Hatena::ブログ(Diary)

吾輩は馬鹿である

2014-03-17

STAP細胞の件に関して少しだけ

私は生物学については高校レベルの知識も怪しいので特に言及する気はなかったのだが、一部で言及されたのでそれにのみ応答しておく。

哲学的な発想や芸術的な感想は自由に研究へ活かせばよろしい

b:id:kurahito ソーカリアン突撃はよ>「哲学的な発想や芸術的な観察を自由に研究へ生かせます」

はてなブックマーク - 【万能細胞】STAP細胞作製の成功の小保方さんにRikejoが過去に取材していました! | 理系女子応援サービス Rikejo [リケジョ]

なぜ私が「突撃」しなければならないのかわからない。私は、当該分野の人間に馴染みのない議論でハッタリをかますとか、他分野の専門用語や基礎知識をろくに理解しようともせずいちゃもんを付けるといった動きを批判したまでであり、個々の人間がどういうところから着想を得ようとそんなことは知ったことではない。

小保方氏が自身の論文に向けられた批判について「哲学」や「芸術」の用語を振りかざして詭弁を弄したとかいうことがあるのならばともかく、そんなことでもないのに何を「突撃」せよというのか理解できない。

勝手に殺さんとってえな

b:id:tokoroten999 今はなきAntiSepticニキやSokalianニキのこと思い出した

はてなブックマーク - はてブがSTAP細胞のデマ拡散 シノドスの記事も

あなたは最初の頃からトンチンカンな絡み方ばかりしてくれていたが、この言及元の匿名ダイアリー記事と私の意見が重なるところは殆どない。逆に、どのあたりが重なると思ったのか教えて頂きたい。

言及先の匿名ダイアリー記事で同意できるのは

fuka_fuka 一貫して「小保方博士」って呼んでいることにまず好感が持てる記事。素人にも意義がわかりやすく説明されてる。 2014/01/31

このコメントに多くのはてなスターが付いている。STAP細胞のことなんかよりも名称を気にする素人だから、まんまと騙されたと。ちなみに、男の研究者でも普通に「さん」と言われてきたし。田中耕一の時には結婚報道とかもされて、小保方晴子の時より業績に関係のない報道ばかりだったが。

はてブがSTAP細胞のデマ拡散 シノドスの記事も

繰り返すが、小保方晴子が女性だから業績に関係のない報道をされたわけではない。田中耕一の時の結婚報道、年齢を強調しておっさんが普通に通勤とか、癒し系とか関係のない報道ばかりだった。小保方晴子が女性を強調だって?田中耕一のおっさんを強調した報道よりは、かなり抑え目だな。小保方晴子女性差別報道とか言ってるのは、田中耕一の時の報道を全く知らないのか?おっさんへの報道のほうが、もっとグイグイ突っ込んで報道している。

はてブがSTAP細胞のデマ拡散 シノドスの記事も

この二箇所のみである。何でもかんでも欧米では云々とかジェンダーが云々とか牽強付会して日本の風潮を叩いておけば意識の高いインテリゲンちゃん、みたいな風潮は本当に馬鹿馬鹿しいと思うし*1、特に後者については小保方氏を含む理研側が自ら売り出したとの情報が出だした今となっては噴飯物でしかないのだからなにをかいわんやであるが、それにしても前者の「博士」と呼べ、というのはよくわからない。私の知る限りこの種の言説の出所は一晩中泣き明かした30歳若手女性研究者と書く我が国にはゴシップ新聞しかないらしい - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)くらいしかないのであるが、このような思いつき程度の文章がいつの間にか一人歩きして都市伝説化していったのは実に気持ち悪い。アンネの日記破壊犯をネオナチだの排外主義者だのと大騒ぎした挙句、結局のところ責任能力を疑われるような人物であった件も含め、国会議事堂が炎上したのはアカとユダヤの陰謀だと言われれば簡単に支持してしまいそうな人たちがなんとも多いことである。

