2004-07-06 渾身の錯誤(1)
「この国を想い、この国を創る」というのが自民党のキャッチフレーズらしいと知ったの私がこのごろしばしば熱読している同党のHPだった。
さてこのフレーズを考えてみよう。
(1)この国を想う
これは国政を預かろうという人には誰にでも等しくそうであってもらわなければならない資質だ。この要素のない人はやめてください。
しかしながら、
(2)この国を創る
これは別に誰にでも要求されるというものではない。
普通与党なるところ、それも長期政権にあったものは、これまでの実績を頼りに、これまでを守ろうとする。今あるコンセンサスの集積でやろうというのが存在意義だ。
ところがこの与党はそういうことではなくて「創る」と言っている。だからこその「基本理念」の委員会で、その具体案が憲法改正だ。
この時、この党の持つポテンシャリティは何か。
いや〜、私には殆ど極左の革命集団か何かにしか見えないんですけど(笑)。
体制を変える基本理念を整備して憲法変えるって、そういうことだと思うんだが。
だけど、日本中のかなり多くの地域ではこのフレーズ、あるいは自民党が自ら言う自分たちの今現在の使命にもかかわらず、
「いやぁ、他は困りますよ、何があるんだかわからないんだから」
と言ってここに投票するだろう。何があるかわからない党に。つまり彼らはここを「保守」だと考えて投票する。
これは明らかな誤解である。そして、実際自民党は自分でやりますよ、と言っていることを自分で宣言しているのだから、誤解はもっぱら投票人にある。
HP以外にも、たとえば竹中氏が何年か前に、世界標準で生きられますか、とかなんとかの本を出していた(驚くべきタイトルだと私は思った)が、主意は今までの日本ではダメだから世界標準になりましょう、というものだった。ということはこの氏を擁立している自民党はここでもオレは「保守」ではないと言っている。
そのうえ極めてつけは、純ちゃんの意図は「自民党をぶっこわす」だった。
にもかかわらず、「いやぁ、このままで行くより仕方ないじゃないですか」と言っている人が多分相当多いはずだ。このままは行かないと言っているのに。
ということは、これでも従っている人というのは、保守ではなくて革命軍団を自ら支持しているということか。すごいかもしれない、これって。見かけは何一つ変えず静かに革命が遂行されるって。
広告代理店的見方をすれば(冗談だが)、その概要には、「人びとは自民党以外を選択できない。これ以外を書いたら非国民だとでも思っているらしい」、これがこの国のベーシックだと書いてあるだろう。
そして、「しかし今現在の目標は世界標準的に編成すること」だ。これがこの代理店の受けた仕事でもある。
どうしたらいいだろう。普通に考えれば対抗馬を出すことだが、上のベーシックがある限りそれは有効ではない。
結論:「自民党の中身を変えることだ」
といった成り行きか。
ではその時民主とはなにものか。今週はこっちを考えよう。自民党はもういい。
■ 炎上する車は三菱か? 
おとなり「はてな」にあがっていたページを読む。
面白いね、こうやって知らない人のところに行けるのは。
http://d.hatena.ne.jp/take44/20040704
ラジオプロデューサーの方のページだそうです。リンクさせてもらっちゃいます。こういう場合、コメントしに行くべき? それとも見知らぬ人にコメントされるの、イヤか? そんなこともないか?など悩む。
それはともかく、
三菱 車ばかりが燃えているのか?
