やスフィンクス、魔女の森に月ロケット、とジョーキンズの抽斗は無数。

「アフリカの小石というのはイギリスの馬くらいの大きさなんだ」とさらっと出てくる法螺っぷりや、「聖書には出てこないって? じゃあ、誰か出てくる人だ」なんて適当さが、ほろ酔いで、舌がなめらかになったジョーキンズの姿が浮かぶようで楽しい。

クラブでの披露が多いけど、他の場所だったり、語り手が別人のこともあって、たまに出てくるそれらのアクセントもちょっとお得な気分。


みんな面白いんだけど、特にお気に入りは、

「薄暗い部屋で」

こどもに、虎に追われた話をするジョーキンズ。

その結末は?

何と言っても、ラストがたまらない。


「リルズウッドの森の開発」

リルズウッドの住宅に牧神パンが現れる。

そこに暮らす老兄妹は、彼を使用人として家に入れるが……

ギリシア人を見て、その場で即興で話してるに違いにないんだけど、あまりによどみない。

もしかして、実話なのかもw


「真珠色の浜辺」

真珠で出来た浜辺を見つけたジョーキンズ。

ポケットいっぱいの真珠を持って行くが……

Twitterの応募では、これをあげました。

オチが、カーシュの小咄と一番近いかなぁ。


「スルタンと猿とバナナ」

ジョーキンズに話をさせまいとするクラブの一派。

彼が来るとすかさず、違う話を始めるが……

何度か出てくる、ジョーキンズの語りを快く思わない連中。

この作品ではそれが成功するものの、読者にはそれがフラストレーションにw


「ジョーキンズ、予言者に訊く」

占い師に競馬の結果を予言してもらったジョーキンズ。

それは的中しており、今度は大金を賭けるために、また予言してもらったところ……

イーガンかチャンの短篇にありそうな。


二巻も是非希望

ちなみに、ハヤカワFTの『魔法の国の旅人*3もジョーキンズもの。

昔はなんとももわなかったんだけど、今では、FT版の表紙は違和感がw