末は博士か佐村河内

ともあれ、今回の件では小保方氏にだけやたらと「博士」をつける記事がやたらと目立ち、鼻についてしょうがない。若山氏をはじめとする共同研究者や、理研理事長の野依氏など、この件で出てくる他の人たちに「博士」がつけられた一般報道など見た記憶がないのだが。それほど神聖ニシテ侵スヘカラサルはずの小保方氏の博士号が危機に瀕しているというのは笑い事ではないが、皮肉と言わざるを得ない帰結だ。

ともあれ、どういった理由で小保方氏は「博士」と呼ぶことこそが正しいということになったののかまったく理解できないのだが、一つだけ思い当たることがあるとすれば英語で "Dr." は "Mr." や "Ms." などと同列の肩書きになっていることから、「世界」では全てそうだと早合点したのだろうか。だがお生憎様、日本語の尊称のシステムは英語とは全然違うのである。手紙の宛名で「○○博士」と送ることはあり得ないし、人に呼びかけるときに「博士」などと使うのはお茶の水博士と水道橋博士ぐらいであろう。日本ではこういうとき、所属機関での肩書きを使って「教授」などとするか、それが居心地悪ければ単に「先生」とするのが慣例だ。実際、研究者同士が呼び合うとき「先生」か「さん」以外の呼称が使われた例を私は見たことがないし、そもそも「博士」という肩書きにこだわるという権威主義めいた姿勢がすでに研究者らしからぬ話だ。

何が何でも「博士」と呼ばれなければ気が済まないというと、出典は忘れてしまったが、ゲッベルスが何が何でも自分を "Herr Doktor Goebbels" と呼ばせたがっていたという話を思い出して失笑してしまうのは私だけだろうか。自分であろうと他人であろうと「博士」などという呼称にこだわる小人物ぶりは何とも情けない話にしか見えない。

なお、"Herr Doktor" は直訳すれば「博士様」である。韓国語でも「先生」は単独の尊称にはならず「先生様」のようになるのが通例だと聞く。文化的に近い言語同士でも尊称のシステムにはこのように差があるのに、どうして日本語で「博士」という尊称が一般的でないことは批判されるべきこと、などという話が簡単に信じられてしまうのだろう?

*1:揚げ足を取る頭のよろしいお方は相変わらず多いのであろうから敢えて言っておくが、欧米が日本より進んでいる面や、日本の社会において性差による種々の障壁があることはあたりまえである。そういうことは当然批判されるべきである。しかし、ただでさえ感情的反撥を買いやすいそういった批判が説得力を持つためには、きちんと事実と根拠が示されることが大前提である。今回の件は到底そういった議論がなされていたとは思えない。

2012-11-28

権威主義者たちに告ぐ

日本政府や大企業のような「悪玉」がやることは全て悪意に解釈して陳腐な陰謀論を並べ立てる「リベラル」な方々は、総じて舶来品とあれば内実を問うこともなく礼賛するのがその常なのだが、今回そういう方々にうってつけの「鰯の頭」が登場した。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

「錦の御旗」を得て「この印籠が目に入らぬか」と欣喜雀躍しているリベラルな諸氏には申し訳ないが、この文書は格好の試金石だと思う。自分の頭で考えて理詰めで判断できる人なのか、陳腐な善悪二元論的図式と「誰が言ったのか」だけで物事の質を判断してしまう権威主義者を見分けるための、だ。

裸の王様の衣装はただのコピペでしたとさ

そもそも、この文書の内容といえば、「リベラル」でありかつ科学知識に乏しい方が福島第一原発事故以降うんざりするほど繰り返してきた誤謬の集大成ではないか。全部が誤りとまでは言わないが、価値判断以前に前提となるべき事実認識において偏りが多すぎ、全くもって使えない文書となっている。

論より証拠、いくつかの下りを見てみよう。

政府が正確な情報を提供して、住民を汚染地域から避難させることが極めて重要です。しかし、残念ながらSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射線量の情報および放射性プルームの動きが直ちに公表されることはありませんでした。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