と項目を立ててらっしゃるんですが、そうなんです、自動車 炎上事故 が起こるのは三菱の車だけではないわけですから、問題はその比率がどの程度かを表さないと意味がない。もちろんリコール隠しをいいなんていいませんが、それを「企業の体質だ」と言ってしまったら、思考は中断してしまう。
で、こういう考え方がこの頃蔓延している気がするんですよねぇ。
つまり、
「三菱の車は炎上する」は、「炎上する車は三菱だ」ではないわけです。しかし、そこをつっこまれると、「三菱の車が炎上するのは本当じゃないか」となっていく。
■ 反・言霊から考える「国想い改革」 
プロパガンダついで上のキャッチフレーズを考えてみるのだが、
(1)この国を想う
(2)この国を創る
想う、創るの意味はなんだ?というのがまずあるが、それぞれ、大事だ、改革すると読み替えることにする。最大公約数的にこう読めるだろう、多分。
その上で整理してみると、
前提1 私たちはこの国が大事だ
(前提2 この国は改革されなければならない状態にある)
前提3 だから私たちはこの国を改革する
こういうことか。
しかしだとしたら、前提2をつくり続けている自分たちはどうなるのだという問題が発生する。だって長期の与党じゃん。
前提2は私が補ったものだ。だから、そんなのお前の言いがかりだ、という人もいるかもしれない。しかし、もし(1)と(2)が導出関係なら、この前提2は当然にそこに含まれるものと見なされる。
まぁ前提2の内容自体は他のものが入る可能性もある。その場合は私の考案は誤りだが、そこに何かが必要なことに変化はない。例えば、前提2部分には、よく考えていけば改革必須の状態である大事なものを見過ごすことはできない、とかそういうのも要るだろう。
とはいえ、キャッチフレーズはそういうことを考えてもらいたくないから、「想う」とか「創る」とか、それ自体でかなり好まれている語を使って、そして正文にせず、ポエム風に置いているということなんだろう。文がぱらぱらでも一向に構わない私たちの「慣習」はこの場合、自民党にとっては良い結果をもたらすが、私たちの方ではどうだかわからない。
そこでもののついでに言えば、日本語は四季折々の変化を折り込むことの可能な素晴らしい言語で、決まりにうるさくなくて云々、言葉には言霊が宿るのだから読み替えたり、言葉を変えたりするのは誤りだ、西洋語とは違うのだ* 云々と一般人が声高に言うのは、約束の一方の当事者にとって非常な幸いとなり得ることを思い起こして見るのは無駄ではないと想う。*これ自体誤謬をおかしている。
■ 欠陥隠しをすると自動車は燃える 
下で教えてもらった読売の記事を読みながら、しかしなんでこれでいいのだ?と疑問というより、がっくりというより、やりがいあるなと思ったので検証してみる。
全文は面倒なので最初のパラグラフ2つ。
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全国で三菱車の車両火災が後を絶たない。三菱自動車と、三菱ふそうトラック・バス両社の把握分だけでも、先月15日からの半月で発生件数は10件。うち1件は、リコール届け出を検討している欠陥が出火原因とされる。
しかし、大半は欠陥そのものとは無関係とみられ、三菱側では、「欠陥車は燃える」というイメージの“火消し”に躍起。ユーザーの不信感は根強く、欠陥隠し問題の悪影響はなかなか消えそうにない。
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★★川上の疑問
全国で三菱車の車両火災が後を絶たない。
【全体の説明とアンマッチ。この記事が伝えている情報を総合した結論は、車輌火災が発生しているのは三菱車だけではない、だ。したがってトピックセンテンスとして誤り】
三菱自動車と、三菱ふそうトラック・バス両社の把握分だけでも、先月15日からの半月で発生件数は10件。うち1件は、リコール届け出を検討している欠陥が出火原因とされる。【三菱が言っているのならそう書く。誰が「される」と言っているのか?】
しかし、大半は欠陥そのものとは無関係とみられ、三菱側では、「欠陥車は燃える」というイメージの“火消し”に躍起。ユーザーの不信感は根強く、欠陥隠し問題の悪影響はなかなか消えそうにない。
【しかし、は何を受けている? もし前段の実はリコール関係が1/10を受けているのなら、例えば、「うち1件は、リコール届け出を検討している欠陥が出火原因とされる」に続くのなら、ここは、したがって、だ】
【三菱側が「躍起になっている」のは、その後ろのユーザー以下を受けて躍起になっていると考えられるがここの関係が不明。その前に、、躍起になっているのなら「どうやって」の例示が要る。ユーザーの不信感が根強い様子は全体の文にも欠けている。欠陥隠しと言っているユーザーの声もない。あるのは過去の火災発生の顛末だ。】
そういうわけで最初の2パラグラフを書き直してみよう。
- kawakami-------------
○月のXX事故以来三菱車の車両火災の発生が全国で注目されている。