またしても「SPEEDI神話」である。この件で責められる人たちに同情を禁じ得ない。

この「SPEEDI神話」が計算機シミュレーションの何たるかを知らない人の間で跋扈するのは無理もないが、実のところSPEEDIの予測結果の中にはたまたま実測値に近い予測を与えたものもあるが、多くは現実と余りにも乖離してしまっていた。そんなものを公表すれば混乱を招くだけなのは明らかだったし、そもそもシミュレーション結果というものは何らかの形で信頼性を確かめないことには到底使えないものだ。

理由は、そもそもシミュレーションというのは情報が不足しているからこそ行われるものであるし、殊に今回のような大規模自然災害下では通常時にもまして情報が不足しているからだ。そして、不足した情報は全て推測で埋めるしかない。その推測が現実と合致しているかどうかは、シミュレーション結果と実測値を照合してみるなどして何らかの吟味を行わなければ判断しようがないのである。

学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

実際それは事実なのだから仕方があるまい。事実を伝えて怒られるとは国連はガリレオ裁判時代の法王庁よろしく異端審問の場か?

3 ヶ月間で放射線量が1.3 mSv に達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、作業員は当該地域での飲食、睡眠も禁止されています。また、被ばく線量が年間2mSv を超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

一方、自然放射線量が10mSv/年のオーダーに達するブラジルのグアラパリは観光地であり、おそらく福島第一原発事故の風評被害を受けた最遠の地でもある。この風評被害をもたらしたものこそ、こういう科学音痴の「リベラル」たちなのである。

要は、法的規制値を科学的基準とごっちゃにする方がおかしいのである。とりわけ、放射線の基準値が低く抑えられることには政治的な、いわゆる「大人の事情」が介在することも想像に難くない。まさか法律家の方が科学者より多くを理解しているなどと言い張るつもりもなかろう?

また、多くの疫学研究において、年間100 mSv を下回る低線量放射線でもガンその他の疾患が発生する可能性がある、という指摘がなされています。研究によれば、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

ただし定説ではない。定説ではない学説ということでよいのであれば、その正反対を説くホルミシス学説というものすらある。こういうと「予防原則」云々と言われるかもしれないが、福島県で災害関連死が非常に多いことを考えれば、ホルミシス学説に依拠して避難をできるだけ抑制する方が「予防原則」に適っていたとさえ言えるかもしれないのである。

いずれにせよ、「統計的検出限界以下」、即ち「少なすぎてあるかないのかわからない」被害に関する形而上学的議論にとらわれすぎることはそれ自体精神的に悪影響を及ぼすものでもあるし、合理的態度とはいえまい。

ここで思い出していただきたいのは、チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、土壌汚染レベルとは別に、年間5 mSv 以上であったという点です。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

既に論破し尽くされた誤りである。

日本政府はすでに健康管理調査を実施しています。これはよいのですが、同調査の対象は、福島県民および災害発生時に福島県を訪れていた人々に限られています。そこで私は、日本政府に対して、健康調査を放射線汚染区域全体において実施することを要請いたします。

安全保障理事会決議 1754 | 国連広報センター

放射線汚染区域」の定義が全く不明だが、福島県のたとえば会津地方で健康管理調査をすること自体、はっきり言って過剰な対応であるように私には思えるのだが。医療被曝や自然放射線の地域差の範囲内に収まる被曝に過敏になって何の得があるのか私には理解できないが、まあいずれにしても「福島県内」というのは「大人の事情」も含めれば妥当な範囲なのではないか。

以上、目に付くところだけを指摘してみたが、あまりにもひどい。「国連」という権威だけでは決して信頼に足る証拠とならない何よりの証拠ではないか。

舶来礼賛の陳腐さ

まあ、この一文書だけをあげつらっても仕方ないのでそろそろ本題に戻ろう。

そもそも、「グローバル」大好きなネオリベ諸氏にせよ、国連や海外報道に平伏するリベラル諸氏にしても、どうして日本のことに関する情報や判断を外国人に頼るのか全くもって不思議である。「岡目八目」ということがないとは言えないが、「多勢に無勢」の方が普通は勝るだろう。このグローバー氏なるお人はおそらく日本語もできないし、自然科学専門家でもなかろう。となれば、特定の人脈に頼って事実判断を頼るしかないし、そうすればその「人脈」の偏りから当然誤りも生じる。

実は私がこのことを思い知ったきっかけがまさに福島第一原発事故なのである。偉そうに「善悪二元論的図式」をここまで避難してきたが私も実は人のことを言えず、当初は「政府は嘘をつくかもしれないし、マスメディア、殊にNHK隠蔽に荷担するかもしれない」と思い、CNNだのZDFだの、あるいはNYTだのLe Mondeだの、私が多少なりとも読めるあらゆる言語の定評の高い媒体をネットで読みあさっていたのだった。しかしどれもこれもおどろおどろしい終末論的なトンデモをここぞとばかりに煽り立てるノイズが余りにも大きく、全くと言っていいほど使えなかった。私の放射線に関する知識といえば高校の教科書レベルに毛が生えた程度でしかなかったのだが、それでも容易に誤りがいくらでも見つかった。

ほとんどの海外報道に比べれば日本のメディアははるかにマシだった。しかし民放は広瀬隆武田邦彦小出裕章や飯田哲也のようなデマゴーグ*1を出演させたりなど、海外報道と五十歩百歩に思えた。そして最終的に良質の情報ソースとして残ったのは、NHK毎日新聞、そして不当にも「エア御用」と誹謗中傷されているボランティア研究者のtwitterだった。

つまるところ、結局「御用」だの「エア御用」だのの方がよほど事実を客観的かつ正確に伝えていたのである。

いかに情報の質については世評が当てにならぬか、ということでもあるが、逆に世評に頼って何を信じるかを頭から決めていれば簡単に洗脳されてしまうということでもあり得るのだ。「権力を監視」せんと志すのであればその程度のことは念頭に置いておいて頂きたいものだ。

*1:ちなみに武田邦彦小出裕章や飯田哲也が悪質なのは、デマばかりでなく「本当のことも言う」ことだ。そしてそのノイズの中に、素人には判別が難しいような極論を巧妙に混ぜるから、当初はこの連中が言っていることがいい加減であることをなかなか見抜けなかった。

2012-11-27

算数の成績がいいふりせんでもよろしい

普段人を愚弄している人がこんなことを言っていた。

b:id:agricola ブコメがひどい, メタブ, 数学, ブコメの続き

散見される「9 / 0 = 0なら9 = 0 * 0だからおかしい』と言う理屈も間違い。その式は0 / 0 = 1と定義しないと導出できないが、定義自体が仮定に矛盾してアウトだろ。この体たらくでは小学校の先生を批判する資格無し。 2012/11/25

はてなブックマーク - はてなブックマーク - 小学校には9÷0=0というオレルールがあるらしい。 - Togetter

あははははは。君、自分の言っている意味をわかっているのかね?

何を勘違いしてそんなことを言っているのかわからないが、「9 / 0 = 0なら9 = 0 * 0だからおかしい」と言っている人は、「除算は乗算の逆演算である」ことを暗黙に用いているのだから何もおかしなことは言っていない。

もしかすると君はa / bを「b ¥ne 0のときbx = aとなる唯一のx ¥in ¥mathbf{R} b = 0のとき 0」みたいな感じで場当たり的に定義すれば問題はない、とでも思っているのかもしれないが*1、それでも1 = ¥frac{1}{1} = ¥frac{1 ¥times 0}{1 ¥times 0} = ¥frac{0}{0}とでもすれば途端に馬脚を顕す。

まあ、「矛盾した公理系からはいかなる命題をも証明できる」という論理学の基本を押さえていれば、こんなしょうもない揚げ足を取った挙句に自爆せずにも済んだところでお気の毒様だったね。