しかし、三菱自動車と三菱ふそうトラック・バス両社が把握してい先月15日からの半月の10件の車両火災のうち、リコール届けを検討している欠陥が出火原因と考えられるものは1件、大半は欠陥そのものとは無関係と考えられるとXXは語った。
三菱自動車のXXXによれば、「XXXXX(不信感を言うユーザーのコメント)」といったユーザーからの声や、全国ではXX件もの苦情寄せられているなど、欠陥隠し問題以来のユーザーからの不信感は根強いものがあり、同社は「欠陥車は燃える」というイメージの“火消し”に躍起になっている。
XXXX(躍起になっている、あるいは火消しのために何をしているか)
XXXX(あるなら、それでもなかなかユーザーの不信感が拭えない理由または、そう言っている声)
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こんなぐあいじゃないのかと思うのだ。出ているデータそのものが足りていないだけでなく、記者が自分で書いているソースをreasonで繋いでないというのが致命的とでもいうのか。
文だけ読むと、どうしてこの人がこう続けられるのか不思議なものが幾つもあるのだが、記者がどうしようもなく頭が悪いという理由を考慮しないとすれば、「三菱車は燃えるというイメージが世間一般には強固に存在する」を一方的に前提にして推論(と呼べるか?)を重ねていくからこうなるんだろう。
いやそれだけでも足らないな。論理的誤謬をあげようにももはやfallaciesの次元を超えている。だって最初のセンテンスを見ると、文全体と全然逆のことを書いてる。どこで習ったんだ、こういうreasoning。大学生の作文クラスで失敗例として使われそうだぞ。
しかも最後がすごい。ってかまさかこんなことをこの役人は言ったのだろうか? 是非お名前を知りたい。
明らかに三菱車だけが出火しているといういわけではないとしか結論できないことをさんざん書いた後に、
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しかし、国交省のある幹部は、「もとはと言えば欠陥隠しでユーザーの信頼を失ったことが根底にある。信頼回復のためにも、なぜ欠陥隠しを続けたのか、自らの言葉で説明することが必要」と話している。
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この幹部の頭の中では、欠陥隠しを続けると自動車は燃える、という因果律が成立しているのか? すごいことを言ってるな、これは。
deadletter
2004/07/06 14:37
三菱のクルマの件ですが今朝の読売新聞ではこんな記事が(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040706it01.htm)。あと個人的にはhttp://www.asvattha.net/soul/?itemid=361も考えさせられるEntryでした。(差し出がましいコメントですみません)
Soreda
2004/07/06 14:48
ありがとうございます。読売の記事、これだけデータを出してみてさらに最後に国交省のコメントで水を差すというその構図がすごい。どうあっても悪いのは三菱だと言わねばならないと言ってるみたい。これに限らずこの頃のメディアのやり方は「印象有罪」とでもいうべき新たな裁判法かと毒づきたくなる感じ。別のサイトも読ませてもらいました。冷静な分析で大変参考になりました。thanks againです。
take44
2004/07/08 11:24
リンクありがとうございます。車両火災に関してはやはり「消防白書」がまとまっています。http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h15/html/15111530.html 。放火も含みますが、年間7000件以上も起きているんですね、車両火災は。日本のテレビ局の取材体制を考えるに、消防当局から車両火災の一報が入る→デスクが現場にカメラを出す→三菱車だったらニュースの1項目として採用。他の会社だったらボツ・・・ってな感じだと思います。特に民放はクルマメーカーから多額の出稿をいただいてますし。リコール隠しは最低ですが、「三菱自動車(とふそう)は叩いてもいい」というムードが蔓延しているのも事実です。
Soreda
2004/07/08 14:42
こちらこそありがとございます。消防白書おどろきですね。「 平成14年中の車両火災の出火件数は、7,785件」って1日21件以上起きる勘定になるわけで、取材の記者の方々は「え、三菱じゃない? 絶対、違う…。じゃいりません」を繰り替えすわけですね。民放に限らず出稿量が多くて単価の高い業界だから全メディア的にダメじゃないかという気もします。今は三菱ならOKみたいな…。いろいろありがとうございます。毎日サイトを訪問させてもらってます。