聞きかじりで人を罵倒する滑稽さ

いや、こんなしょうもないことをわざわざ指摘したのは大人げないかもしれない。他の人がこの程度の間違いをしていたのなら、別に敢えて指摘もせず通り過ぎるところだ。

だが、君やその賛同者(たとえば、上のブコメにスターを付けているid:flagburnerのようなお仲間もそうだろう)は普段からネットで徒党を組み、人をバカだのアホだの散々に罵っているではないか。まあ、ここは百歩譲って君らの批判は正当だとしよう。君らが罵倒する相手は無知で知性に欠け、大人なら当然知っているべきことを知らないが故に愚かなことを言っているのだと。よろしい。だが、そこまで人を口汚く切り捨てられるなら、自分自身同様の無知を曝すような真似はしないように普段から心がけている程度の知的態度は当然期待してもよいと思うのは私の買いかぶりだろうかね?

いや、こんな陳腐な修辞疑問はよそう。要するに君らは、「自分も無知である」ことの自覚どころか怖れすら持っていない、というのは余りにも明らかなのだよ。

「まとめサイト」でわかった気になってるネトウヨと何が違う?

違うかね。そうでもなければ、この一件に象徴されるように、半可通の付け焼き刃知識で何かを理解できた気になれるはずがない。

そしてそれは、君らが罵倒するネトウヨ君たちと全く変わりががないのだ。間違いだらけの「まとめサイト」で何かをわかった気になって「敵」とみなした存在に何の仮借もなく酷い誹謗中傷を浴びせまくるという、ね。

もう一度「勉強する」とはどういうことかを考え直してきてはどうかね?

行きがけの駄賃

ついでに、君のその前後のブックマークにツッコミを入れておいてあげよう。

b:id:agricola 数学

ウィキペにすらきちんと書いてあるのに臆面もなく極限が無限大だから0じゃないだの通分したら9 = 0だからおかしいだのと言っちゃう人は、9 / 0 = 0と教える小学校の先生を笑えねぇよ。 2012/11/25

はてなブックマーク - ゼロ除算 - Wikipedia

このWikipedia記事が、君のような半可通によって書かれた無惨なものであることすら見抜けない君がそんなことを言うとはまさに笑止千万だ。具体的に、

ゼロ除算をすると一般の自然数有理数の濃度を超越して無限大の濃度に飛んでいってしまう。したがって数学逐次的な数の論理を超越し、いかなる法則も成り立つカオスな世界になってしまう。無限大∞を使った計算でも同じことが起きる。

ゼロ除算 - Wikipedia

たとえばこの部分は全く意味がわからないfasionable nonsense*2の世界だ。まず自然数の集合¥mathbf{N}有理数の集合¥mathbf{Q}は当然無限集合であり、その濃度¥aleph_0は加算無限である。そしてそもそも「濃度」を何らかの実数値と並列すること自体極めて不自然である。それ以降の「逐次的な数の論理」云々に至ってはもはや何を間違えているのかさえわからないほど支離滅裂である。

それとも君はこのくだりの意味がわかるのかね。わかるのならぜひとも説明していただきたいね。

b:id:agricola 数学 高校の理系クラスを卒業したら押さえておくべきレベル。俺は時々微分可能性と混同する傾向があるので注意しないとな。 2012/11/26

はてなブックマーク - 連続 (数学) - Wikipedia

これを「ハッタリ」という。リンク先のWikipedia記事で解説されている、いわゆる¥varepsilon-¥delta論法は理系の大学1年生の「挫折の名所」であるし、まして「ヘルダー連続」に至っては、概念自体は簡単ではあっても、数学科以外の人は物好きでもなければなかなかお目にかからない概念である*3

まあ、「そんなことない」と強弁するならそれでもいいけど、じゃあリンク先に出ている「一様連続」と「リプシッツ連続」の概念が重要になる例を1つずつ挙げてごらん。ちゃんと勉強している理工系の大学2年生ならできるはず。できないんだったら君はこの概念を「押さえている」とはとても言えないよ。

…とか、ちょっと野暮を言い過ぎたかね。連続性と微分可能性を混同するような人が「高校の理系クラスを卒業したら押さえておくべきレベル」の数学について語るという時点でギャグであるのは、分かる人には余りにも自明なことだからね。

え?決めつけでものをいうなって?ああごめんごめん。じゃあ、宿題を出そう。f(x) = |x|という関数の連続性と微分可能性について、x=0の場合に注意して調べてごらん。この宿題ができて、なおも不満があるならそのときはかかっておいで。

*1:まあそんなことを言い出すと、「そもそも実数の集合¥mathbf{R}およびその上の演算をどう構成する気なんだ、適当な構成を示した上で、零元0以外の元に対する商の存在と一意性を証明せよ」とか言ってみたくなるが、そこまで大人げないことを言うつもりはない。

*2ソーカル・ブリクモン「知の欺瞞」の英語版原題。なお、私のID自体ソーカルに由来していることは言うまでもない。

*3:というのはさすがに言い過ぎで、理工系で数学が好きな人ならそれなりに目にする機会はあると思うが、まあ普通のカリキュラムには入っていなくてもおかしくない。

2012-10-25

反「ハシズム」の差別はきれいな差別

どうもネット上では関西*1を見下す人が多いようで、大阪市の橋下市長をめぐってはとくにその差別意識が露骨にあらわれると思っていたのだが*2、到底それでは済まされない重大なことが起こっているようである。

日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自を報じた週刊朝日に関し、大阪府八尾市教育委員会は24日までに、市立図書館で当該号の一部を閲覧できないようにすることを決めた。

八尾市教委によると、制限対象となるのは、週刊朝日10月26日号の橋下市長に関する掲載記事6ページ。23日午前の市教育政策会議で「掲載記事は、市内のある地域を被差別地域として特定する内容で、差別を助長する恐れがある」として、閲覧制限を決めた。(後略)

お探しのページが見つかりません : 日刊スポーツ

これに対して、「リベラル」な人たちがいったいどう反応しているのか。

b:id:vanacoral これはひどい, 政治, 大阪, 橋下徹 「ハシズム」のレッテルに自ら正当性を与えるバカタレ橋下@t_ishin #橋下イラネ 2012/10/24

b:id:nakakzs 政治, 橋下徹, 大阪 政治が図書館に介入する前例を作ると、それこそ図書館戦争じゃないけどあらゆる統制につながる危機。 2012/10/24

b:id:watapoco 何この独裁者国家wこれが2012 2012/10/25

はてなブックマーク - 大阪の市立図書館、週刊朝日を閲覧制限 - 社会ニュース : nikkansports.com

まず、「国語の成績が悪い」としか言いようがない。八尾市大阪市の中心部からは10km以上離れた土地である。八尾市大阪市をごっちゃにするのは、狛江市あたりと東京23区内をごっちゃにするような話だ。当然、八尾市図書館大阪市長である橋下氏の権力の及ぶはずもない。

こんな、「大阪」の何たるかが何もわかっていない人間が遠くから偉そうに大阪を批判するだけでも私は非常に不快なのだが*3、それ以上に頭が痛いのはその批判の内容だ。一体何周遅れで出尽くした議論を繰り返しているのか。

こういう批判をしている人たちが、在特会あたりが「通名の使用を許すのは『在日特権』だ!」とか言い出すと善人面して叩き出すのだから本当にお笑いぐさもいいところだというか。

いや、笑い事ではない。冗談抜きで反省して頂きたい。そういう認識で西日本に足を踏み入れられては、いつどこで他人の心を無自覚に踏み躙ることになるかわからないのだから。

過去に眼を閉ざす者は、未来に対してもやはり盲目となる

まず、余りにも基本的な史実から復習する*4

1975年11月、差別図書〈部落地名総鑑〉がダイレクトメールを使って販売されていることが明らかになりました。ダイレクトメールの内容は、採用において被差別部落出身者を排除することをそそのかすものとなっており、書籍の内容もその目的にしか使えないものでした。〈部落地名総鑑〉には、全国の部落の地名・所在地・戸数・主な職業などが記載され、1冊5000円から5万円程度で販売されていました。購入者の大半は企業であり、日本を代表する大企業も数多く含まれているが、購入動機は採用にあたって部落出身者を調べるためでした

1977年より、部落解放同盟は組織をあげて糾弾闘争に取り組みました。この事件の反省を契機に企業での部落問題や人権問題の啓発・研修が広く行なわれるようになりました。また、行政機関による採用差別を防ぐための啓発、地方自治体での身元調査を規制した条例の制定など差別撤廃にむけた取り組みが前進しました。

「部落地名総鑑」事件

これだけでも、八尾市が記事内容に敏感に反応したのは当然すぎるほど当然であることがわかるであろう。

他にも、免許証をはじめとする公文書から、本籍地の記載が「番地まで」→「都道府県名のみ」→「廃止」のようにどんどん縮小していったことなど、出身地が非常にデリケートな情報であることは、「意識の高い」諸氏なら当然気付いていて然るべき事である。

そして、出身地が原因となる差別と言えば何かというのは、社会常識に属することであり、知らなかったではすまされない話である。勤務先の組織で、接客業務や採用業務でこのあたりのことを誤れば組織自体の存続にも関わる問題である。その自覚がなかったとしたら度を超した脳天気である。

そんなまさか、というのであれば、たとえばこんな例を考えてみると良い。私がドイツ(あるいはポーランドイスラエルでもよい)を旅行していたとして、待ち合わせた人に英語で挨拶するつもりで "Hi!" と言いながら手を高く上げた、とすればどうか。はっきり言って「殴られても自業自得」と思うであろう。これはそれと同じ事なのである。

短期間の外国旅行ですら現地の最低限のタブーには気をつけるのだ。自分にとってもっと身近な土地のタブーぐらい知って頂きたい。

「ハシシタ」騒動は全く弁護の余地のない差別事件である

ついでに今回の「ハシシタ」騒動について、佐野眞一氏の連載は唾棄すべきヘイトスピーチであり、擁護する余地は全くないと述べておきたい。そもそも、橋下氏は実父の記憶が殆どないにもかかわらず、"DNA" を探ると称して実父のルーツを詮索することのどこに擁護できる余地があるのか。

そもそも、題名からして単に「人の名前をねじ曲げて下品」というような話ではないのである。

橋下の母によれば、「橋下家は同和部落出身ではない」ということになる[262]が、『週刊文春』(2011年11月3日号)によると「橋下の実父は、とある関西地方の山裾の寒村の被差別部落の出身」という。つまり橋下は被差別部落にルーツがある。

その寒村の橋下姓の老婆は「昔は“橋下(ハシシタ)”という家が六十軒ぐらいあった。大概の者は名前を“橋本”に変えて出て行ったと聞いている。ここらの人はみな教育熱心で、一生懸命勉強して就職差別やいろんな差別と闘ってきた。」[263]と述べている。

橋下徹 - Wikipedia

ユダヤ人特有の姓というのがあるように*5、被差別部落特有の姓というのも存在する。そして「ハシシタ」というのはそれを暗示するものであり、橋下氏が現在「ハシモト」と名乗っているのはそれを意識したものだというのは想像に難くない話なのである。あなたたちのような部外者がそのことを知らなくても、大阪ではその限りではない。それをわざわざ表題に持ってくるなど、悪意はこの上なく明確である。

はっきり言って、今回の「ハシシタ」事件は「マルコポーロ」廃刊事件よりもずっと罪の重い問題である。書き手の悪意が明確であり、また日本語圏においてはホロコーストに関して間違ったことを書くよりも同和問題について間違ったことを書く方が、よほど直接的に多くの人を傷つけるからだ。週刊朝日が廃刊にならずに済んでいること自体、私には信じられない思いである。それだけ世の中が荒んだのだと暗澹たる思いになるし、差別言説に妙に宥和的なこの風潮こそが「在特会」の類を生み出した元兇だと私は確信するものである。

そのことに「リベラル」を自認する人たちが気付かないばかりか、むしろ助長しているというのはつくづくあきれかえった話だ。

あなたたちは堕ちるところまで堕ちたのだとしか言いようがない。心底軽蔑する。

*1:「関西」と「大阪」の区別が付いていないのがまた噴飯物なのだが。

*2:私は橋下氏を全く支持しないし、そもそも私は大阪ではなく兵庫県出身なのだが、石原氏を10年以上知事に選び続けている東京都民にだけは言われたくないと強く思う。

*3兵庫県人のお前が大阪のことに腹を立てるのはおかしい、と言われるかもしれないが、たとえば「東京」と「関東」の区別が付かないような人間が東京批判をしていれば関東人なら誰しも腹を立てて当然だ。あるいは、「福島」と「東北」の区別が付かずに瓦礫受け入れを拒否している人間のクズどものことを考えてみればよい。

*4:なお、引用元は部落解放同盟のWebサイトである。また、強調部は筆者による。

*5:余談ながら、手塚治虫は「アドルフに告ぐ」で、ナチに染まっていく少年に不用意に「カウフマン」姓を与えてしまったが、"Kaufmann" は実はユダヤ人に多い名前である。

2012-08-11

思い込みで知った風なことを言うんじゃない

また、キーワードに条件反射することしかできない連中が記事を読まずに「二分間憎悪」を実施している。一番笑ったのはこのコメントだ。

b:id:sillyfish 災害, 国家, 人権

ね、「緊急事態という概念を認めてはいけない」って言ってた人が何に警戒していたのか、よくわかりましたでしょう? 2012/08/06

はてなブックマーク - 【主張】災害対策基本法 非常時の私権制限は必要 - MSN産経ニュース

普段ならこの程度のコメントには一々反応しないのだが、前記事ブックマークで私を馬鹿扱いしてくれた人のことでもあるので、反応させてもらう。

国語の成績が悪そう

一言でいうと「ちゃんちゃらおかしい」。「私権制限」の議論は阪神大震災の時にもあった。それは当事者だったからよく覚えている。そして当時の首相は「日本社会党」の村山富市氏であった。そして村山氏は「強権を振りかざす」ことではなく「与えられた権力を必要なときに使わない」ことによって、被災者からはもっぱら批判されていたのである。

では、そこで論じられている災害時における「私権制限」とは何か。実は調べるまでもなく、当の産経社説が明示的に書いている。

私権の制限は「国家的な緊急事態への対応のあり方」の項で言及されている。現行の災害対策基本法が緊急措置について、生活必需品配給制限や債務の支払い猶予など経済的な対応に限っている点を指摘し、「帰宅困難者対策や治安維持」などの観点から範囲の拡大を検討すべきだとした。

no title

例えば、首都直下大地震の場合、救助・消火活動の妨げになる道路や駅の混雑を防ぐため、帰宅困難者を職場に強制的に待機させる緊急措置も必要になろう。

no title

どう考えてもあなたたちが夢想、じゃなかった杞憂している「軍靴の足音」ではない。いったいid:hokusyu氏がなにを「警戒」していたというのか、答えられるものなら答えてもらいたいものだ。

下らない言葉遊び災害時の混乱を助長するようなことはやめてもらいたい。あなたたちがそうやって「何でも反対」することで必要な措置が執られなくなれば本当に人が死ぬのだ。

政治ごっこも結構だが、遊びのネタにしてよいネタとそうでないネタがある。たとえば竹島問題あたりでどれだけ騒ごうと人が死ぬわけではない。だが、自然災害は日本に住む限り非常に高い確率で誰もが直面する問題だ。こういうところでふざけたことを言ってもらっては困るのである。